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２６．ウサギ帽子とオオカミさん

◆２６．ウサギ帽子（ぼうし）とオオカミさん

　十日（とうか）目（め）。例（れい）のごとく、今日（きょう）もスープとパンの朝食（ちょうしょく）を摂（と）る。

　朝（あさ）起（お）きたらヒカリちゃんからメッセージが来（き）ていた。

　ウサギ帽子（ぼうし）が完成（かんせい）したという。

　食事（しょくじ）後（ご）も宿屋（やどや）で待（ま）っていたら、ヒカリちゃんとコマチさんがやってきた。

「ミケさん、サクラさん、えっとクルミさん、おはようございます」

「みなさま、おはようございます」

　ヒカリちゃんは朝（あさ）から、礼儀（れいぎ）正（ただ）しく挨拶（あいさつ）する。

　コマチさんも続（つづ）いた。

　ヒカリちゃんはウサギのぬいぐるみのマイケルの頭（あたま）を持（も）って下（さ）げて、マイケルもお辞儀（じぎ）をさせる。

　食堂（しょくどう）では目立（めだ）つので、狭（せま）いけれど部屋（へや）に連（つ）れて戻（もど）る。

「あー。ウサギ帽子（ぼうし）できたんだって？　みせてーみせてー」

　クルミがはしゃいで要求（ようきゅう）してくる。

　ヒカリちゃんがアイテム袋（ぶくろ）からウサギ帽子（ぼうし）を取（と）りだしてくれる。

　すぐに三人（にん）に配（くば）った。

　●ウサギさん帽子（ぼうし）(白（しろ）)

　　顔（かお）と耳（みみ）としっぽが付（つ）いている毛皮（けがわ）の帽子（ぼうし）。一針（ひとはり）一針（ひとはり）頑張（がんば）って縫（ぬ）った。

　　レア度（ど）：４　　ランク：４

　　種別（しゅべつ）：装備（そうび）(帽子（ぼうし）)

　　防御（ぼうぎょ）力（りょく）：７

　　魔防（まぼう）力（りょく）：１０

　　耐久（たいきゅう）：４５／４５

　　作成（さくせい）者（しゃ）：ヒカリ

　口元（くちもと）が可愛（かわい）くできてる。ヒゲと口（くち）と目（め）がついていて上（うえ）にはウサギ耳（みみ）が縫（ぬ）い付（つ）けてあるけれど、垂（た）れ下（さ）がっている。

　後（うし）ろ側（がわ）には、丸（まる）い尻尾（しっぽ）がくっ付（つ）いていて、思（おも）わず触（さわ）ってみたくなる。

　鎧（よろい）は三人（にん）とも、体（からだ）のみで、頭（あたま）には何（なに）もつけていない。

　この帽子（ぼうし）はかなり防御（ぼうぎょ）力（りょく）が高（たか）い上（うえ）に可愛（かわい）い。

　この補正（ほせい）なら、おじさんで恥（は）ずかしくても我慢（がまん）して被（かぶ）るレベルのできだ。

　売（う）ったらいくらだろう。１０，０００セシルぐらいにはなりそう。

　ヒカリちゃんは、すでに自分（じぶん）たちの分（ぶん）も作成（さくせい）済（ず）みらしい。

　おもむろに取（と）り出（だ）して装備（そうび）した。

　ローブ姿（すがた）のちっちゃい子（こ）が、もともと犬（いぬ）耳（みみ）で可愛（かわい）いのに、うさ耳（みみ）になってさらに可愛（かわい）い。

　元（もと）の犬耳（いぬみみ）はどうなってるのかは、謎（なぞ）であるが、ファンタジーだし気（き）にしちゃだめだろう。

「警（けい）ら隊（たい）の四人（にん）はどうするの？」

「あの方（かた）たちは『俺（おれ）たち硬派（こうは）にはウサ耳（みみ）は似合（にあ）わないから、オオカミにしてほしい』って言（い）ってましたよ」

　コマチさんが答（こた）えてくれた。

「ちなみに、オオカミはこれです」

　ヒカリちゃんの作成（さくせい）能力（のうりょく）はかなり高（たか）い。

　自分（じぶん）でかぶって見（み）せてくれる。

　三角（さんかく）の耳（みみ）が立（た）っていて、犬（いぬ）尻尾（しっぽ）が後（うし）ろに垂（た）れている。

　●オオカミさん帽子（ぼうし）(灰色（はいいろ）)

　　顔（かお）と耳（みみ）としっぽが付（つ）いている毛皮（けがわ）の帽子（ぼうし）。一針（ひとはり）一針（ひとはり）頑張（がんば）って縫（ぬ）った。

　　レア度（ど）：４　　ランク：４

　　種別（しゅべつ）：装備（そうび）(帽子（ぼうし）)

　　防御（ぼうぎょ）力（りょく）：１１

　　魔防（まぼう）力（りょく）：６

　　耐久（たいきゅう）：５０／５０

　　作成（さくせい）者（しゃ）：ヒカリ

　ウサギのほうが魔法（まほう）系（けい）で、オオカミは物理（ぶつり）系（けい）なのか。

　いや。やっぱりこれも、かなり可愛（かわい）い出来（でき）だぞ。

　本当（ほんとう）にあの人（ひと）たち被（かぶ）るのか？

　私（わたし）の所（ところ）に、アルクさんがメッセージをよこした。

　便利（べんり）なことに、このゲームのメッセージシステムはＶＲギアと連動（れんどう）しているため、インしていなくても、確認（かくにん）、送信（そうしん）が可能（かのう）だ。

　メッセージを見（み）て、急（いそ）いでログインしてきたらしい。

　私（わたし）は、警（けい）ら隊（たい）の四人（にん）を迎（むか）えに行（い）き、部屋（へや）へ入（い）れる。

　部屋（へや）が一気（いっき）に狭（せま）くなった。もうぎゅうぎゅうだ。

「オオカミ帽子（ぼうし）ができたそうじゃないか」

「はい。私（わたし）、頑張（がんば）りました」

　警（けい）ら隊（たい）の四人（にん）が感謝（かんしゃ）を述（の）べつつ受（う）け取（と）り、装備（そうび）する。

「ぶはっ。おっさんでも可愛（かわい）いな～。こりゃ流行（はや）るわ～」

　なんかクルミが爆笑（ばくしょう）している。

「愛嬌（あいきょう）があって、似合（にあ）っていると思（おも）いますわ」

　サクラちゃんがフォローをするけれど、どうだろうね。

「我（われ）ら警（けい）ら隊（たい）、ずっとこの帽子（ぼうし）を大切（たいせつ）にします！」

「「「大切（たいせつ）にします！」」」

　びしっと、ヒカリちゃんに向（む）けて、揃（そろ）って敬礼（けいれい）をする。

　ヒカリちゃんも、腕（うで）が曲（ま）がってるけど敬礼（けいれい）を返（かえ）す。

「感（かん）無量（むりょう）であります！」

「「「同感（どうかん）であります！」」」

　台本（だいほん）があるんじゃないかと思（おも）う位（くらい）、一致（いっち）していて、ちょっと引（ひ）く。

　警（けい）ら隊（たい）じゃなくて、幼女（ようじょ）親衛（しんえい）隊（たい）の間違（まちが）いじゃないかと思（おも）う。きっと。