不動産屋の怪談
ゴオルド
誰が住んでも、絶対にゴミ屋敷になるんです
これは私が不動産屋に勤めていたときの話です。
その不動産屋では、とあるマンションを管理しておりました。そのマンションは、お墓に囲まれるようにして建っていました。
実はお墓に面した物件というのは、オカルトな苦情が少ないです。幽霊やおばけを信じる人はこういうところには入居しないからでしょうか? それとも墓地を管理しているお寺が守ってくださっているのでしょうか?
ですので、そのマンションも霊が出るようなこともなく、トラブルの少ない物件でした。
ただ……。
101号室だけは、常に問題を抱えていました。
101号室は、いわゆるゴミ屋敷でした。
ここに住んでいたのは、近くの私立大学に通う男子大学生でした。大学入学を機にひとり暮らしを始めたんだそうです。はじめてのひとり暮らしですから、ひょっとしたら彼はゴミ出しや片付けを自分でやることにまだ慣れていなかっただけなのかもしれません。
夏場は臭うということで近隣から苦情が入り、部屋を見にいくと天井までゴミ袋がぎっしり積み上げられて、足の踏み場がないほどでした。
何度か注意をしていたら、ここを引き払って出ていくとおっしゃったので、ほっとしたのを覚えています。これでもう入居者さんに注意をしにいかなくて済みます。文句を言いにいくというのは嫌なものですから、なるべくやりたくないのです。
次に入居されたのは、会社員の若い女性でした。
彼女が住むようになって、一年ぐらい経った頃でしょうか。またご近所から悪臭の苦情があったのです。
まさかと思って部屋を訪問してみたら、天井までゴミ袋がぎっしり。以前の入居者さんのときと全く同じでした。
その後、入居者さんは何人か入れ替わったのですが、その部屋はなぜか誰が住んでもゴミ屋敷になるのでした。
これは何かあるんじゃないか……。
部屋が呪われているとか、悪霊がいるとか、そういうことがあるように思えてなりませんでした。
最初は住んでいる人に問題があるのかと疑っていましたが、誰が住んでもゴミ屋敷になるのですから、人ではなくて部屋が悪いのではないかという気がしてきたのです。
こうなってくると、このマンションがお墓に囲まれているのも関係があるように思えてなりません。もしかして、ここはいわくつきの土地だったりするのでしょうか……。
そう思って、大家さんに相談したんです。
すると、大家さんはこう言いました。
「101号室はね……私の親戚をタダで住ませてあげているのよ……うちの一族って片付けが苦手なのよ……」
ああ~!
呪イジャナカッタ~! でもなんか……大家さんの親戚の悪口を言ったみたいになっちゃった~!
こわ~い。
<おわり>
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