いけいけ勇者様91

最上司叉

第1話

女子会から数日後


「…」


勇者は魔王の視線を感じ振り返る。


「…あっ!」


魔王は勇者と目が合った瞬間目を思い切りそらす。


なんなんだ?


勇者は訳が分からない。


魔王に避けられるようなこと何かしたか?


「…」


勇者はいくら考えても思い当たらない。


「…魔物退治にでも行くか」


【ガチャ】


勇者は家を出て魔物退治に向かう。


一方魔王は


どうしよう


目が合ったのに逸らしちゃった


変に思われたかな?


でも魔王城で言われたことプロポーズだったの?なんてとても聞けない


いつまでもこんなことしてたら嫌われちゃうかな?


そこに忍び寄るふたつの影


「…初々しいのう」


「どれ私達が一肌脱ごうではないか」


「面白くなりそうだのう」


何やら悪巧み?をする2人の女が陰から見ていた。



「ハアッ!」


【ザシュッ】


「終わったか」


勇者は魔物退治を一通り終えて近くの石に座り水を飲む。


「どれお金を受け取り帰るか」


そこへ誰かが近づいてきた。


「!!誰だ」


勇者は剣に手をかけ振り返る。


「きゃっ!」


「…魔王!!」


振り返るとそこには魔王が立っていた。


「どうしたんだ?」


「…う…ん」


「?」


「…」


「魔王?」


「…」


「魔王?」


「…」


魔王はどうしたんだ?


どこか具合が悪いのか?


「魔王いったいどう…」


勇者が言いかけた所へ魔王が一気に言った。


「ご飯一緒に食べましょう!」


「?」


魔王はいったい何を言ってるんだ?


ご飯ならいつも皆で一緒に食べている


今更何を?


勇者は訳が分からないと言った顔だ。


一方魔王は


どうしよう


言っちゃった


変に思われてないかな?


返事まだかな


なんで何も言わないんだろう?


そしてお互い目が合った。


「…」


「?」


そして沈黙


どうしよう


やっぱりダメなのかな?


勇気をだしてデートに誘ってみたけど


魔王は沈黙を破り勇者に聞いた。


「…ダメかな?」


「?何が?」


「ご飯一緒に食べるの」


「…いつも一緒に食べてる」


魔王は全然伝わっていないことにショックを受けた。


「どうした?」


勇者は不思議そうな顔で魔王に聞いてくる。


「…う…ん…たまには2人で食べたいなと」


勇者は魔王のその一言に衝撃が走る。


なんだと!


2人でだと!


今まで2人で食事が無いわけでは無いが魔王はいきなりどうしたというのか!


今朝避けられていた気がするんだがそれは気のせいなのか?


「イヤかな?」


魔王が勇者に聞いた。


勇者は無言で首を横に振る。


「良かったありがとう」


魔王はとても嬉しそうに喜んだ。


そこに忍び寄るふたつの影


「上手くいったのう」


「さすが私の娘だ」


『ふふふ』


2人の笑い声が残っていた。

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