第56話揺蕩う

陶磁器のようなスピードで、ノックするドアの奥に、ある世界が溶けている。

揺蕩う。

青春の残滓を蹴り飛ばして、泣いているの?

僕らの失敗は、声を合わせないで、恋を信じたこと。

美しいな

この日差し。

美しいな

この月明り

愛してるよ。

愛してるよ。

素敵な背中に声をかける。

僕らの失敗は、微かな風の柔らかさ

頬が濡れて、泣いているの?

でもね、て言って、キスのことを考えるんだ。

あの月の頬に口づける。

笑ってよ。光ってよ。笑ってよ。光ってよ。

ループしていく日常に、愛の嵐を。

ループしていく日常に、夢の嵐を。

木枯らし舞う森の奥で、獣が目を閉じて、吠えるんだよ

怖いよ僕

母さん何処へ行ったの?

手を離さないで、そばに居て、独りは嫌なんだ。

ねえ、風さん。

ねえ、動物さん。

ねえ植物さん

抱きしめてほしいんだ

このまま連れて行って、死の世界に。

このまま連れて行って、死の世界に。

揺蕩う。

僕の魂が。

戸惑う。

僕の心が。

愛してるから、ね

愛してるから、ね

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