第39話 VS師匠

刀に魔力を纏わせ全力で振り下ろす

戦闘の駆け引き何て全然分からないし俺には刀の心得もないからこれぐらいしかすることは無い


何なら今すぐこの刀捨てたい


案の定完璧に受け流され胴ががら空きになる


「森羅万象斬!」


それを見逃してくれるはずもなく空いた胴が切り飛ばされる


連続で攻撃を受けたらたまったものじゃないので切られた所を即座に再生させ後ろに飛ぶ


やはり今でも師匠とは隔絶した力の差があるのを感じる

恐らく力だけなら勝ってるだろうが技術力の差が酷い

色々試しながら何とか食い下がる事にしよう


「迅雷」


パリッ


そんな事を考えていると攻撃が飛んできたので横に転がって避ける

鞘がないため居合を放たれる心配は無いがシンプルに歩法が無法すぎる

見よう見まねだけど俺も使ってみるか


バァン!


師匠とは違い飛んでもない音が鳴り響くが1歩目で師匠に肉薄することに成功する


そしてさっきのように刀を振り下ろそうとした時、頭の中で何かがハマったような感覚を覚える


その感覚に付き従い刀を両の手でしっかりと握りしめ無心で振り下ろす


「うわっと!」


今度は受け流されず後ろに飛び退いた師匠の服には僅かに切り跡が残っている


確かな感覚に笑みが深まる


先程の歩法も含め名前を考えながらもう一度刀を振るう

師匠は遠く、本来当たるはずもない距離だが当たる確信があった


「森羅万象斬」


刀の射程を超えた位置に攻撃を届かせる…素晴らしいな最高だ


「どうすか師匠今の技ー!」

「最っ高だよリョーマ!」

「歩法は轟雷ごうらい、さっきの技は断風たちかぜって名前にするんで把握よろしくお願いしますねー!」

「おっけー!シンプルだねー!」

「師匠に言われたか無いっす!」


そんな事を師匠と話しながらもさっきの技の感覚を反芻していく


出来る、出来る、出来る。1度でも成功させたらもう失敗しない


その心意気と共に大地を踏み締め轟音を響かせながら師匠に肉薄していく


「良いね良いね良いね!最高だよ!」

「断風」

「森羅万象斬!」


放った技が師匠の奥義と激突する

軽く振るったような技の重さに身震いしながらも負けたくは無いので1度後ろに飛び衝撃を受け流しながら断風を連打する


「断風×10!」

「えっ何その発展技!うわわわわっ!」


さっき作れた技をここまで連打出来るとは思わなかったのか師匠が動揺で動きが鈍る

実際俺も出来るとは思っていなかったが出来たから良いのだ何だって


空中を強く踏みしめ鞘に納めた刀を居合術の要領で放ちきる


「轟ッ雷!」

「ぐっ!」


流石と言うべきか直前で木刀を合わせてきた師匠を木刀ごと切り裂く


砕けた木刀の先に切り裂かれた師匠の脇腹が見えた


もっと深く切ってここで終わらせる筈だったんだけど…見えた感じ木刀が軋んだ瞬間に横に逸れたな…どんな身体能力してんだこの人


「凄いねリョーマ…私がこんなに追い詰められるなんて思わなかったよ」

「言うて得物の違いあるでしょこんなん。ほら上げますよこれ」

「んえっなんで?」


鞘に納めた刀を師匠の方へ投げる


「全力できてください師匠。今の俺の力がどれだけか知りたいんで」

「良いの?傷ついちゃうかもよ心が」

「なっはっは何言ってんすか師匠」


舐めたことを抜かした師匠に全力の笑顔を持って答える


「そんなんで傷つくなら俺はここに立ってねぇんすわ」

「…そうだね。やろうか」

「全力で行きましょう。俺も殺すつもりで戦うので」

「分かった。先手は譲ってあげるよリョーマ」

「では遠慮なく、『深化』」


魔装を纏ってから30分以上を稼いでいたため魔装を3段階強化させる


深く深く同化し禍々しさを更に深めた腕と足がそれを喜ぶかのような笑顔を浮かばせる


目も30分以上経っていたが縛りを結ぶのを忘れていたため深化出来なかった


「おぞましい見た目になったね」

「勝てりゃ何でも良いんすよ師匠」

「それは同感」


そう言葉を交わしたあと全力で拳を振り抜く


刀を合わせ受け流そうとした師匠を力だけで吹き飛ばす

驚愕した顔を浮かべた師匠に向け掌を向ける


「魔砲」


深化した事により更にしやすくなった魔力の扱いを全力で利用し掌に魔力を圧縮し放つ


「迅雷」


迅雷を利用し避けた師匠が元いた場所にはとても大きなクレーターが出来ていた


「躊躇ないねリョーマ!」

「こんなんで師匠がやれるとは思ってないんでね!」


笑顔で話をしながらも鉄ミミズが数十体一気に肉塊になるほどの力を込めて拳と蹴りを師匠に放ち続ける


それに師匠は刀を合わせその全てを最小限の傷で切り抜けていく


「守ってばっかじゃ勝てないっすよ師匠!」

「言うようになったねリョーマ!じゃあ遠慮なく行かせてもらうよ!森羅万象斬!」


以前戦った時に受けた煽りをそのまま返しながら師匠に攻撃を続けていると師匠の奥義が意識の隙間を縫って腕を切り飛ばす


「最高に楽しいねリョーマ!」

「えぇ楽しいですねぇ師匠!」


腕をコンマ数秒にも満たない速度で再生させて目と鼻の先に居る師匠に拳を放つ


難なく避けられたが時間は稼げたので避けた先に魔砲を放つ


「良いね、良いね、良すぎるよ!刀華流!魔斬!」


魔砲が一刀のもとに切り裂かれなお止まらぬ剣圧が俺の体に傷をつける


「ここで新技ですか師匠!」

「私は戦いの度に進化するからね!」

「じゃあさっさと勝負を決めないといけませんねぇ!」


更に更に更に魔砲を圧縮し今度は両腕で放つ


「増やせば当たるとでも思ったかな!」


それを切り裂こうとした師匠に笑みを返しつつ魔砲を分裂させ計8つに増やしながら四方を魔砲で埋め尽くす


「うえぇぇ!?」


そんな素っ頓狂な声と共に魔砲が師匠に着弾したように見えた


やったか!?とフラグを立てていると魔砲が着弾し煙が上がっていた所からボソッと声が聞こえる


「森羅万象斬」


その声が聞こえた瞬間その場から轟雷を使って離脱したが胴体が頭と泣き別れしていた


頭だけの状態からすぐに体を再生させ迫ってきた師匠に蹴りを合わせる


こちらに刀を振るった師匠の体には浅くしか傷がついてなかった。化け物かよ…!


「まずっ」


魔力を込め再生させすぎたのか魔装が弱まり

足が吹き飛ぶ


それを好機と見たのか師匠が勝負を決めようと全力で刀を振るってくる

てかこの勝負の勝利条件って何だよそういや決めてねぇな勝利条件

そんな事を思いながら迫る刀を目で追いながら切られる瞬間喉に全力で魔力を纏わせ大声を出す


「ハッ!」


人間がもっとも油断するトドメを刺す瞬間に今まで見せたことのなかった技を繰り出し師匠の鼓膜に大ダメージを与える


ぶっつけ本番の思い付きが上手くハマってくれた。動揺を浮かべる師匠の頭に向け全力で足を振るい意識を刈りとろうとする


師匠が動揺や恐らく平衡感覚が曖昧になっていたこともあり完璧に決まった蹴りが師匠の意識を失わせる


恐らくこれで俺の勝ちだろう


そう思いながら意識を失って地面へと落ちていく師匠をしっかりと抱き抱え、遠くにいるメイとイクシオンの元に向かう


「やっほー終わったよ」

「えぇ見ておりました。素晴らしい戦いでしたねご主人様、思わず濡れてしまいましたよ」

「濡らすな変態がお前」

「本当に勝っちゃったんだ刀華に…」

「1度限りの不意打ちだったけどなぁ…まぁ勝ちは勝ちだし、起きた師匠をしっかりと煽ってあげよう」

「流石ご主人様。腐った生ゴミのような素晴らしい性根でございます」

「はっはっは泣くぞ」


言い過ぎだろ


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カァッ(モチベに繋がるので感想や星ください)

カァッ(戦闘描写向いてねぇな僕やっぱり。次回作は絶対に戦闘ないやつにします)

カァッ(星400ありがとう。大目標の500が見えてきたね)

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