第24話変化する森
可変する色の歌う、声。
変わっていく森に、移りゆく街の外で、遊んでいる世界が、一つの闇に沈むなら、変わらない僕らの、変化する今。
可変する色を歌う、声。
言葉が速まって、すり替わった幻想と現実の交じり合う点に、何かがあると、走っていく少年の背中に、乗っかっている重い荷物を、降ろすこと、森で遊ぶ妖精の会話が、耳に聞こえてくる、そんな夢に見続ける木立の後ろで、待っている君は僕の最愛の人。
手招きする君の耳たぶの後ろにいるピアスのスピカ。
月夜に輝くなら、宇宙の胎動が聞こえる、耳を向けて、スピカの憧れに夜を歌う声、森の木陰で囀る小鳥の朝を待つ夢に、ひしめき合うような星々が、森を知らない音にキラキラと鳴って、大地で眠る狐の耳に、ぴくっとなったピアスの穴に落ちていく旅人の行先が、深くなっていく夜に、穏やかな向こうの山。走る影が一列になって、白いネズミの目指すのは、宵しれず、明かした話に興じる、大きな笑い声が、クマの耳に届いて、ピアスの穴が見える。
繰り返していく抱擁に、恋人の切ない声が、可変する森で、生きた存在を謳う。
ほら、君の僕の生きてる。
走っていく森の動物たちは、寂しくない。例え、夜が明ける前の闇の中でも。
でも、朝日が、昇る、その時に、水滴が、葉について、ぽとった落ちれば、得も言われぬめんどくささ、ああ、今日が始まるのか。
運動していく星で、一叢の茂みの中で、夜を明かした恋人は、今日も、街に戻る。
運動していく星の、穴の中で、大地を踏みしめる定めの旅人は、孤独の木々の間を抜け、葉の間からのぞく太陽を見上げる。
変化していく日々にたどり着いた今日が、笑顔と涙をくれる。
宇宙の隙間に落ちたピアスの片方を探してくれる恋人は、あなたの帰りを待っている。
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