第38話 魔銃士、初めてのダンジョン踏破に挑む・2
予想通り俺たちは銀の翼、獅子王の瞳とそれぞれのパーティーに別れて行動する。初めは一本道の下り坂で出没する敵も、植物系の
「最初はこんなもんじゃ、もう少し進むと階段がある区域に出る。そこから三つの階段を選ぶことになるんじゃが……右と左はワシの仲間が進み、罠にかかった」
となると、残りのひとつに入るしかない訳ね。ただダンジョンマスターはどうも性格が悪いらしいから、前回と同じルートに罠を張っておくのかという疑問が湧いた。今回は人数が多いし、ダンジョンマスターは全てに罠を張っているかもしれない。
「あのさ、まさかと思うけど今回はすべてのルートに罠があるってことは」
「ンだとテメェ、師匠の探索に文句があんのかよ? アア゛?」
うっせーなダミアン、どこぞの
「ええ加減にせんかダミアン。異世界渡りどの――えっとソーどの、かな? 彼の意見ももっともじゃ。同じ罠がいつまでもあるとは限らん」
渋々ではあったがダミアンが謝罪し、俺たちは相変わらず出没する植物系の
「以前に来たときも階層を守る守護者がいなかったんじゃ。さて、今回はどうなることか」
「罠の有無を調べるなら、あたしの出番ね」
「
すると罠が仕掛けられていたであろう中央と左の穴前に置いた金属棒が赤く光り、やがてどろどろに溶けてしまった。
「おれ、真ん中に行こうと決めていたのに……突っ込まなくて良かった」
引きつった顔でマティアスが呟いている。なるほど、盗賊《シーフ》や上位職のトレジャーハンターがいなければ、こういった罠に引っかかって全滅する可能性が高いのか。俺たちにはアガサがいたから良かったけれど、獅子王の瞳だけだったら悲惨なことになりかねない。
「まだ右の穴に行かないで。二重に罠が仕掛けられているかもしれないから」
「そうじゃな、慎重になりすぎてちょうどええじゃろう」
「アガサ、気をつけて」
「判ってるわ、エド」
俺たちの方に微笑みを見せてから彼女は、今度は
「
と告げる。
青白い光が穴の中から出てきて、みなが一斉にアガサを見た。
「やっぱり何かあったみたいね。あの
「ありがとうアガサ」
「最初の罠を破っただけよ。今後もさまざまな罠があると思うの、お礼は心の中で充分よ」
みなからお礼を言われても、彼女はクールな態度を崩さない。だがほんのり耳が赤くなっているところが、まだ十代の女の子らしいところだ。安全が確保されたルートを、ヴィゴさんが先頭になって進む。相変わらず明るくて地下へ進んでいることを忘れそうになるくらいだ。
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