このナレーター、ウザすぎる。

Karura

第1話「知らない天井だ」テンプレートなんてさせない

「ピピッピピッピピッピピッ」


 スマホから眠っている青年を起こすためのアラームが流れる。と言うかこれ何回目のスヌーズだよ。起きては消して起きては消して、俺描写疲れたよ……


「ん~今何時だ?って8時!?遅刻する!」


 うん何度も起きないお前が悪い。さぁて始まりました。主人公、貝木優選手による。学校登校RTA実況はわたくし、ナレーターでお送りさせて頂きます。さぁて優選手まずは第一種目ワイシャツ着用に取り掛かった。手馴れた手つきで寝巻きを脱いで、ワイシャツを羽織りボタンをかけていく!


「ッッ!」


 おおぉとここで焦ったか!?ボタンを閉めれない、どうしてワイシャツの第一ボタンの穴はあんなにも堅いのでしょうか!?


「よし!!」


 何が良しなのか!?ここで裏技ネクタイでボタンを隠すだ~!そのままズボンを流れるように着用、そしてバックを取って玄関から外にでる。

 さぁここから第二種目ランニングのスタートだ!


「今日って生徒指導部の先生いるかな?」

「わからない、あの人達、立ってるの完全にランダムだもんね」


 ここでヒロインと合流!仲良く並走しております。若干、優選手の顔が赤い!そんなんじゃ目当ての女の子を落とすことなんてできないぞ。現在時刻8時10分残り20分で教室にたどりつけるだろうか!!


「今俺、第一ボタン閉め忘れたから、見つかったらヤバいんだよね」

「へぇ〜」


 ここで優選手話題をミスったか!?ヒロインの反応が薄い!ここから巻き返せるか!?さぁて第2種目も終盤まもなく校門が見えてきます!


「残念〜今日はいるみたいだね」

「カワイイ」


 あらやだ可愛い。んん?良かったな主人公このヒロイン、難聴系じゃないぞ。しっかり耳を赤くして行ったぞ……っておい主人公!?ボーっとしてんじゃねぇ遅刻……


「あっ」

『キーンコーンカーンコーン』


 したじゃねぇか……


※※※


「今日も神谷さんかわいいなぁ」


 おいそんなこと言ってんなら早く告ってくれや……そうしたら俺の「仕事」も早く済むし。というか、そろそろ「次のイベント」か。新しくヒロインが増えて……


「あぶない」


 って、おい主人公何やってんだ!?道路に飛び出したら危ないって小学生でもわかるだろ!?ん?横断歩道の真ん中に小学生がいるな……もしや!?


「間に合え~!!」


 やめてくれ~!!


『ドン!!』

「キャー!!」「だっ誰か救急車を!!」「救急って110だっけ!?」


 ものすごい音と悲鳴、主人公は頭から血を流して倒れている。一瞬にして普段通っていた通学路は事故現場に変わってしまった。と言うか早く救急車呼べや。誰だよ、救急と警察逆に覚えてるやつ。


※※※


「知らない天」


 させねぇよ?毎回思うんだけど、この毎回「知らない天井だ」って言って、その後ボケとか入れて入れて濁すこの流れやめない?もうみんな飽きたと思うの。って言っても伝わらないか……


「えっ!?誰!?」


 ん?扉の方には誰もいないぞ?この主人公壊れたか?


「壊れねぇよ!と言うかどこから話しかけてるんだよ!?」


 主人公ここは病院だ。そんな立ち上がって叫ぶなって。ん?もしかして聞こえてる?


「聞こえてるよ!さっきから俺のことを主人公、主人公って、お前なんなんだよ!」


 ちょっとまて、これは早く「仕事」が終わりそうだな。あー俺は俗に言うナレーターだ。


「ナレーター?」


 ほら、よく小説とかで、三人称視点とか一人称視点とかあるだろ。その三人称視点の時にセリフの合間合間に「状況を説明してくれるヤツ」がいるだろう?それが俺だ。


「まだ少ししか話てないけど、お前全然描写してなくね?」


 そう言いながら彼はベッドに座った。興奮しているのか少し呼吸が……


「今更取り繕っても無駄だからな?」


 ……話を戻すぞ。さっきも言ったが、俺はナレーターだ。つまりお前がアイツのことを好きなのも知っている。


「なっ!!」


 照れるなって、顔が赤いぞ。


「ウザッ!」


 そして俺はこの物語の結末を知っている。だから主人公!ヒロイン……神谷恋を俺と一緒に落としてみないか?


「あぁ正直どうやったら付き合いるのかわからず迷ってたんだ。協力してくれるなら協力してくれ」


 他人の力借りて恥ずかしくないんですか~!?主人公く~ん


「ウザッ!と言うか、主人公って言うな名前で呼べ名前で」


 えーと確か、ちょっとまってね。ここら辺にメモが……


「主人公の名前すらわからねぇのかよ!!」

「おい、いい加減にしろ!!うるせぇぞ!!」


 怒られてやんの~


※※※


あとがき

ここまで読んでくれてありがとうございます。

今回、叙述トリックにあこがれこんな作品を書いてみました。

いいね、フォロー、感想コメント、星をくれると励みになるのでくれると嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る