第2話 転生
どこか遠くからチュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえて、反射的に体を起こした。
「うわあああっ!?」
急いで周りを見渡す。
木。
木。
木。
開けた空からは無数の木漏れ日が見えて、とても神秘的な景色が広がっていた。
「森の中!?」
俺は思わず自分のほっぺたをつねってみた。
全然痛くない。
何だ……やっぱり夢か……。
って! こんな鮮明な夢があるかっ!
そのとき、俺の前に小さな光が灯り始め、胸の中に入ってきた。
すると頭の中に神様の声がダイレクトに流れる。
『トウジさん~転生おめでとうございます。これは私が一方的に送るメッセージです。一度しか再生されないのでよ~く聞いてくださいね。貴方が転生した世界“アルテナ”は、ゲームとかでよく見たレベルやらステータス、スキルなどが存在します。これから“ステータスオープン”と口で唱えてみてください。トウジさんにしか見えない画面が出現します。ちなみに他の人達も使えますので、この世界では当たり前のことだと思ってくださいね~』
「ステータスオープン」
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【ステータス】
名 前:トウジ
年 齢:18歳
レベル:1
M P:1000
力 :30
頑 丈:1500
俊 敏:200
器 用:1000
魔 力:30
精神力:1500
運 :3000
【
・暴力の呪い
・全状態異常無効
・収穫
・ウォーキング
【
・プランター召喚 <レベル1>
・サバイバル道具召喚 <レベル1>
【転生特典】
・言語理解
・鑑定 <レベル1>
・アイテムボックス <レベル1>
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『能力ですが、旅が楽しくなるようなステータスなので、余程危険な場所じゃない限りはどこに行っても死ぬことはないでしょう。この世界にはモンスターが現れますが、中級モンスターならトウジさんに傷一つ付けられないステータスになります。さらに歩いて疲れたりしないように“ウォーキング”と特典として、物の特性を理解できる“鑑定”、多種族が多いので言語を理解できる“言語理解”、持ち運びする物が多くなると旅も大変だと思うので“アイテムボックス”、旅中にいろんな道具が必要だと思うので“サバイバル道具”を与えました』
ステータスやスキルだけでなく特典までもらえた!?
『さらにトウジさんのやりたいことの一つの農業は移動しながらでもできるように、家庭菜園でよく利用されているものをスキルとして作ってみました。“プランター召喚”や“農具召喚”を使って好きなように育ててみてください。レベルが上昇するともっとたくさんの物が作れるようになりますよ~最後に、これらのスキルを使うのは
女神様……ありがとうございます!
まさかこんなに良くしてもらえるなんて…………正直に言えば、あの病気から解放してくれて、歩けるようにしてくれただけでも感謝するばかりなのに、こんなに何から何までやってくださって…………。
久しぶりに人の優しさの温もりに涙が溢れた。
病気のせいで看護師さんは投薬時間以外は基本的にモニター監視だったし……こうやって誰かとちゃんと喋れたのも久しぶりだな……。
しばらくの間、俺は吹いてくる優しい風を受けながら、新緑の匂いを堪能した。
◆
転生して自由だ~ってなったけど、生きるってお腹が空く。忘れていたけど何かを食べたい欲求を久々に感じて、周りに食べられる物はないか探してみる。
まだモンスターには遭遇してないけど、女神様から頂いたステータスなら問題なさそうだしな。
開けてるとはいえ森の中らしく、周りを見てもどこにいけばいいのか全然わからない。今はまず何か食べ物だったり、異世界の物を見て回ることにしようか。
広がっている森の眺めると、どこかで見たような果物とかが見えたりするけど、食べれるかはわからない。
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鑑定を自動発動させますか?
<YES>/<NO>
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お! さっそく神様からもらった鑑定が発動した。ステータスウィンドウと同じく透き通る水色のウィンドウだ。
押せばいいのか? というかどうして英語……? まあ、それはいいか。
<YES>を押すと、目に見える食物達に白い背景のウィンドウが表示された。
なるほど。鑑定事態のウィンドウは水色じゃなくて白色の背景ね。
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名称:リンゴの木
種類:樹木
食材価値:無
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名称:リンゴの葉っぱ
種類:葉
食材価値:低
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名称:リンゴの果実
種類:果物
食材価値:中
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木の上に実っている赤い果物や木のところにそれぞれウィンドウが表記され、名前と種類……に食材価値というものだけ書かれている。
見た感じ俺の鑑定のレベルがまだ1だから、これが上昇すればもっと詳しく教えてくれたりするのかな?
ひとまず、食材価値が中なら食べても問題なさそうだ。
Aスキルの【サバイバル道具召喚】を使ってみる。
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【サバイバル道具】
・サバイバルナイフ <消費MP10>
・ライター <消費MP5>
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ナイフとライターだけか……ライターで燃やす……? いやいや、森の中で火遊びなんてしなら大変なことになるからな。
まずはナイフを召喚してみると、手で握りやすいサバイバルナイフが現れた。
フィット感も良く、刃も鋭くて使いやすそう。
召喚ってことは、これはある意味では魔法として捉えていいんだよな? 日本でこんなことしたら怒られるかもしれないが……魔法なら投げても問題ないよな!
俺は思いっきりリンゴの木の上に付いている果実を目掛けてナイフを投げ込んだ。
自分がまるでメジャーリーグのピッチャーにでもなったかのようにナイフをリリースする際に指で調整ができるし、何となく軌道すら読める。
投げ込んだナイフが綺麗に真っすぐ投げられ、枝に繋がっている果実の柄をドンピシャに貫いた。
落ちてくる赤い果物もいとも簡単に受け取ることができた。
これが異世界のステータスの凄さなのだな……!
それにしても、異世界だというのに普通に林檎が実っているけど、不思議なんだよな……。もっとこう別な植物とかがあるものだと思っていた。
いや、厳密にいえば、その他にも植物はあって、俺の知識では見たことがないものもある。
ひとまず、考えるのはあとにして落ちてきた赤い果物リンゴを皮のままかぶりついてみる。
口の中に甘酸っぱさが広がった。
「美味い~! こんな美味しい
投げつけたサバイバルナイフは役目を終えると消える仕様のようで、それから俺は何度かサバイバルナイフを投げてリンゴの実をいくつも食べて腹を満たした。
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