第38話 鉄ミミズの肉のキモイほぐし方

「ご主人様ーご飯出来ましたよー」


近くでそんな声がする気もするししない気もする。やっぱりしない気がしたのでもっと寝ようと体を丸める


「ひゃっ」


ん?何かメイとは違う声が聞こえる気が…気のせいだな、気のせいだと思う

気のせいやろ


そう自己完結し心地よい睡眠をもっと享受しようとしているともう一度メイから声がかけられる


「美味しい美味しい鉄ミミズの丸焼きですよー」

「すっごい。何の興味もそそられない」

「そんな事言って寝ようとしないでくださいご主人様…イクシオン様の顔真っ赤ですよ今」

「ん?なんでそこでイクシオンが…てかお前声遠くね?」


その事に気が付きそっと目を開け顔を上げると、今にも茹で上がりそうなほど真っ赤な顔をしたイクシオンの顔が目に入った


「ごめん」


状況は良く分からないけどとにかく謝ることにした




両者気まずい空気に陥りながらも師匠の早く食べようよ2人ともと言う言葉に救われなぁなぁにした状態のまま、いつもと同じように焚き火を囲みご飯を食べる


「めちゃくちゃ食べにくいけど皆大丈夫?」

「私は神なので余裕ですね」

「私もよゆー!」

「私はちょっとキツイですね硬すぎて…」

「それやったらお兄さんに任せなさいな」

「えっなんかすっごい不安なんですけど!」


当たり前のように硬すぎる歯応えをしている鉄製のミミズ肉をイクシオンから受け取りさっき思いついたアイデアでイクシオンでも食べやすいようにこいつを加工していこうと思う


やり方はとっても簡単。恐らくと言うかなんと言うか硬い原因は鉄の装甲だと思うのでこれをまずは剥いでいきたい。しかし力任せに引きちぎってしまってはイクシオンの食欲が失せる可能性がある


それは駄目だ許せない。ならばどうするか…修行の最中に気が付いたが前から出来た、物に魔力を流す作業が拡張されていた


具体的に言うと俺の血を混ぜることによってある程度の硬度や形を変えられるようになった


ここまで言えばもうお分かりだろう。そう、つまり今からこのミミズ肉に俺の血を流して柔らかくさせると言う訳だ


大分少量だし気付かないだろきっと


そうしてコソコソと隠しながら血を流し柔らかくしたミミズ肉をイクシオンに返す


「あむ、んぐ…ホントだ柔らかくなってる…でも何か味変わった?ような気が」

「気のせいじゃない?」

「ご主人様こんな事出来たんですね」

「メイのもしてやろうか?」

「遠慮しときます」

「うい」


ジトっとした目を向けないでくれメイよ

バレてる?バレてるのか俺のさっきの手法が…つまりあの目は見た目幼女に自分の血飲ませてんじゃねぇよハゲって目なのか…?


確かにキモすぎるな血混ぜて幼女に食わせる高校生


考えたら死にそうだしもうやめよ考えるの

二度としないようにしよう


「今日は誰が見張りします?結界ありますし誰もしなくても良いとは思いますが」

「俺今日ちょっと師匠と全力で戦いてぇんだけど」

「ふっふっふ、その意気やよし!全力を持ってかかってくるといいよ!」

「何ならメイもイクシオンも見る?勉強になるかもよ多分」

「うーんどうしようかな…」

「私は見させて貰いましょうかね。ご主人様と刀華様の戦いに興味ありますし」

「じゃあ私も見ようかな…仲間はずれは嫌だし」

「おっけー」


ちょっとグロテスクかもしれないけど大丈夫だろきっとうん多分。知らないけど


「そういや昼間のあの禍々しい腕と足はなんなの?」

「あーあれ?あれは昨日習得した魔装って名前の俺の新技よ」

「おーシンプルで良いね」

「でしょー?メイと名前考えようとしたらクソ長ダサ名前考えられてさー」

「私は良いと思うんですけどね」

「どんな名前だったの?」

「ラグナロクオーバースタイル」

「今度からメイさんに名前つけさせるのはやめようか」

「悲しいです」


残当


「どんな効果なの?」

「使用部位の攻撃力が体感5倍になって魔力をその部位だけ扱いやすくなったり更なる新技が使えるようになる」

「化け物かな?」

「その化け物になっても超えれなさそうなのが師匠なんですがそれは」

「私は真の化け物だからね」

「んじゃそんなん関係なくいつか師匠より強くなってみせますよ」

「……待ってるよ」


一瞬俺の発言にポカンとした顔になったかと思うと何処か暗い表情をしながらそう言った


昔の地雷か何かだったのかな?まぁいつか言ってくれる日まで待とう




そんなこんなありつつも両者見合って戦闘を始める


「出来る限り離れといてくれよ2人とも。危険だからな」

「了解ー」

「かしこまりましたご主人様。頑張ってください」

「おう」


激励の言葉を投げかけてくれたメイに手を振り正面の師匠を見やる


師匠はいつも俺と戦う時のように木刀を構え静かにこちらを見通す


師匠が木刀で俺が刀なのに勝てそうにないのは何でなんだろうね。格の違いってやつ?


そんな事を思いつつも早速覚えて魔力も最近のレベルアップにより充分に残量があるため最初から腕と足に魔装をかける


「本当に禍々しいねその四肢…」

「何処からかおぞましい笑い声が聞こえてきそうだよ」


それに加え全身に魔力を通してからぶっつけ本番だが目を溶かし目に魔装をかける

しっかりとコツを掴めていたのかすぐに成功しこれまでより遠くを見据え動きが更にゆっくり見えるようになった


「…目にもかけたの?血の涙が流れてるみたいになってるけど」

「ホントですか?更に敵キャラ感強まっちまったか…まぁいいややりましょうか」


サイコパスな敵幹部感あるよね血の涙と禍々しい四肢は


「じゃあ申し訳無いけどメイさん開始の宣言してくれない?」

「かしこまりました。それでは両者構えて」


少しでも思考する時間を増やすため脳の方に多めに魔力を送っていく


緊張感が辺りを漂い、1秒間が無限のようにも感じられた頃メイが口を開く


「始め」


その言葉を認識した瞬間、目の前に現れた師匠が振るった木刀を難なく刀で受け止めて蹴りで吹き飛ばそうとする


蹴りはひらりと身を躱され避けられてしまったが今までついぞ見えなかった師匠の動きがしっかりと見えるようになり、為す術がなかった一撃にしっかりと対処することが出来た


自身の確かな成長を感じながら今度はこちらから攻勢に出て一気に肉薄していく


攻撃を止められ獰猛な笑顔を浮かべる師匠を見て、それに負けないぐらい獰猛な笑みを俺も浮かべた


────────────────────

カァッ(モチベに繋がるので感想や星ください)

カァッ(次回は戦闘回。命を削って頑張ります)

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