隣の生徒は戦闘員

【第1章：教科書より大切なもの-1】

黒板にチョークが絶えず移動し、教室は規則的で退屈な叩きつける音で満ちていました。

私は黒板に書き込んでいる、長い髪の徐琳先生を見つめて困惑していました。彼女は一切の隙間を見逃さないようで、黒板全体に密集して書き込んでいました。

文字は小さくてぞんざいに書かれており、下の生徒たちはそれを見ることができるだろうが、それは難しい英語だ。

一息ついて筆を置こうと思ったとき、徐琳先生は深紅の髪を振り乱し、下の生徒を睨みながら叫びました。

「あそこの！いつまで怠けているつもりですか？」

私はその視線を受けたと思って、耳が赤くなりました。しかし、隣の席から物音が聞こえてきて、影豪がすでにテーブルの上で寝ていることに気付きました。

「おい、影豪、急いで起きて！」

「くそ...また邪魔をするか...」

私は急いで影豪の肩を揺すると、彼は私の手を振り払い、夢の中で変なことを言い続けました。

「やっぱりお前だ、周影豪！」

怒りっぽい徐琳先生が影豪のそばに歩いて行き、手に持っていた厚いノートを丸めて、影豪の頭に叩きつけました。

「痛い！」

影豪は後頭部を押さえ、笑い声に包まれながら体を起こしました。

「顔を洗いに行っていないの？もうすぐ模擬試験だから、進捗が遅れるとまずいよ。」

「わかった...」

影豪は大きなあくびをこぼし、教室の外に向かって歩き出しました。徐琳先生は彼の後ろ姿を見てため息をつき、その後再び黒板に向かって授業を続けました。

私は影豪ののろのろとした後ろ姿を見て、心の中でちょっとだけ羨ましさが湧きました。

高校生のストレスを忘れ、彼のように心からのんびり過ごすことができれば、それは何とも良いことでしょう... だめだ、だめだ！

怠けたいと思う考えをすぐに捨て、黒板に書かれたノートに再び注意を向けました。

この授業が終わると、昼休みが始まり、生徒たちは少し息をつくために教室を出ました。

「おい、お金を借りるつもりですか？」

教室を出ようとしていた私は、突然、手を合わせて頭を下げる影豪に呼び止められました。

「お願い！山陸、パン一つ分のお金で十分だ。」

「一つのパンだけじゃお腹いっぱいにならないでしょう？お弁当を買ってもいいですよ。」

「感謝しています！本当に大助かりです。実は昨夜から何も食べていないんです。」

「まあ、最近一体何に忙しいの？ご飯すら忘れちゃうなんて。」

「昨日は遅くまで忙しく、家に帰ってから直接寝てしまい、朝急いで外出したら財布を忘れてしまった。」

「何か困難があれば、言ってくれれば手伝えるかもしれないよ。」

私は影豪が借金をしているのは最近のことで、もしかしたら難しい状況にあるのかもしれないと考えました。

影豪は私の質問に驚き、急いで否定しました。

「本当に大丈夫だよ。ただ、叔父さんの仕事場所が最近人手不足で、手伝ってあげることになったんだ。」

「そうか、でも、それが原因で授業中に寝てしまうのはちょっと...」

彼は軽く笑って、話をやめることにしたようでした。

私は個人のプライバシーを尊重しており、この問題を追及するつもりはありません。

学校の食堂で昼食を買った後、私たちは学校の一角にある涼亭に来ました。教室からは少し遠いですが、ここの静けさが気に入っており、よくここで食事を楽しんでいます。

「このコロッケ、サクサクしてて美味しいね。」

改めて紹介しますが、箸の持ち方を間違えている人は、私の親友、周影豪です。

普段は少し抜けた感じで、とても子供っぽいですが、誠実で熱心で責任感があり、信頼できる友達です。

彼を説明する一言であれば、「突き進む」と言えるでしょう。

「山陸、見て、学校にバッタがいるんだ。」

私のほうは、ただ真面目に勉強で品行方正な生徒です。

しかしながら、幼い頃、私の夢は世界を征服することで、一連の作戦計画さえ立てていました。今思えば愚かで懐かしい過去で、私はそれを箱にしまい、セメントで固めて台北の河に投げ捨てるべきだと思います。

そのような無謀な夢は実現不可能で、本当に世界を征服するつもりであれば、真剣に勉強することが最も速い方法で、名声と富を手に入れ、人間関係と社会的リソースを掌握し、社会のトップに立ち、国の運命をコントロールするために必要です。

「影豪、何しているんだ？」

一度我に返った後、私は影豪が枝を持って、隣の茂みに向かって駆け寄るのを見ました。

「何をしているかって、バッタを捕まえているんだよ。」

「なぜバッタを捕まえるのか？」

「親戚が好んで食べるので。」

「どの国の親戚なのかは聞かないでおこう。」

昼休みが終わり、午後の授業が始まりました。影豪は再び眠くなり、第一の授業で寝てしまい、第二の授業ではまったく寝たようで、歴史の先生から頭を振られました。

対処するのが難しいようで、彼は散漫な態度で授業に臨みます。いくつかの教師は彼をたしなめ、他の教師は見ていないふりをします。

「皆さん、試験範囲の復習をお忘れなく、時間が残りわずかです。」

放課後のチャイムが鳴り響くと、一日の授業が終わった生徒たちは、凝り固まった筋肉をほぐし、影豪も例外ではありません。

夕陽がゆっくりと西に傾く中、影豪はバッグを持ち上げ、ひと伸びをしました。

「うーん、気持ちのいい一日の始まり！今日も頑張ろう！」

「いいえ、今日はもう終わりですよ？」

「今日も叔父さんのところで手伝いに行くの？それとも私とゲームセンターでリフレッシュ対決に出かけるの？」

「ごめん、あちらの状況が安定したら、次回一緒に行くよ。」

「うーん、じゃあ次回にしよう。」

「また明日ね、山陸。」

影豪は手を振りながらさようならと言い、夕陽の方向に向かって駆け去り、すぐに人影が消えた。

私は夕陽に染まる街路を独り歩きして、英単語のカードに集中しています。突然、遠くでなじみのある低い声で呼ばれました。

「おい、山陸、そんなに真剣に勉強しているのか。」

「王海さん、こんにちは。」

営業用エプロンを着て、健康な中年の男性、魚屋の店主である謝王海さんは、通り過ぎる私に元気に挨拶しました。

「どうだ、今日の鰧はとても安いぞ。」

「前回買ったのがまだ残っていて、それに鰧には刺が多すぎて食べにくいんだ。」

私の返答を聞いて、王海さんはひげを生やした顔に豪快な笑顔を浮かべました。

「ははは、面倒だと美味しいものが見逃されることもあるぞ！」

「必要があれば次回に買うよ、先に帰ります。」

「歩きながら本を読まないようにね。」

小学校から高校まで通った学校は全て自宅の近くにあり、最も遠い高校もバスで6、7つしか駅から離れていないため、時々歩いて帰ることがあります。母の買い物を手伝うだけでなく、学業に緊張感を持ちながらリラックスする時間を持つことができ、交通費も節約できます。

頭を上げて、夕日に染まるオレンジの街路を見て、感嘆しました。

紅の街路を背景に、見慣れた姿が視界の向こう側に現れました。

紺色ショートボブ、小さなしなやかな体つき、それは確かに同じクラスの林愛紗です。

彼女はこの近くに住んでいることを知っていましたが、あまりにも知り合いでないため、林愛紗と話すことはほとんどありませ。もちろん、一緒に帰ることはもありません。知り合いに見られたら尴尬だろうと思っていました。

曲がる準備をしていた私は、信号待ちで立ち止まっている林愛紗の側面を見て、彼女が微笑みを浮かべているのを注意しました。夕陽の余韻が彼女の頬に淡い赤みを持ち込み、愛らしい表情が目を引きました。

うっとりと見つめている間、林愛紗は突然目を私に向け、私は一瞬心臓が速くなりました。彼女が私を見るとすぐに、道路の電柱に激突しました。

林愛紗は残念そうな笑顔を浮かべ、私に頭を下げ、信号が変わると歩道横断を始めました。

私は曲がりくねったメガネを修正し、場所を急いで去りました。

「ああ、恥ずかしい！王海さんの言う通り、歩きながら見るべきだ！」