第16話目覚める朝

時計を気にして、目が覚めて、今という時に、考える気分がいい。

沈んだ日に、ボートが沈むニュースを見る。

僕とは関係ないと思って、ラジオを回す。

音楽が流れた。

気分はよくなる。

昨日のこととか、自由のこととか、頭が痛いから、真っ白な雲を見る。

ああ、憧れ

あの雲に乗れたらと、考えて、すっと部屋を出る。

外の木を見上げて、僕は、自由だと思った。

ハーモニーが聞こえる。

小鳥たちの

もしかしたら歌ってくれないか、僕のために

でも、悲しげなさえずりが、小鳥は素知らぬ顔だと言っている。

部屋のラジオが、鳴り続ける。

気にして、戻って、ラジオを回す。

おしゃべりなDJが、今日の天気を話すから、きっと当たらないかなと思って、大きく伸びをする。

目覚める朝の情景に、人知れず泣くこともある。

目覚める朝の情景に、昨夜の夢にいら立って、もっと、いい夢を見たいと思うこともある。

気分がいい。

そんな朝には、ふさわしい。音楽は、やはりDJが薦めてくれる。

自分で選んだ曲が、どうして、朝に合わないか、なんて考えると、おかしい気持ちになって、不思議な高揚感が、包み込む。

相変わらず雲がゆっくりと流れてる。

相変わらず世界は、と書こうとして、躊躇するのは、そんなことよりも、朝の食事がとりたくなったからだ。

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