12.「自分」

もはやあの頃の自分は他人であったのだと錯覚しても無理はない

今の自分を否定しようというのではないがそう思えて仕方ない

現に・・・と申し開く気すらないのだからもはやあの頃の自分と今の自分は――


詰まる言葉が出てこなくなった

かと思えば「文字通り」が世を席巻していた


煮え切った思いはどこ吹く風

こそあどの感情はいつも知らん顔


――もしやこの頃の自分はいつぞやの自分を真似た存在なのではないか

その「自分」を否定しようものならこの先の自分はいないも同然なのではないか

・・・だとすると「今」、「ここ」にいる、「私」などという存在は自身の空似だったのかもしれない

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