最終話 復讐の矛先
「・・・こ、これは?」
「まぁ友春さまのこれまでのことです」
パラっパラっパラっ…
「まず今回の違約金となる1億円のざっくりとした詳細です」
そうゆうと、サトーは資料を広げ淡々と説明を始めた。
「…」
友春が目を落とした資料に記載されていたもの。
ーーーーー
xx市における反逆罪及び請求書
金額:100,000,000円
こちらの金額の詳細は、須藤友春が、嫁の須藤清乃に対し行った様々なことなどから、その痛みを金額に変え請求したものです。
こちらは、xx市に住民登録した際の規約第100条に基づき行っております。
それらを前提に、須藤友春は規約違反を行ったことを確認したので、以下の通り請求します。
[金額内訳]
・着手および対応金
-5,000万円
・須藤清乃の心体を傷つけた代償
-2,500万円
・不倫相手との密会等(対面)
-1,600万円
・不倫相手とのやり取り等(非対面)
-900万円
計:100,000,000円
ーーーーー
「・・・なんなんだこれ」
「いやいや、友春さまがおこなった悪行ですよ」
「こんな適当なことばかり書きやがってふざけんな!」
「ふざけてなんかいません!事実を記載しているだけですから」
「会ったこともないアンタにないが分かるってんだ!!」
「はぁ・・・ほんとどうしようもないグズですね・・・」
「いいですよ、さらにお見せします」
友春の怒号が響く中、冷静にサトーはさらに資料を確認する。
パラパラ…
「あっありました・・・」
「こちらは、先ほどの資料に記載した金額内訳をもっと具体的にしたものです」
バンッ!!!!
見つけた資料を強く机に叩きつけ、資料に記載しれている項目を指差しながら説明を続けた。
「まず、・須藤清乃の心体を傷つけた代償の2,500万円、こちらの詳細です」
「清乃さんのお顔が傷ついてしまったことや、妊娠ができないかもしれない体になってしまったこと、そしてずっと生でSEXさせてくれなかったことなどを、不倫相手に愚痴るように話し侮辱したことの代償です」
「ぐっ・・・・」
「先ほどのボイスレコーダーでも友春さまがご自分で話していたでしょ?」
「心当たりがあるはずです」
「そして次はこちら・・・」
バンッ!!!!
さらに資料を差し替え説明を続ける。
「こちらは・不倫相手との密会等(対面)の1,600万円の詳細です」
「清乃さんに内緒で直接会っていた回数が289回以上」
「さらに、SEXをした回数152回・・・こちらはラブホテルやそれぞれのご自宅などでのことです」
「・・・て、適当すぎるだろ!!」
「いえ、そんなことはございません、なんならラブホテルなどでのお2人の映像でもお見せしましょうか?」
「…」
「まま、詳しいことは後ほどということで、話を続けます」
ずっと冷静に淡々と話すサトーがまた資料を見せた。
「こちらが最後になりますが、不倫相手とのやり取り等(非対面)の900万円になります」
「その内訳の一部ですと・・・LINEでのやり取りの回数が5475回」
「このうち、それぞれで好きと言った回数が11回ですね」
「これらはあくまで表層ですので、もっと詳しくお伝えできますしお見せできる証拠はございますが・・・?」
「・・・」
「…おい、適当言ってんじゃねーぞ・・・」
「ですから、先ほどもお見せしたでしょう?アナタのやってきた証拠を・・・」
「全部心当たりあるはずなのでは?」
「ざけんな!!」
ガタンっバン
「あっ・・・・」
何を言われているのか理解できていない、いや理解はしているが・・・
友春は我を忘れサトーに殴りかかった。
バシっ…
びっくりした声と共に目を伏せてしまった清乃だったが、サトーの声も聞こえない静寂に気付き目をゆっくりと開いた。
「ぐぅ・・・お、お前・・・」
そこには、突然男が殴りかかったにも関わらず、サトーがその殴りかかる拳を掌で抑え、目の前で押さえてしまっていた。
「…友春さま、これらに加えて暴行罪も追加してほしいのですか?」
何事もなかったようにサトーは理路整然と問いかけた。
そんなサトーの行動と発言に何も言えなくなり、立ったままだが差し出した拳に力はなくなっていった。
ススっ…プルルルル
「私です、はい、お願いします」
サトーは空いている片方の手でスマホを取り出しどこかに連絡を入れた。
ガチャ・・・ドタドタドタ
その数秒後、3人の黒服男性が家に入ってきて、力のなくなった友春を剥がし囲った。
「友春さま、大人にならないといけませんよ」
「さっ清乃さん、我々は出ましょう」
「・・・はい」
サトーはゆっくりと清乃に向かって話し、2人は席を立った。
ガタッ…
「…アナタって女性に手を出すのね・・・最低・・・」
「・・・」
「ずっと好きでした。これまでありがとうございました」
何も言い出せない友春に向かい、立ったまま軽く会釈して玄関に向かった。
「・・・サトーさん、行きましょ」
「はい、行きましょう」
「あとはこの黒服が対応してくれますので」
「では、友春さま失礼いたします」
スタスタスタ…ガチャ
「あっ・・・」
リビングのドアを開けたところで、サトーが思い出したかのように立ち止まり振り返る。
「友春さま」
「…」
「今回、このようなことになってしまった事は友春さまも致し方ない心境などがあっての事だと思います」
「それはただ、性欲を100%満たしてくれる人と出会えたからではないことも私は理解しております」
「ですが、清乃さんに対し我々では計り知れない消えることのない痛みをアナタは刻みました」
「それの代償が結果として1億円というとんでもないお金に変わった・・・」
「こちらは罪滅ぼしとして、きっちり払ってください」
「・・・」
「それと・・・」
「勘違いしてほしくないのですが、アナタが犯した事は本来お金なんかで相殺できるものではない事を理解してください」
「仕事ができるアナタの頭ならわかりますよね??それでは…」
バタン……
・・・
・・
・
スタスタスタ…
「清乃さん〜!」
先に家を出ていた清乃に駆け足で追いつくサトー。
「サトーさん・・・色々とありがとうございました…」
「清乃さん・・・大丈夫でしょうか?」
「・・・今はわかりません…」
「そうですね…最初のやり取りをさせてもらった時にも話しましたが、我々もなにが正解かはわかりません・・・」
「ですが、同じ女性としてあのままで生きていく清乃さんを助けたかった・・・」
「・・・・・はい」
「でも、これでよかったのかなって・・・」
「それは、今後の清乃さん前に歩んでいつか、よかった…って!そうなっていくと思います」
「あ、ありがとうございます…」
「改めてお伝えしますが、わたくしサトー…いえ
「あぁっ・・・うぅ…はい」
あの時から色々と知ってしまって、1人ずっと泣き続けていた。
いつしか、感情が薄れなくなっているのを感じ、気づいたら涙も枯れていた。
だから今日、友春と対面していた時も、最後の言葉を伝えた時も、家を出た時も。
涙はなかった。
けどこの4ヶ月、側にいて話を聞いてくれていたサトーが、本当の名前を口にしてくれた・・・
そして今度も味方って言ってくれたことが、なにより嬉しくて・・・
勝手に涙が溢れていた。
「清乃さん、大丈夫ですよ〜」
スッ…
そう言う如月はさっきとは違う優しい顔で語りかけ、そっとハンカチを差し出してくれた。
「美緒さん、、、本当に本当にありがとう….」
「いえいえ、私は当然のことをしたまでです!」
同年代とは思えない安心感を感じた。
「美緒さんはすごいです」
「ありがとうございます!でも、清乃さんが一番頑張ったんですから!」
「ありがとうございます・・・」
「これで1つ終わりましたね」
「・・・」
「すぐじゃなくても大丈夫ですが、清乃さんどうしますか・・・?」
「はい・・・いえ!このまま行きましょう」
「承知しました。友春さんと同様に全部握っておりますから安心してください」
力強い如月の声に呼応するように返事をした。
「はい」
「どこにいるのかは知っていますから・・・」
「そうですね」
「なにも知らない顔してずっと過ごしてたんでしょ?」
「・・・私と顔が同じな双子のお姉ちゃん?」
覚悟はもう決まっている清乃はそう呟くと如月と歩きだし、夜の闇に消えていった。
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最後までお読みくださいまして、誠にありがとうございました。
この物語はいかがでしたでしょうか?
このような恋愛小説を執筆するのは初めてでした。
が、より現代風でリアルな描写を描くように心がけておりました。
初となる少しの性的描写もなかなか苦戦しましたが、満足いくようなものが描けたと思っております。
エピローグではないのですが、この作品を執筆するにあたった世界観や裏設定など簡単ですが、まとめたものを公開しますので、ご興味ある方はお読みくださいますと嬉しいです!!
最後に、ここまでお読みくださった読者さま、本当にありがとうございました。
よかったら、評価やコメント、応援など率直なご感想をいただけると幸いです。
引き続き、初めての小説書き出し風をどうぞよろしくお願いいたします〜!
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