11.「分からない」
一緒に年をとっていくはずだったその人がもういない
自死を選んだという話だ 私の選べなかった死をその人は――
その人にも好きな人がいたはずだ
その人のことを好きでいてくれる人たちが間違いなくいたはずだ
なのに だのに なぜ――?
僕には分からない 僕には分からないことばかりだ
その人の死ひとつとってみても
その人の死以外に思いを馳せてみても
人の死そのものにこうして考えを巡らせてみても
結局 僕は どの死も「分からない」で済ませてしまっている
それからしばらくして「その人のことを好きでいてくれる人たち」も亡くなって
僕には もう 何が何だか本当に「分からない」のだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます