第39話バコウマ

穢れなき声。

やーっといった黄昏の公園で、独り夢を語る少女の君は。

未成熟なまま、心を待っている

夢という一つの言葉でつながれた、荒野を行く僕と君は、小さなつながりを愛していた。

メッセージでは繋がれない

ただ、ぬくもりだけを抱いて、毛布から出てくる仔馬のバコウマ

語るな乙女、と言ったら、ただ一人きり

冒険の矢先に、夜を迎えた。

手を結んで、黒髪を解く、ほつれた前髪が可愛いよ

キスのまま、傷を知らない言葉のワゴンで、星空を待っている

恋人になりたい。

坂道を押していく車の中で、抱き続ける欲望のシステムに、飲み込まれないで。

少女よ、抑えきれない衝動に、砂利道を蹴った今宵の宿場は、どこにある?

ここにある。

僕の胸の中に、秘めた星空の幻は、消えない軌跡を描いて、回っていくメリーゴーラウンドと眩暈のようなキスを、初めての目的地、旅先で、待っている出会いのかけがえなさ。

独立心の強い君は、無鉄砲な唇を隠して、主張する、ここから消えたいなんて言って僕をたぶらかすんだね。

ジェット機が飛んでいけば、追いすがる鳥たちの小さな夢を愛しているから、僕は君に出会えた軌跡を刻んでいくステップのままに、傷だらけのブーツが、旅の意味を知っている。

命を懸けて、愛してくれた、君の声が、この荒野を幾千ものビブラートの、渡っていく夢の続きに、虹の下で、約束した。

小指がきれいな君の恋に、僕がいれたこと

小指がきれいな君の夢に、僕が生きていること

抱きしめてもいい?

バコウマ。

バコウマはあなたを愛しています

僕は、君を愛してる。

例え、僕と君の靴を鳴らす音が途切れても、この想いは消えない。

あの日、君を見かけたダムの上で、踊っていた無邪気に、ただ夢だけを信じて。

君の涙が、星空を語るなら、星座になりたい、僕の詩で。

バコウマ、祝福よりもただ君のぬくもりを

バコウマ、未来よりも、君を感じているこの瞬間を。

生まれたときから一人だったわけじゃない

きっと、それはひそめておく

君の愁眉な眉が、悲しく動かないように。

僕は眠る君をくるんでいる毛布を、そっと直して、語るべき言葉で、君を温めたい。

そのぬくもりだけが、君を測るものだとしたら、僕は君から離れて、銀河の先へ、冷たい孤独を、君が引き止めてくれたから、僕はこうしていられる。

穢れなき声。

うまれたままの心で、透き通る世界を見ているからね。

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