第81話 たった一人の親友へ

「了真ー!早く早くー!」

「へいへい」


素人目でも分かるくらい服をバチバチに決めてきた真菰が俺を呼ぶ


今日は真菰と遊園地に2人っきりで遊びに来ている


チケットはルカの分体が融通してくれたものを使っている。なんとゴールドパス…待ち時間が無いのは非常にありがたい


「何から乗るー?時間はいっぱいあるし全部乗ってみる?」

「あーそれも良いかもな…一日暇なんでしょ?今日」

「今日も泊まる予定だよ」

「もう何も言うまい」


嫌な訳ではないし別にいいかうん


「じゃああのメリーゴーランドから乗ろうかな!近いし!」

「俺じゃあメリーゴーランド乗ってるお前の映像撮るから待ってるわ外で」

「何で映像を…?」

「チケットくれたルカが撮ってきてくれって…」

「何も言えないなぁそれは…」


チケットくれたし出来るだけ要望には答えたいからね


ゴールドパスのおかげで並ぶことも無く真菰がメリーゴーランドに乗れたのでその様子をしっかりと映像に収める


「了真ー!撮れてるー?」

「ばっちり撮れてる」

「良かった!」


真菰がこちらを向いて笑顔で手を振ってくれているのでしっかりと映像に収めながらもついでに写真も撮る


思い出なんていくらあっても困らないからね


回り終わった真菰が映像を撮っていた俺に近付いてくる


「どうだった?」

「ひっさしぶりに乗ったけど中々楽しかった。次はどれ乗る?」

「俺もメリーゴーランド乗りたくなったからこのカメラで俺の事撮影してくれない?」

「任せて!」


人が乗ってるの見ると乗りたくなっちゃうよね


「ヒューヒュー!了真こっち向いてー!」


「絵になるー!」


「かっこいいよー!」


真菰の声援で死ぬ程恥ずかしい思いはしたけど中々メリーゴーランドは楽しめた


「どうだった?」

「すんごい恥ずかしかった」

「てへ」


メリーゴーランドを乗り終わった俺たちは次に近くにあったジェットコースターに向かう


「…あれ勢いでジェットコースター乗ったけど真菰ってジェットコースター大丈夫…じゃ無さそうな顔色」


ゴールドパス様のおかげで待ち時間も無くジェットコースターに乗れたので真菰の方を見てみると真っ青な顔をしている


「いいいいい今までありがとう了真」

「死ぬの?」


震えが止まらなさそうな真菰に手を繋ぐのを要求されたのでしっかりと手を繋ぎながらジェットコースターが発進する


「死にそう私…」

「死ぬことはねぇから安心しろ真菰…俺がいる限り万が一も無いから」

「そっそうだよね」


段々とジェットコースターが上へと向かっていきそろそろ頂点へと達する


久しぶりにジェットコースター乗るから俺もちょっと心配になるな…大丈夫?あんなこと言っておいて叫び散らかしたらダサすぎるよ???


「ねっねぇ了真」


そんな事を考えていると真菰に声をかけられる


「どうした?」


そう問いながら真菰の方へと目を向ける


安全バーが上に上がりきってる真菰の姿が目に入った


「助けて…」


その姿を見た瞬間に魔力を使って安全バーの代わりを作り出す


作り出した瞬間にジェットコースターが急降下を始める


何とか間に合った…


「あばばばばばばば」


無事では無さそうだけども


一周して戻る寸前に安全バーの代わりを魔力へと戻し上がりきっていた安全バーを降ろす


最初から降ろせば良かっただけなのに何で新しく作ったんだろう俺…テンパってたなやっぱりあの時は


とりあえずジェットコースターから降りて腰を抜かした真菰を抱き抱えながらそこら辺にあったベンチに座り休憩する


「大丈夫そ?」

「じぇんじぇんだめ」

「駄目かぁ…じゃあ少し休憩しような」

「する…」


真菰が落ち着くまでたっぷり1時間ほど休憩してからベンチから立ち次のアトラクションへと向かう


「ふー……二度と乗らないジェットコースター…」

「大分ダウンしてたもんな」

「不覚…!」

「自前で飛べるのにジェットコースターって怖くなるもんなん?」

「自分で速度とか操れないとやっぱり怖い…」

「どんまい」


自分で飛べるからこそ怖いのかもなぁ…いや人によるとは思うけれども


その後も色んなアトラクションに乗って色んな映像を撮ったりしていると良い時間になってきたのでご飯を食べる


「なんでこういう遊園地にあるご飯っていつもと変わらないはずなのに美味しく感じるんだろうね」

「夏祭りのボソボソとした焼きそばが美味しいのと同じじゃない?雰囲気よ雰囲気」

「ふいんきは大事だよね」

「雰囲気な」

「そうとも言う」


もぐもぐご飯を食べながら真菰との雑談に興じる。午後は何処行くかーとかそんな感じのことをつらつら話す


「午後一発目お化け屋敷でいいん?お前昔別の遊園地で行った時絶叫して腰抜かしてなかった?」

「それ中学生の時じゃん!今はもう立派な大人のレディーなんだから余裕だよ!」

「大人のレディーさんジェットコースターで腰抜かして無かった?」

「安全バー上に上がって腰抜かさない人居なくない?」

「それはそう」


多分屈強な男でも冷や汗ダラダラ腰ガクガクよ


ご飯を食べ終わり返却口に返却してからお化け屋敷へと入り撮影を始める


「うわぁーやっぱり雰囲気あるねぇ…」

「ここお化け屋敷怖いって有名だしな」

「えっ何それ聞いてない」


仄暗い雰囲気とかBGMとかかなり気合い入ってるなぁ…さっきから真菰が俺の腕を掴んで離さないし…


「了真絶対先に行かないでね!横!横に並んで行こうね!」

「腕掴まれてるし先には行かんよ大丈夫だよ」


ここで急に走り出したら多分3日は口聞いてくれなさそうだし自重しよ


「ひゃああぁぁぁぁ!」


「ひぃぃぃぃぃぃ!」


「みゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


結局全部の驚かしポイントに面白いくらい引っかかった真菰はお化け屋敷から出る頃には腰が抜けていたのでお姫様抱っこしながらお化け屋敷を出る


「…まっままままぁまぁだったね…」

「俺にしがみつきながら言っても説得力無いぞ」

「うぐぐぐぐ」


まぁお化け屋敷側からすると良い客だったろうな真菰…後半のお化けさんめっちゃ元気だったし。俺みたいに驚かなさすぎる人だと驚かせがいないしな


その後も色んなアトラクションに乗って色んな思い出を作ってから空も暗くなってきたので最後に観覧車に乗る


「今日は楽しかったねー」

「楽しかったなぁ…いっぱい映像も撮ったしルカも満足するだろ」

「いっぱい激写もしたもんね」


今日だけで沢山思い出が出来たなぁ


「色々なアクシデントはあったけどな」

「私が腰3回くらい抜かしたりとか私がナンパ受けて了真がブチ切れたりとかね」

「ナンパは許さんよ俺は」


触ろうともしてたし慈悲なんてないよね。殺さなかっただけありがたいと思って欲しい


二度と男として子孫を残すことは出来なくさせておいたけどまぁ誤差だよね


「帰りたくないなぁ…」

「まぁまたいつでも来れるだろ…別に今日か明日にでも死ぬわけでもあるまいし」

「そうだけどやっぱり寂しくなるよね楽しい一日の終わりって」

「めっちゃ分かる」


物悲しさがあるよね


「んじゃ帰りちょっと公園寄って帰ろうぜいつものとこの」

「おっいいね!寄ろ寄ろー!」


そんな事を話しながら景色を楽しんだあと観覧車を降りて遊園地から出る


和やかに話しながら公園へと向かっている最中にあることを言う決心を決めていく


いつもの公園は結構な夜なこともあって人が居なかったのでベンチに腰を落ち着けながら話をする


「あっそういやクラスの○○ちゃんがカンボジアに留学しに行ったらしいよ」

「どんな経緯で…?」


あの人カンボジアに縁もゆかりも無かっただろ


「不思議だよねぇ」

「不思議すぎるな…」


そんな他愛もないことを話しながら覚悟が決まったので話を切り出す


「それに影響受けて先生もイングランドにサンバの衣装で踊りに行ったりしたらしくて…」

「その話も凄く気になるんだけどちょっと話をしていいか真菰」

「ん?良いよ。どしたの?そんな真剣な顔で」

「だいっじな話したくてさ」

「もしや結婚の話…!?」

「当たらずとも遠からずみたいな?」

「ふひぇっ!」

「どんな鳴き声してんだお前」


俺初めて聞いたよその声


「まぁ話…の前に言っておきたいことがあってさ」

「うっうん」

「大前提として俺はお前のこと愛してる訳よ」

「…………うん」

「でも俺は不老不死でお前は亜神にまで至ったとは言え不老って訳でも不死って訳でもないじゃん?」

「…そうだね」

「だから…うーんその…さ。俺が眷属作れるってのは前話したとは思うんだけど…」

「前言ってたね…って事はもしかして?」

「嫌なら良いし無理強いはしたくないんだけど俺の眷属になって一生俺と一緒に居てくれないかなぁって…」

「了…」

「いや嫌なら良いんだよ?無理強いは出来ないし…俺なんかとはあんま一緒には居たくないかもしれないし…」


恥ずかしくて真菰の顔を見ることが出来ない。素面でこんな事を言うのは顔が赤くなって仕方がない


重くない?やっぱり。一生一緒に居たいから俺のために不老不死になってくれって重くない?大丈夫?いや大丈夫では無いよな


そんなネガティブな思考がぐるぐると俺の頭の中で回り続ける


そんな俺に真菰から声がかかる


「…一緒にいて良いの?」

「んえ?」


そんな事を言われてつい間抜けな声を漏らしながら真菰の顔を見る


「こんな私なんかで良いの…?」

「いや何を馬鹿なことを…お前なんか、じゃなくてさ。お前だから一緒に居たいんだよ」

「…それはこっちのセリフでもあるよ」

「ぬぐぅ!いやだって…うぐぐ…」


かっこいいことを言ったら死ぬ程効くカウンターを決められくぐもった声を漏らしながら頭を抱えてしまう


「ふふ…なんだか力抜けちゃったや…。ねぇ了真」

「どうした真菰」


呼ばれたので返事をしながら真菰の方へと顔を向けるとサッと唇を奪われる


「大好きだよ!了真!これからも…ずっと!ずーっと!一緒に居ようね!」


頬を赤らめながら笑顔でそう言う真菰を絶対に幸せにしようと心に誓った











後日何処からかその話が漏れ関係持った女性全員に個別でプロポーズすることになるのはまた別の話である


────────────────────

カァッ(これにて今作品は完結となります)

カァッ(約3ヶ月の間でしたがモチベを高く保ちながらここまで執筆出来たのはひとえに皆様の応援のおかげでございます。本当にありがとうございました)


カァッ(完結はしましたがたまに番外編を投稿したりするかもしれないので投稿した時はまたよろしくお願いします)

カァッ(もう戦闘描写は描きたくないので次の作品は適度に狂った人たちが出る日常系の学園モノでも書こうかなと思っております。投稿してるのを見つけたら良かったら読んでやってください)


カァッ(それでは、今までありがとうございました、ばいばーい)

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