ep8-4 史上最低最悪の変身シーン
「ところでセンパァイ、せっかく変身したことですし、今から街に繰り出してひと暴れと行きません?」
「ひと暴れって、あんたねぇ……」
あたしは呆れてキョーコを見る。しかし彼女はそんなあたしの反応など気にも留めないといった様子で続ける。
「だってぇ、せっかく暗黒魔女になったんですよぉ? もう悪さするしかありませんよぅ」
こいつはぁ……確かに闇だわ、悪事への
初めての変身によってちょっとした興奮状態になってるってのもあるんでしょうけど……。
「あんたはどうかしらないけど、あたしは出来る限り悪事は行いたくないのよ。意味もなくひと暴れなんてもってのほかよ」
「それは言い方を変えれば意味や必要があればキョーコと一緒に街に繰り出して暴れてくれるってことですねぇ?」
「それは……まあ、場合によっては……」
「なら簡単ですぅ、今からセンパイとキョーコが街へ繰り出して暴れるのは、あの魔法少女たちを誘き出すためですぅ、そのために仕方なく悪事を働くんですぅ、これならどうですかぁ?」
「う、う~ん……まあ、それなら……」
確かにそれなら『無意味な悪事』ではないし、あたしに与えられた使命とも合致する。
「キョーコ、あんたなかなかの策士ね」
あたしが感心してそう言うと彼女は嬉しそうに笑う。そして……。
「それじゃ行きましょうセンパイ! あはぁ~楽しみぃ♪」
そんなことを言ってあたしの腕に抱きつくとぐいぐい引っ張ってくるのだ。こいつホントテンション高いな……まあいいけど……って、ちょっと待って!
あたしはとあることに気が付き顔を青ざめさせた。
「あ、忘れてましたぁ」
同時にそのことに気が付いたらしいキョーコがそう言ってあたしから手を離す。
「センパイの変身がまだでしたねぇ」
き、気づかれたぁ!! いや、一緒に行くと決めた時点で覚悟はしていたけど……。
「キョーコはセンパイの変身と暗黒魔女としての姿を生で、間近で見てみたいですぅ」
「いや、その……」
さすがにこの流れで変身するのは抵抗があるんだけど……。
あの扇情的な変身シーンとその後に出現する暗黒魔女マギーオプファーとしてのあたしの姿は確実にこのヤバ
そんなあたしの思いなど知る由もなく彼女は続ける。
「あ~ん、早く見たいですよぉ! あはぁ♡ テレビやネットの動画越しじゃない、暗黒魔女マギーオプファーのそのお姿を生でぇ、キョーコに見せてくださぁい♡」
「う……」
こいつ、あたしの暗黒魔女姿が見たくて見たくて仕方ないという様子だ。
ああ、もうやるしかない……どっちにしろ浦城梨乃のままで出撃なんてするわけにはいかないわけだし、ここは心を決めよう……!
「ちょっと離れてて……」
あたしの言葉にキョーコは素直に従い距離を取る。
(今回ばかりはいつも以上にふんばって、声すら上げないように……! あたしはやれば出来る子! こんなことのために精神力を使わなきゃならないなんて情けなさすぎるけど……!)
「ダークエナジー・トランスフォーム!」
一つ、大きく深呼吸をしてからあたしは腕を掲げてそう唱えた。
するとあたしを黒い光が包み込み、変身が始まる……!
いつものようにパアンと着ているものが弾け一時的にあたしは全裸になる。
キョーコやクリッターからは黒い光の中のあたしはシルエット状にしか見えないので、あたしの裸は見られていない。
しかし、同じ暗黒魔女であるキョーコはどうやって変身が行われるのか知っているはずなので、彼女は今あたしの裸を思い浮かべながら目を輝かせているのだろう。
そして、ここからが正念場、我慢の時間である。
しゅるしゅるしゅるっとあたしの身体に暗黒魔女マギーオプファーのコスチュームが纏わりついていく。
「う……く、ぅ……」
だ、ダメよ、ここで声を上げたら……、し、しかし毎度のことながら、この締め付け、そしてコスチュームが肌を擦る感触はいつまでたっても慣れない。
しかも今回はキョーコの目の前で変身しているという特殊な事情もあり、いつも以上にあたしの体は敏感になっていた……。
そんな状況でもマギーオプファーへの変身は続く。そして……。
「あんっ♡」
ついに、あたしの口から甘い声が漏れる。
(ダメだっての……お願い、声よ漏れないで……!)
必死の願いもむなしく、胸を、お尻を、股間を、コスチュームが擦るたびにあたしは思わず声を上げてしまう。
「あ……はぁん♡」
「うきゃあああああああ! センパイ、センパイ、センパイィィ! 凄いですぅ、もうたまりません!」
あたしは、いつぞやアクアさんの前でした変身こそが最低最悪の変身シーンだと思っていた。
しかし、それは間違いだった、上には上があったのだ、いやこの場合下には下だが。
なんと、黒い光の中で悶えながら甘い声を上げるあたしのシルエットに興奮したキョーコは、その場で……その……『ナニ』をし始めたのだ……。
「はぁん、センパイの変身シーンがエロ過ぎてキョーコもう我慢できませ~ん!」
そう言いながら彼女はビキニパンツの中に手を突っ込むともぞもぞと動かし始めた。
「はぁ、んんっ、あはぁ……」
クチュリクチュリという粘着質な音が響き、すぐに甘い声を上げ始めるキョーコだったがあたしにそれを気にしている余裕はない、マギーオプファーへの変身は、まだ終わっていないのだ。
「ああんっ♡ ああああっ♡」
あたしの口からも甘い声が漏れ出てしまう。
(もう、ダメぇ……)
もはや声を我慢することすら忘れ、あたしはコスチュームの刺激に悶える。
「あ……はぁん♡ ああぁ♡」
「ああ、センパァイ♡♡♡」
二人の喘ぎ声が綺麗なハーモニーを奏でる。
あたしの声がキョーコを刺激し、(認めたくないが)キョーコの声もまたあたしを刺激する。
今度こそ断言しよう、これが史上最低最悪の変身シーンだ。
喘ぎ声を上げまくりながら変身するヒロイン、その横でそれをオカズに自分の股間をいじくりまわしながら同じく喘ぐ仲間の少女。
こんなの魔法少女のパロディのアダルトビデオですら見たことないっての!
そして、同時に最低の
「あああっ、んあああああっ!!」
「イク……イっちゃいますぅぅぅぅぅぅ♡♡♡」
そしてあたしの変身が終わると同時に、キョーコは果てた……。
キョーコが初めて生で見た暗黒魔女マギーオプファーは、正体に言及したくもないとある液体を浴び、そのコスチュームを
「ねぇキョーコ、あんた、本気で死にたいと思ったことって、ある?」
死にたい、この世から消えてしまいたい、心の底から思いながら、目の前でピクピクと痙攣する変態娘に向かってあたしは問いかけたのだった……。
「こ、ここまでキョーレツなキャラだとは、流石の僕も想像できなかったクリ……」
あら、まだいたのね、クリッター……このこの世の地獄みたいな空間の中じゃ、単なる性格の悪い邪妖精のあんたが一番まともに見えるわ……。
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