19.再び森へ

◆19.ふたたもり


 わたしたちは、ふたたもりていた。

 おも薬草やくそう採取さいしゅするためだ。

 ちなみにいまわたしたちは全員ぜんいんLv5だ。


 ウサギとの遭遇そうぐう(エンカウント)は、このまえおなじくらいだ。

 あぶなげなく、攻略こうりゃくしていく。


「はー。なんか、ぬるげーだね。がぬけちゃうわー」

「そういうことうと、なんかてくるよ」


「――あの、なにかでてきましたわ」


「え!」

「うおい!」


 オオカミがてきた。たしかよるれでててくるというれいやつだ。

 しかしさいわい、一ぴきである。これなら対処たいしょしようがある。


『ガウ! ガウ!』


 いぬとオオカミの中間ちゅうかんみたいなこえくようだ。

 ちなみに、プリンはかない。


 オオカミはきばけて威嚇いかくしてくるのと、かまえてジャンプでおそってくるのをかえしてくる。

 いつものパターンで、サクラちゃんにまえてもらい、オオカミの突撃とつげきたてでいなしてもらう。

 かなりうごくので、ハードだ。オオカミもたてしょくがいないとまともにらいそうだ。

 わたしのアイスブリーズも、どうやらくみたいだ。あまりこおらないけれど、一時いちじてきうごきをめてすきができる。

 そこを見逃みのがさず運動うんどう神経しんけいのいい、クルミがやり数回すうかい攻撃こうげきをする。

 サクラちゃんは、ナイフをしまって、防御ぼうぎょてっしている。

 両手りょうてたてたないと、スキル「防御ぼうぎょ」が発動はつどうしないらしい。

 アイスブリーズは、早口はやくち連続れんぞく使つかうと二かい失敗しっぱいする。どうやらクールタイムせいみたいで、数秒すうびょうあいだ無効むこうになっている。

 よくると視界しかいすみに、クールタイムアイコンと秒数びょうすう表示ひょうじされていた。


 オオカミは、わたしねらってこようともするが、サクラちゃんのまわりがかなりいため、後衛こうえいねらうことができないでいる。

 三にんは、自分じぶんでいうのもなんだけど、連携れんけい結構けっこうツーカーにできるようになった。


 クルミの会心かいしん一撃いちげきがオオカミにヒットして、オオカミが『キャウン』といてたおれた。


 ドロップはなにだろうか。


 ・オオカミのにく

 ・オオカミの毛皮けがわ


 だそうだ。このゲーム、内臓ないぞうほねはどこへえるんだろう。あたまとしっぽも。


 順番じゅんばんにウサギ、ウサギ、オオカミ、ウサギ、というかんじでたまに戦闘せんとうになった。

 無事ぶじ、一つめの薬草やくそう群生ぐんせいつけた。


「いっぱいえてるね」

「はー。まさに、薬草やくそうのハーレムや~」

村長そんちょう感謝かんしゃですわ」


 三にん手分てわけをして採取さいしゅする。本当ほんとうにたくさんえているので、時間じかんかったけど、薬草やくそうが五十とれた。


 ちかくの倒木とうぼくしろいキノコが群生ぐんせいしていた。


「なんかキノコもえているけど、一ぽんずつじゃないし地面じめんじゃないね」


 とりあえず一ぽんだけってみる。


 ●もりしろニガキノコ

  もりしろキノコと間違まちがって採取さいしゅされる別種べっしゅのキノコ。どくつよ食用しょくようてきさない。

  種別しゅべつ素材そざいもの

  レア:1  ランク:2

  満腹まんぷく:5上昇じょうしょう

  状態じょうたい異常いじょうどく(ちゅう)


 初心しょしんしゃトラップのようなキノコだった。

 これ、しろキノコの情報じょうほうがないと、間違まちがってっちゃうパターンだわ。


どく(ちゅう)ってどれくらいかな。ちょっとクルミべてみる?」

「えー。いらない。にがいんでしょ。たぶん」


 とりあえず、った一ぽんだけストレージにしまって、つぎ採取さいしゅ場所ばしょかう。

 二かしょもかなりのかず薬草やくそう群生ぐんせいしていて、ここでも四十とれた。


 三かしょ日差ひざしがよくしこむ場所ばしょ薬草やくそうすこえていた。

 おどろいたことに、ツグミのがたくさんえている。


「これもっちゃおうか。用途ようとからないけど、美味おいしいからいいよね」

「おー。そうしよ~」

「そうですわ。渋抜しぶぬきポーションにれて、イチゴ風味ふうみティーにしましょう」

「それいいね。かえったらやってみよう」


 かえりのもりなか、けっこう採取さいしゅとかで時間じかんかり、もう夕方ゆうがたになっていた。

 なんと、オオカミがれであらわれた。


『『ガウ! ガウ!』』


『『ガウ! ガウ!』』


 全部ぜんぶで、ひ、ふ、み、……たぶん七ひきいる。しかも一ぴき体格たいかく二回ふたまわりデカかった。


「なんか、つよいのてきた」

「ぎゃー、ぜったいぜつめーだ。しぬぅ~」

だいピンチですわ。乙女おとめのピンチですわ」


 サクラちゃんは必死ひっし後衛こうえいまもろうとするけれど、かずおおすぎる。

 クルミもオオカミをやりまわしてけんせいしているけれど、それを突破とっぱしてクルミに次々つぎつぎおそかってくる。

 どうやら、れはまずクルミを脅威きょうい対象たいしょう判断はんだんして排除はいじょするだ。

 わたし動転どうてんして、とりあえずつえのままクルミをヒールで回復かいふくしようとするけど、あまり回復かいふくさせられない。

 そうこうしているうちに、わたしのところにもオオカミが一ぴきおそってくる。

 つえまわしつつ、マジックボールをたたんで、なんとかしようとしたけど、すぐにクルミがたおれた。

 オオカミのれはそのままわたしほうへきて、おおきい一ぴきだけがサクラちゃんと対戦たいせんしている。

 わたしもあっという死亡しぼうして、すぐにサクラちゃんもうしろからのオオカミの突撃とつげきでHPが0になったようだ。


 わたしたちはホログラムで表示ひょうじされている『「東村ひがしむら」へ帰還きかんしますか?』にYesを選択せんたくして、もどりすることになった。


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