[総ルビ]転移者ホクトの異世界ハーレム旅行記

滝川 海老郎

1. 異世界召喚

●タイトル

転移者てんいしゃホクトの異世界いせかいハーレム旅行記りょうこうき

●通常版

https://kakuyomu.jp/works/16817139555698823172


●あらすじ

 小説しょうせつとかではよくある異世界いせかい召喚しょうかんされたらしいホクトは仲間なかまれてたびる。だんだん獣人じゅうじんとかの仲間なかまえておうったり、結局けっきょく勇者ゆうしゃばれたり仲間なかまがホクト専属せんぞく奴隷どれいになったりする。

 けん魔法まほうとも才能さいのうはあるがチートとぶにはすこよわいホクト。仲間なかまとも美味おいしい料理りょうりべて今日きょう迷宮めいきゅう戦闘せんとうしたりものしたり、スローライフほどではないけれどのんびりごす。とりあえず、けど、まあ適当てきとう魔王まおうたおしにいきます。


●1. 異世界いせかい召喚しょうかん

 午前ごぜん二時にじおれ小腹こばらがすいたので、ポテチをいにコンビニまでったかえりでいえかっている。そらひくくもでいっぱいで、ってきたら大変たいへんだ。まだ気温きおんあたたかいとはいえ、長袖ながそでシャツ一枚いちまいかさっていない。

 ニートれき三年さんねん二十一歳にじゅういっさいだ。大学だいがく入試にゅうし失敗しっぱいしそのままニートになった。きこもりではないが、毎日まいにちきてネットしてごはんべてシャワーをびるただそれだけだ。なぜか一人暮ひとりぐらしすることになり仕送しおくりで生活せいかつしている。


 かみなりりだした。ピカッとひかってはゴロゴロっている。本格的ほんかくてきにやばいな。

 いえがある方向ほうこうがろうとしたところ視界しかいいっぱいがしろになった。


 ドン、バリバリバリ。


 びびってじていたがしずかになったのでける。

 なぜかまわりは白一色しろいっしょくになっていて、うえしたなにえない。これはかみなり直撃ちょくげきけてんでしまったのだろうか。なんだかすごくねむくなってきた。おれふたたをつぶった。



 ◇



 かたをゆすられている。おれやわらかい絨毯じゅうたんのような場所ばしょうえねむっていたようだ。


「おにいさん、きてますか? 大丈夫だいじょうぶですか?」


 なんか、おんなのかわいいこえびかけられているようだ。けると、猫耳ねこみみ少女しょうじょ推定すいてい十七歳じゅうななさいさんがおればしている。

 場所ばしょ広葉樹こうようじゅもりのなかで一面いちめんにコケがえている。木漏こもしていて幻想的げんそうてき綺麗きれいだ。

 ん? 猫耳ねこみみ? おっと、これは異世界いせかい召喚しょうかんけいキタコレ。かみ実在じつざいした!


「おっほん。きてるけど、大丈夫だいじょうぶじゃないかも、かみなりたれて……」


 猫耳ねこみみ少女しょうじょまばたきを数回すうかいしてからいてきた。


へんかおへんふくだけど、てないみたいですね。てますか?」


 おれはゆっくりとがって自分じぶん格好かっこう見直みなおしたが、異常いじょうなし。にはポテチのはいったコンビニぶくろだ。とりあえず確認かくにん

 あらためて少女しょうじょ見直みなおしてみる。猫耳ねこみみ日本語にほんごはなすようだ。あかるい茶色ちゃいろ縞模様しまもよういわゆるトラねこがらかみ瞳孔どうこうことなり上唇うわくちびるがωになっている以外いがい普通ふつう人間にんげんとほぼおなじようにえる。はだいろは、白人はくじん黄色人種おうしょくじんしゅ中間ちゅうかんぐらい。こげちゃのシンプルなワンピースふうふくに、背中せなかには弓矢ゆみや荷物にもつぶくろ背負せおっていて、こしには短剣たんけん反対はんたいがわにはカゴがいている。


「ああ、大丈夫だいじょうぶ異世界いせかいばされてきたらしい」

異世界いせかいってなんですか? もりそとことですかね。とりあえずむらまでますか?」

おれはホクト、おねがいするよ」

了解りょうかいです。わたし猫人族ねこひとぞくのピーテよ。ついててください」


 自己じこ紹介しょうかいをすると、さっそくあるす。サンダルでなくてシューズをいてきてかった。もり微妙びみょう凹凸おうとつがたくさんあり、みちよりあるきにくかった。


「ホクトはへんなところにみみいてるけどなにぞくなんですか?」

人間にんげんだよ、ニンゲン。ひとぞく

わたしたちも人間にんげんですが、そうですかひとぞくですか」


 どうやら、人間にんげんるのははじめてみたいだ。

 猫耳ねこみみ後姿うしろすがたると、おしりうえからねこしっぽがれている。みみみぎいたりひだりいたりうごくようだ。ひくいほうのおれよりじゅっセンチほどちいさくて一五〇ひゃくごじゅっセンチくらいだ。

 みちすがら、ぽつぽつ会話かいわをする。むらまでは三十さんじゅっぷんくらいかかるようだ。むら名前なまえはボロレむらひゃくにんぐらいの集落しゅうらくらしい。すぐちかくにはほかむらはなく、交流こうりゅうすくないそうだ。


もりなかは、たまにだけど動物どうぶつるから、けないといけないのです」

「そうなんだ」

わたしがホクトをつけていなかったら、べられちゃってたかもしれないです」

「それはこわい」


 周囲しゅうい警戒けいかいしつつ、どんどんすすんでいった。

 むらについたら、すぐに子供こどもたちが大騒おおさわぎしはじめた。そして、すぐに長老ちょうろうたく案内あんないされた。いえ土壁つちかべっぱの屋根やねつくりでちいさめだ。子供こどもたちは、いえぐちからのぞいている。


みみへんひとれてる」

「あれがニンゾクなんだって」

「ニンゾクってなに?」

そと世界せかいひとだ」

かみくろいよ。はじめてた」

へん格好かっこうだししっぽがてないよ」


 ピーテさんにおたがいの名前なまえ紹介しょうかいしてもらい、にんけののテーブルのかいの椅子いすすわらされる。長老ちょうろうはクレリさんという女性じょせいだ。三毛猫みけねこふうかみをしている。


ひとぞくわかいオスのようじゃな。まえたのは四十よんじゅうねんほどむかしじゃな。とく武器ぶきっておらんしがいはなさそうじゃ――」


 長老ちょうろうひとぞくはここからとおはなれたところにんでいて、この付近ふきん村々むらむら獣人じゅうじんむらばかりなこと、異世界いせかいから召喚しょうかんされたというはなしいたことがないこと、ひとぞく文献ぶんけんやエルフにけばなにかるかもしれないことなどをおしえてくれた。

 おれとく地球ちきゅうかえりたいということもないが、とりあえずつぎ行商人ぎょうしょうにんがくる週間しゅうかんまでむらでの滞在たいざい許可きょかたのでそのあとこと先送さきおくりにすることにした。


「これもかみおぼしじゃろう。ピーテのいえ世話せわしてやってくれ」

「わ、わたしいえですか。かりました。頑張がんばります」


 ピーテは何故なぜかやる満々まんまんだ。をグーにしてげてちからがあるポーズをとった。

 おれは、はなしのおれいっているコンビニぶくろから塩味しおあじのポテチを長老ちょうろうにプレゼントした。

 子供こどもたちははなしているあいだにいなくなっていた。ピーテとともにピーテのいえかった。


「もう夕方ゆうがただし、ごはん支度したくしますね。できるまですわっていてください」

「ありがとう、そうさせてもらうよ」


 ピーテのいえはちゃぶだいのようないたまわりのゆかすわるようだ。ゆかにはっぱがいてある。ゆうはんはピーテがつくり、両親りょうしんはそのあいだ畑仕事はたしごとをしているらしい。

 両親りょうしんかえってきて、おれふくめてにんゆうはんになった。メニューはマコモきとおおガエルの香草焼こうそうやき、サラダ、キノコスープである。

 マコモというのはイネ植物しょくぶつくき部分ぶぶんふとくなるのでそれをべる。ほんのりあまい。もろこしきのようにまるのままであぶってある。

 カエルはだけをくしして、香草こうそうこまかくしたものをりかけて、とりのようにしていていた。鶏肉とりにくのようなあじだ。バジルのような風味ふうみがいい。

 キノコはおおきめで、むらさきどくキノコみたいにえたがべられた。あじ独特どくとくのうまみがていて、塩味しおあじのスープとよくう。

 ものづかみ、スープはのスプーンですくってべた。

 両親りょうしんともに歓迎かんげいしてくれて、食材しょくざい説明せつめいやピーテのことなどをはなしてくれる。

 食後しょくごおれ皿洗さらあらいをってたがピーテにことわられてながめるだけだった。


「カエルはむらすみいけにいっぱいいるんです。かこいでげないようになってます」


 だそうである。養殖ようしょくなのだろう。微妙びみょうなところがすすんでいる。


「そういえば、なぞふくろ長老ちょうろうわたしていたけどなにだったんですか?」


 ピーテがポテチの質問しつもんをしてきた。コンビニぶくろには、コンソメあじとビーフジャーキーがはいっている。


あじちがうけど、ピーテもべてみる?」

いただけるんですか。ぜひべたいです」


 おれはコンソメあじしてふくろけて、でつまんで一口ひとくちべる。そしてふくろをピーテのほうにける。


「なにこれ! すごく美味おいしいです」

「そうだろう、そうだろう。ポテトチップスのコンソメあじだよ」


 くしたおれは、ピーテと両親りょうしんのこりのポテチとビーフジャーキーをあげた。食後しょくごだというのにさんにんともすぐにべてしまった。


ひとぞくはいつもこんな美味おいしいものべているんですか?」

おれのいた世界せかいでは、だいたいそうだね」

ひとぞく、すごいです」


 食後しょくごはすぐにお風呂ふろだ。なんとこのむら温泉おんせん源泉げんせんちかくにあり、かく家庭かていにお風呂ふろがある。便利べんり便利べんり公衆こうしゅう浴場よくじょうでもいいとおもうのだが、ねこひとぞく個人こじん主義しゅぎらしくあまり共同きょうどう生活せいかつはしないようだ。だれ管理かんりするかとかが面倒めんどうのようだ。

 おれ一番いちばん風呂ぶろもらう。最近さいきんはシャワーでませていたので、湯船ゆぶねにつかるのはひさしぶりだ。やっぱり風呂ふろい。そこで美少女びしょうじょがお背中せなかながしにくるのが定番ていばんだが、もちろん、おれところにはなかった。むなしい。

 えのふくはピーテちちのトランクスふうパンツに綿めんなにかのゆるめの長袖ながそでながズボンを頂戴ちょうだいした。

 そのあとくらくなってきたので、すぐに就寝しゅうしんになった。もちろんへん展開てんかいにはならない。にん雑魚寝ざこねである。気候きこうあたたかいので、うすぬののようなものけてるだけだ。


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