一歩目『コイビト』

七時前に起きた私は

テレビでラジオ体操を眺めている

夏休みなんて

オトナには関係無いよね


私は馬鹿な学生だから

センパイが私のベッドに残した

愛を嗅いでいる

そこにあったはずだよね

どうして、もう

見えないのだろう


あなたを想いながら

時計の針が進むのを

感じている事は

キライじゃないよ


私はきっと

記憶力が良くないんだね

昨日味わったはずの

耳元の吐息や舌触りを

忘れてしまったみたい


あの眼差しを

もう一度浴びたいよ


今すぐに

開くはずもない

玄関の扉を見つめてしまう。



     Fin.





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