白い夕方に帰るとき

第15話 ニュース編集

○国際局編集室

　　マスターモニターには、コマーシャルの入っていない放送中の映像が

　　映し出されている。

女性キャスター「それでは、さようなら」

男性キャスター「また、明日」

　　公一は、モニターから目を離す。

　　スクリプト表の特集が不動産詐欺となっている項目を斜線で消す公一。

　　特集は、東京オリンピック後の選手村の施設の売買に関連した疑惑である。

　　特集を再生する公一。

　　ニュース映像。

　　公一は、ニュース資料の保管されている国際局準備室に向かう。

　　棚から次々と、ワゴンに取り出す。

　　そして、公一が、過去の不動産詐欺のニュースを再生していると、

　　射場興行の不正取引の小さな報道を見つける。

　　モニターに柿の木の土地が映し出された瞬間、公一は、ポーズボタンを押す。

　　そのとき、洋子からラインが入る。

　　洋子と公一のラインのやり取りが、オーバーラップ

よう＜公ちゃん、お父さんの会社が＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こう＜洋子、どうしたんだ？＞

よう＜大変なことになっちゃった！＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こう＜落ち着くんだ、洋子っ＞

よう＜公ちゃん、ニュース見てっ＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こう＜わかった！＞

　　公一は、国際局準備室を出ると国際局へ走る。

　　オンエアーモニターには、２１時放送のＲＮＮフラッシュニュースが

　　映し出されている。

○生中継のニュース映像

　　浜松町の国際ビルにある射場興行株式会社に殺到する各局の報道カメラ。

よう＜公ちゃん、洋子の家の前の道路にもカメラが…＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こう＜洋子、部屋の中にいるんだ＞

よう＜わかった。洋子怖いよう…＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こう＜家にも？　窓に近寄るな！＞

よう＜うん＞

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こう＜あとで、ラインする＞

　　ニュースの音声「土地所有者との間に立てた中間業者に騙された、

　　　　　　　　　　射場興行株式会社の玄関からは、以上です」