第2話 地獄の王子登場
全員
「ふあ!?」
医師を含め 全員が 開いた口が塞がらなくなった瞬間
看護師
「……!!せ…先生!!ユウキさんが!!」
医師は 看護師の声で我にかえり 慌てて 脈をとる
医師
「……残念ですが ご臨終です……」
孫たちは ユウキを囲み ユウキの最後を見送った…
ユウキ
「…うーん…自分の死んでる姿を上から見るとは 思わなかったなぁ…」
空中で あぐらをかきながら ボーッとしていると 後ろから声をかけられた
???
「……よぅ 久しぶりだな 元気だったか?って死んだ後に言うセリフじゃないな ハハハッ」
今 声をかけてきたのは アモン 地獄の王子だそうだ 俺は 生前このアモンに助けられた 何を?……いや 何かを助けられた ただ 記憶の所々が曖昧ではっきりとしない しかし 不思議なことに さほど 疑問に思う事はなかった
ユウキ
「久しぶりだな…アモン 1年ぶりか…ありがとうな…1年寿命を伸ばしてくれて…」
アモン
「ん?あぁ…それは こっちもそっちのほうが 都合がよくってね で ちゃんと覚えているか 死んだ後の約束を…」
ユウキ
「…ああ 覚えているさ そこはな…」
アモン
「ん?」
ユウキ
「いや なんでもない 地獄に行くんだろ?…そういう約束だったもんな」
アモン
「そんなに悲観することじゃないさ お前が想像しているような場所じゃない しかし あれは笑ったな 血の池地獄に針の山だっけ?そんなのあるわけねぇだろ」
ユウキ
「そっか…ところで 死んだら若くなんの?」
自分の身体を マジマジ見ながら 問いかけた
アモン
「あぁ そうだな 死んだ後 そいつの人生で最も気力なんかの全盛期になるな ちなみに えーっと……お前は…16歳だな」
ユウキ
「16歳か…たしかに全盛期かもな…大体おんなじくらいになるのか?」
アモン
「いや 意外とばらけるぜ ほら 見なよ」
そう言うと ユウキが亡くなった隣あたりを指差す
ユウキ
「ん?……あぁ…そうか…」
年老いた女性の身体から 真っ白な球体が現れ 徐々に人の姿になっていく…
サヤカ
「……あら?…ん?そっか…わたし 死んじゃったんだね…」
アモン
「よ!久しぶり!」
サヤカ
「まぁ アモンさんじゃないですか!?相変わらず 変わっていませんね ん?隣の僕はどなた?」
ユウキ
「ぼ…ぼく…だ…と…旦那を見た最初の一言がそれか…」
アモンはケラケラ笑いながら
アモン
「ハハハッ サヤカは んーっと 実年齢24歳ってとこかな?」
サヤカ
「あら? ユウキさんなの? かわいい僕になっちゃって」
少し意地悪く言ったあと 小さくウインクをした
ユウキ
「くっ… でも ホントに綺麗だ…」
サヤカ
「え!? あなたもとってもステキよ…」
ユウキ
「サヤカ…」
サヤカ
「あなた…」
見つめ合う2人に 割って入るアモン
アモン
「だあぁぁーっ わざわざユウキの寿命を1年強制的に伸ばしたのは お前らのためじゃねぇんだよ」
ユウキ
「ん?だったらなんで?」
アモン
「お前ら2人を狙ってるのは 地獄側だけじゃねぇんだ 天上界も お前らを狙ってるってこと」
ユウキ
「天上界?あー…天国ってこと?へーっ…もし そっちに捕まったりしたら 天国に行けるってこと?」
アモン
「あぁ…そうだな 天国にいけるぜ ただし お前らは 契約を結んでるから 浄化の炎に焼かれ 消去されるがな」
サヤカ
「えーっ し…消去!?」
アモン
「さあ?詳しくはわからねぇな…なんにせよ 地獄の契約者なんて 天上界の敵って認識だから 待遇は いいとは思えないけどな」
ユウキ
「なるほどな…1人1人連れて行くより 2人を一度に連れて行こうって事で 俺の寿命を1年伸ばしたって事か…」
サヤカ
「でも 天上界も狙ってるって 私達を?なんで?」
アモン
「んーっ…話せば長くなるんだが…簡単に言うと ユウキ!お前の魂は バグってるって事だ」
ユウキ
「バ…バグ!?」
アモン
「オレらは 人間界の魂のランクはある程度わかるんだ S A B…って具合にね」
ユウキ
「…ってことは 俺って そんなにすごいってこと!?へぇー」
まんざらでもない顔をしながら ユウキは少し照れていた
サヤカ
「あなた すごい!」
さらに 照れるユウキ
「あーっ…悪いけど…どっちかわかんねぇぞ 今んとこ… もしかしたら クソ過ぎて わからなかったって事もあるってこと ただ わけ分かんねぇ魂って事は間違いない 天上界も 要注意人物って認識だから お前ら2人の魂を奪おうと躍起になってる…」
アモン
「あぁ サヤカお前は 大した能力じゃなかったんだが こいつと一緒になった事で あんたのランクもバグってしまってる…こんなこと初めてで オレにもわけ分かんねぇな…」
ユウキ
「で…俺たちは地獄にいって何したらいいんだ?」
アモン
「それは 地獄に着いてからのお楽しみだな…そもそも お前たちの能力分かんねぇし さあ とにかく人間界と地獄を繋ぐ門に行くぞ」
真っ直ぐ空に向かって飛び立とうとしているアモンにたいして
サヤカ
「あ!!ちょっと待って!」
アモン
「あぁ!?なんだよ?」
サヤカはユウキの腕を引っ張り 病室の方に振り返る ユウキはサヤカの行動を理解し ユウキも あらためて 病室の方に振り返り
ユウキ サヤカ
「みんな 元気で」
2人の最後を 看取ってくれた家族に ユウキは片手を上げ サヤカは両手で手を振った
ユウキ サヤカ
「行こうか…地獄へ!!」
そう言うと 少し前にいた アモンの後ろを 追いかけていった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます