第9話 20XX年8月13日


 昨日の夕方、ホアヒンからバンコクに戻ってきた。

 お父さんと龍馬は、新潟のお父さんの実家へと里帰りするために、一足早く日本に帰国しました。


 龍馬は「カブトムシとクワガタを捕まえる!」とか、張り切っていたけど、小学生の男の子って虫が好きだよね。

 私にはカブトムシの良さが、これっぽっちも理解できないよ。


 お父さんの実家は新潟で、越の雪宿という銘柄で有名な淡麗辛口のお酒を造っている、江戸時代から続く造り酒屋になります。

 でも、お父さんは次男坊で稼業を継げないから、サラリーマンになったとかなんとか言ってました。


 もっとも、実家のお酒を海外に向けて販売しているのは、お父さんの会社みたいなんだけどね。

 だけど、そのコネでお父さんが今の会社に入ったわけではないよ?


 お父さんが新規開拓したとか言ってましたし。

 というか、公私混同の気がしないでもない。


 日本からは実家とかの日本酒を海外に売って、海外からはワインとかを仕入れてきて、それを日本で売っているそうです。

 だからなのか、お父さんは一月のうち半分ぐらい家に帰ってこない月が多いんだよね。


 その埋め合わせなのかは知らないけど、今回みたいな長期休暇は取りやすいみたいだけど。



 それと、別にお母さんが嫁姑の問題で、お父さんの実家と仲が悪いから一緒に帰らないというわけではないよ? たぶん。

 私がタイに残るから、お母さんは保護者として残ってくれたということです。


 今回のタイ遠征は私のプライベートなのだから、テニスクラブの子たちと一緒に遠征に来ているわけではないので、コーチの引率とかもないし、私を一人にはしておけないということなんだろうね。


 ちなみに、お母さんの方の実家はというと、我が家の隣にあります。

 つまり、お父さんは実質的に、マスオさんということです。


 まあ、実家とは言っても、お祖父ちゃんは海外暮らしが長かったから、日本に帰国してから新しく松戸に家を建てたみたいだけど。

 ついでに言うと、お父さんはお祖父ちゃんの部下だった縁で、お母さんと結婚したんだってさ。


 でも昨今、親が旦那候補に自分の娘を紹介するとか珍しい気がするよね。

 ということは、お父さんは優秀でお祖父ちゃんに認められたってことなのかな?



 話は変わるけど、ノンタブリーにあるLTATのテニスセンターに行ったら、ちょうどマレーちゃんも居たので、今週もマレーちゃんと一緒に練習をさせてもらったよ。

 明日の予選は、二人揃って突破できるように頑張ろう!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る