第2話 誕生日に別れ話されるくらいなら
よく わからなかった……
言われてることが、理解できなかったって感じ。
俺と別れて、俺の親友の尚哉とつきあうのだと。
ってか、もうつきあってるのだと。
俺が、かわいそうだから、誕生日はお祝いしてあげようと思ったのだと。
誕生日に別れ話されるくらいなら、誕生日前にフラれた方が全然良かった。
しかも、お祝いしてあげようと、って言いながら、プレゼントをくれる訳でもなく、この店のケーキセット2人分まで俺が会計したんだから……
店の自動ドアが開くと、雨はやんでいた。
道の窪みが大きな水たまりになっていて、青空が映っていて、白い雲が流れている。
晴れて良かったな。
スニーカー汚さないように歩こう。
うーたんとつきあって楽しかったよ。
ありがとね。
また、大学でも会うけど、気まずくなるのイヤだから、わたしと尚哉と、今まで通り仲良くしてね。
なんの謝罪の言葉もなく、悪びれることもなく。
俺、だいぶ理不尽なこと言われてねーか?
でも、それを聞いても、どこか他人事で、ちゃんと受け止められなかった。
俺は今、大学に入ってからの3年間をめちゃめちゃ濃密に過ごした彼女と親友を両方失った。
イママデドオリナカヨクシテネ
イママデドオリナカヨクシテネ
イママデドオリナカヨクシテネ……
呪文のように3回唱えてみたけど、やっぱり俺には無理そうだ。
今までは、空き時間に夏菜子と尚哉と3人で、
キャンパス内のカフェテリアで時間を潰していた。
夏菜子は、明るくて社交的で、おしゃべりが大好きで、ずっと喋っている。
あ、タイプ的には、尚哉と似てるんだな。
尚哉も話し好きだ。
頭の回転が早くて、ポンポン ポンポン言葉が出てくる。
めちゃくちゃ面白いやつ。
俺は、どちらかと言えば、聞き上手ってやつなのかな。
2人の会話を聞いていることが多かった。
そっか、そうだったんだな……
いつからか、わかんないけど、2人はつきあってたのか……
じゃ、俺、ずっとオジャマな存在だったんじゃん。
大学4年、ほぼほぼ単位は取ってるし、もうそれほど大学へ通う必要もない。
気まずくなるのは嫌だから、今まで通り仲良くしてね。
だと?
そんなこと出来るかよ!!
知ったこっちゃねーよ!!
なんなら気まずくなれよ!!
俺と別れて、今度は尚哉に乗り換えたんだ~?
彼氏の親友とつきあうなんて ひどくない?
って思われりゃーいいんじゃね?
今まで通り仲良くする気なんて、さらさら ねーよ!!
夏菜子とも、尚哉とも。
だからって、もう今さら、他に友だち作って、残り少ない大学生活をエンジョイするなんて気持ちにもならないな……
もう、いいや……1人で……
就活がんばろ!!
ただの強がり、かも、だけど、彼女も親友も、 もう俺には必要ないから。
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