大会-1 選手入場

大会編は一気に更新速度が上がります〜

〜〜〜



 デカデカと空に浮くホログラムビジョン。VRとARの融合したXR空間が広がるスタジアムの中。幾多もの激戦を経て、熱狂は凝縮されてブラックホールと化した。そして今、戦国SLGの出場者達が退場し、次のゲームは何かと観客の期待が質量を増す。


>さて次はなんだ?

>視聴者側はわかんねーんだよなぁ

>だからこそ目が離せない!


「さぁさぁさぁさぁ!現代の異種格闘技!W-P-Gスペシャルエキシビショントーナメンツの時間がやってまいりましたァッ!実況は引き続きこの田中カタリア、解説はロゼッタさんの二人でお送りしますゥッ!」


『ワァァァァ────ッッ!!』


>キタキタ

>いぇぇぇい!!

>[キタ――(゜∀゜)――!!]

>\\[エキシビションだとぉ!?]//


 実況の言霊に最も容易く乗せられて、声が、動きが、一体化。隠されたエキシビショントーナメントのタイトルに期待が募る。


「よろしくお願いしますね。今年のエキシビションタイトルは……こちらです」


>ファッ!?

>なんだと!?


 ドンッと仮想モニタに映し出されたタイトルはバークナイト。同時にステージが和の国から不夜の街へと変貌する。


>はぁぁぁ!!??

>VA全く情報出さなかったろ!?


「バークナイト。ボルト・アーティファクト社より前々より発表していたタイトルになりますね。なんと……サービス開始は本日24時。事前ダウンロードもたった今から開始となっております」


>うわマジだストアページ出てるww

>草

>#[|(ストアページリンク)]#

>ナイスパァ!

>褒めてやる


「発売前のゲームがWPGに登録されるのは数十年続く歴史でも初めてッ!正直私もこの情報を聞いた時は朝食のクリーチャーエナジーゼリーがコンニチワするかと思いましたァ!」


>それありなのか

>よくリーク起こらなかったな…

>参加者とマネージャーにしか渡ってないとしてもモラル高けぇ


「ではではお待ちかねの全選手――入☆場ですっ!」


>美少女アバターからおじさんの声するのほんと好き

>キラッとするなキラッと

>さすが原初のバ美肉実況者 動きに隙がない


 実況の宣誓と共に、ステージ中央と繋がるランウェイの奥から、一つ目のチームが歩みを進めてくる。


「電脳世界に極東の戦将が降り立ったァ!鍛え上げられし武術は如何程かッ!『武士道会』ダァーー!!」


『大将首は何処だぁー!』


>さっきもいたろww

>信長やっと言えたって感じでノリノリだなオイw

>金時キラッキラしてんなぁ


 時代様々な和鎧に身を包んだ5人。彼らは剣の世界に生きる侍。今ばかりは機械を身に纏い、摩天楼を駆ける。


「全く異なる世界観からの参戦ですね。この武士達がどのような構成にしているのか、楽しみです」


>疲れてないといいけど

>まぁそれ込みで考えてるでしょ


 そして入場アナウンスは始まったばかり。次は統一された軍服を纏った五人が。


「画一衣装!こだわり銃器!お前らがただの同好会で済むものか!『ライフル同好会』ッ!」


>草

>お前らかぁ…ww


『我らライフル同好会!』


 一糸乱れぬ行進でランウェイを歩む彼らもまた"プロ"。ただし、プロはプロでも"本業狩猟"のプロ。山奥に住う者達が集まった、異色のチーム。ちなみに服装と行進は趣味でありリアルにはマジで関係ない。

 

「これもまたまさかの参戦です。彼らは大会実績こそまだ

ありませんが、その実力は確か。よくオファーを取れましたよね」


>全くだ

>ファンだったから楽しみ


 また次に現れた五人は、服装の形が同じで色の異なる装備をしている。そう、例えるなら……戦隊モノのように。


「今はニチヨル、朝じゃねえ!良い子は帰っておねんねしな!『虹色戦隊』!」


『参上!』


 各々がキメポーズを取って、爆発のエフェクトが起こる。彼らはPvE分野で有名な奴等。さまざまなゲームに出没しては集団でボスを袋叩きにする動画を投稿している。こちらは大会初出場。


>草

>草

>マジ草

>なんでぇ…?


「レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンク。皆々個性に合わせた色の装備を装着していますが、バークナイトでも当然それを再現してくるでしょう。どのようになっているか、個人的にすごく楽しみです」


 さらに続く。


「最強の従者が冥土の縁からやってきたッ!お片付けはお任せください!『ルームサービス』ッ!」


 メイド服の五人が現れて、ステージに並ぶ。その姿は従者そのものであろうとも、この場では全く劣らぬ風格を保っている。


『ごきげんよう』


>メイドじゃねえか!

>強い(確信)

>誰だよ!


「彼女らはメイド服に身を包んだ戦闘傭兵。資料によりますと現実世界での戦闘経験があり傭兵として活動しているとか。……え?マジです?」


>ゲームとリアルは違うだろう!

>リアルからゲームはありえるぞ…


 今度はパーカーだったり部屋着だったり。かなり"ゆるい"格好をした五人が適当に手を振りつつ歩いてくる。


「ふざけたネームに巫山戯た腕前ッ!夜は我らのテリトリーッ!『深夜テンション』ッ!」


『金に呼ばれてきた』


>ファ〜wwww

>この廃人どもめ!

>うらやまC


『深夜テンション』はバークナイトを作ったVAの過去作、バトルスクランブルの優勝者。


「何かしらの武器レートのトップをメンバー全員が張っています。BSから引き継がれたその腕前は、バークナイトでも十全に発揮されることでしょう」


>対策はしやすそうだな

>対策しても乗り越えてくるくらいの偏兵だぞ

>戦ったことあるけどマジで見誤る


 残り3チーム。チェーンに包帯、シルバーのアクセサリ、派手な翼と黒歴史の帳開きそうな五人。


「ファンタジーから参戦だッ!魔法はなくとも邪気眼が疼くッ!この闇の力に勝てるか、『†暗黒騎士団†』ッ!」


 痛々しいポーズとエフェクトを撒き散らし、各々のポーズを取る堕天使、忍者、海賊、学生、人外。


『我ら、†暗黒騎士団†』


>ラウンズかよ!

>いたたたっ

>やめろ…死ぬ…ww


「電脳世界の魔法使い達の聖地メッカ。マジックレコードの生ける伝説。厨二病ロールを極めたら最強になったとか。いやぁ…私も少し過去がフラッシュバックしましたね」


 7チーム目は同じ学生服を着た五人。


「子供だからと舐めないでッ!コンビネーションは私らがNo. 1ッ!『ハーモニー』ッ!」


>学生まで来たよww

>学生チャンプ可愛い

>hshs

>やめろこれ生放送だぞ


『頑張るぞー!』


「ハーモニー。プロフィールによりますと同じ学校の部活動で結成されているそうです。過去にはタイトルを獲った事がありますから、実力は他に引けを取らないでしょう」


 そして最後。トリを飾るのは。


「銃器の声が我らを呼んだッ!ガンだシュートだパラベラム!お待たせしました、ご登場だぜ『産業革命』ッッ!!」


>\[やっぱりキタァァァァ!!!!]/

>三人だから来ると思ってなかったわ

>え、マジ?

>……まさかな


 バレッティーナを先頭にし、後ろにスターシャ、レファと歩く。さらに――


>#[バレ様ぁぁぁ!!]#

>>[スターシャちゃんっ!!]<

>\\[レファ最推し]//


「そして助っ人二人追加ッ!!まずは一人目国士無双のバトルジャンキーッ!!その手に蹴散らせぬ軍などいないッ!アリサァ!」


>"大会"ってコレかよ!?

>だー畜生楽しみだなぁオイ!

>ホントにキターッ!?


 もはや視聴者達にとっての代名詞となった巨大剣を担ぎながら、アリサは威風堂々と登場。軽く振り回せば黄色い声と白いコメントが飛び交う。

 

>うわぁ

>[音量注意]

>早い早いw


「二人目はもうわかるな?言わずと知れたWRの女王ッ!コイツにかかればどんなゲームもお茶の子さいさいッ!RリアルになんでもT手足のようにA扱う配信者――シェェリィィッッ!!」


>[シェリーktkr]<

>[これで勝つる]

>\\\[今日の出演料]///

>高えよww


 待たせたなぁ!と叫びながらスタジアムに登場。CG班に割り込んで作らせたジェットパックで飛び回ってから、四人の横へと着地。アリサの手がフリーになるのと同時にそれらは消えて、総勢八チーム四十人が出揃った。


「いやぁ…人数的にはまさかの参戦ですね。『産業革命』は数多の大会を総嘗めにしてきた大御所チーム。ホンモノの"プロゲーマー"です」


>そうな

>やっぱコイツらがいないと始まらない


「そして助っ人の二人ですが……アリサは知名度こそ低いですが近接戦闘では無類の強さを誇る狂人。バークナイトの世界でどう戦うのか、期待しましょう」


>狂人ってひどいな

>すまんがそれ以外に形容する言葉が見つからない

>見ればわかる。


「シェリーは苦手な武器がないと言われる程のオールマイティな配信者です。これまで大会などには一切出場していませんでしたが、彼女の実力は積み重ねてきたWR達が証明しています。生で彼女の実力が見られると聞いて私は昼食が喉を通りませんでした」


>ファンだ…

>ロゼッタさんは好きなのか

>名前は聞いたことあるわ

>超重武器は苦手じゃなくて好きすぎだったからなぁ

>あれは笑った


「彼ら彼女らが勢揃い!さぁお前らァ!W-P-Gエキシビショントーナメント始まるぜぇぇッッ!!!!」


『イェェェェェ――ッ!』


 割れんばかりの歓喜の合唱。今なら熱に浮かされたと何したって許されそう。シェリーはカメラ外でこっそり咽せた。


「まずはトーナメント表を抽選します――ロール開始ッ!」


 映し出されたトーナメント表。そこの選手欄が目まぐるしく変わり、変わり、変わり──確定っ!


──


・Aブロック

-第一試合

[産業革命]vs[武士道会]

-第二試合

[ライフル同好会]vs[ハーモニー]


・Bブロック

-第一試合

[ルームサービス]vs[†暗黒騎士団†]

-第二試合

[虹色戦隊]vs[深夜テンション]


──


「面白い対戦カードになりましたね」


>武士道会オワタww

>銃弾切れるかな?

>んなわけw

>同好会と部活動対決か…

>割と拮抗

>メイドと厨二は面白そう

>個人的に楽しみ

>ニチアサとツネヨル決戦

>子供のヒーローvs大人のヴィラン

>vs何も知らないダークネス

>やめたれ


「最初から最後まで目が離せないッ!激戦の弾幕を召し上がれッ! 第一試合は5分後っ!もちろん遅刻はナシだぜ?敵前逃亡は重罪だ!」


「選手の方々は時間までにリダイブをよろしくお願いします」


「配信chはそのままでッ!暫しのコマーシャルを楽しんでくれ!」


 野次に歓声に包まれたまま、スタジアムの明かりは落ちるのだった――。


〜〜〜

Tips WPGとは?

ゲームのオリンピックみたいなもん。同時に新作発表も行われることもあるが流石に新作が種目として出るのは初。SWORDはレベル制かつランダム性が高く競技としては不適合なので選考から外れた。

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