オタクに優しいギャルなんて学校に存在しません!~だけど学校のギャルに勉強を教える先生に任命されました
楠木のある
第一章 オタクと勉強会と三人の生徒
第1話 オタクに優しいギャルなんて学校に存在しない!
「ねー、オタ~? これはなんてアニメのフィギュアなの?」
「そんなガシッと触るな!」
「きゃ~! オタが怒ったぁ~」
いつからだったか……。
この厄災のような女が家に来るようになったのは。
俺は
趣味はアニメやゲーム、漫画など、オタクと呼ばれる分類に所属する人間だ。
友達はもちろん、クラスで喋るなんてことはほとんどない。
寝るか、漫画かアニメを教室で見ている男だ。
高校生たちがやっているSNSなどはほとんどしていない。
「えー? アンタの彼氏まじやばじゃね?」
「う~ん、でもいい男なんだよー」
「アタシにはまだわかんねー」
「サリーは彼氏作らないわけ? めっちゃ連絡先聞かれるんだけど」
男子どもはこぞってそのギャル集団を鼻の下を伸ばしながら見ている。
(こんなギャルの何が良いんだか、どうせオタクなんかを裏でいじり倒して笑っているような人物たちだぞ)
俺ははぁっとため息を吐いて、次の授業の準備をしようと教科書を机の上に出そうとした時、梨々香が机の上に座ってきた。
(こいつ……人の机に座るんじゃねぇよ)
なんて心の中では強く出れるが、現実ではそうもいかない。
俺みたいな陰キャオタクが何か言ったところで、変わらない。
そっと、当たらないように机の隅の方に教科書を置く。
梨々香が態勢を変えた時に、教科書に当たってしまい、ばたばたと落ちる。
「あっ、やっばー……ごめんね!」
「……い、いや、別に」
「拾うから待ってて!」
「あ……りがとう」
梨々香は申し訳なさそうな表情で、教科書を拾っている。
すると後ろで見ていた同じグループのギャルが口を開く。
「サリーのお尻が大きくて、教科書が落ちた」
と大きな声で笑いながら話した。
それに梨々香もすぐに反応した。
「ち、ちがうし! 大きくないから!」
「ほんとー? だって、結構端にあった教科書落としたんだよ?」
「あ、あたしお尻大きくないし」
ぷるぷると震えながら耳まで真っ赤になって恥ずかしそうだった。
「大きいとか小さいとかいいから……とりあえず拾って」
俺は絞り出したかのような小さなか細い声で話した。
梨々香には聞こえているが、奥の女子には聞こえていない。
すると、ダンッ! と机にものすごい勢いで手のひらを打ち付けて、ネクタイごと引っ張られて、ギャルとの距離が近くなる。
大きな瞳、クルッとした長い髪の毛、香ってくるいい匂い。
赤くぷくっとした唇、白く透き通るような肌がほんのり赤くなっている。
(な、な、なんなんだ! こ、これはいったいどういう状況なんだ)
俺は真っ白になっている頭の中を超回転させて考えた。
しかし、これまで恋愛はおろか女子ともまともに関わってきたことがないため、考えることは早々に諦めた。
「わ、私は……」
「ひゃ、ひゃい?」
「……きくないから」
「な、なんですか?」
うまく聞き取れず、聞き返すとギロッと睨むような瞳で、すこし瞳をウルっとさせて、俺に言った。
「アタシ、お尻大きくないからっ」
「ちょっとサリー? オタクがきょどってるからやめなー?」
「あ、ごめん……教科書も置いとくね」
「てか、サリーにきょどってるオタクウケる」
別にウケねぇよ、てかそこ気にしてたのかよ……。
ギャル、いや女子が分からないと感じた。
今思えば、ここからだったのかもしれない、俺と
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