第3話

青い空。

それが俺が次に見た視界だった。


太陽が瞬き、光が差し込んでいる

自分がそれで倒れていることがわかった。


俺は上半身を起こし、周りを見る


一面さまざまな花が咲き誇っている


とても美しかった。


思わずずっと見ていたくなるぐらいだった。


花と空以外はない。


あたりを見渡し、誰かいないかを確認する。



しかし、それは人っこ一人いない花畑であった。


でも空気の温度は心地よく、天国そのものだ。

(ここは……天国?)


再び太陽を見て、その眩しさに日差しに手をかざす


ーーーー暖かい。




ああ。なんて。


なんて気持ちがいい。


こんな美しい太陽は生まれて初めてのような気がした。


ここが天国か。


そう思うと、涙が自然と溢れた。


俺ーーー死んじゃった


母さん、父さん、透、健太、瑞穂


皆に笑顔をと思って警察官の学校に入ったのに


なんで?

なんで俺なんだろ。


涙が溢れ、大地に縮こまるように、座り込む。


「畜生」


「バカだろ、俺ほんとバカ。」


あんな奴能力無くしてていいだろ。引き金引いて一発だったじゃん


何が何が。


どんな人間にも優しさを持てだ。


父さんに言われたこと守ったら、俺しんじゃったじゃん




父さんの教え守ってやったいろんなこと。パシられても、奴らが悪いことしてても、同期だから、幼馴染だから。そんな理由で見て見ぬふりしてた。


あいつらに言われて万引きだってしそうになった。最終的にはしないよう思いとどまった。


でも多分。


ああそうか。こんなんだったから。刑事向いてないって言われたのか。


最低だ。


最低だ。


俺のばか。

きっと、そのバチが当たったんだ。

最低だ、俺。

しかもよりによって、明日は瑞穂の誕生日だ。


前日に兄である俺が死んだらさ。ずっとついて回るじゃん、こんなの。


母さん、ごめん、あなたのそばに来てしまいました。


どこにいるかわからないけど、でもあなたにずっと


その時一瞬「どうかこの子が無事生まれますように」そんな声が聞こえた気がした。


俺は、幻聴でも母の声のようなものが聞こえた気がした


甘えたかった


俺を産んだ時に死んだあなたに


「母さん、ごめん、俺」


ただ嗚咽をあげ泣いた。生きてる時何度父さんに死にたいといったことだろう、


学校生活で悩んで、何回父さんに迷惑かけたことだろう


母さんと別れた後も養子として引き取ってくれた父さんに

何度震災でしんどけばよかったって言い放ったことだろう。


父さんが必死に生かしてくれてるってわかってた。俺のことで悩んでるって知ってた


母さん、俺はバカです


「うわあああん」


辛くて、悲しくて、後悔しかない。


「ここは天国だけど、俺が行くべきは……地獄だ。」




その言葉を発した時、「その言葉に、偽りはありませんね?」


そう女の声が聞こえた


俺は、その声を聞いた瞬間


思わず俺から僕へと切り替わる


赤いワンピースを着た緑色のショートボブの女のこが立っている


少女だ。


紫の目。整った鼻筋、パーツの整った唇。

外国人に見えた。


「誰……ですか?」


少女は笑う。


「私はこの世界を治める神の一人。」


「神さま?」


少女は。少し不機嫌な顔をする。

そして


「あなたがやったこと全部やり直したいですか?」


「やり……なおす?どう言うことですか?」


「転生です。ある世界への。」


転生、そう聞いて頭に浮かんだのは異世界転生とかそういうファンタジーものだった。


この人もしかしてそう言う系?


もしかして異世界で勇者か魔王でもやらせる人なのかな。

少女が手を出す。


「すべて終わりにして、今のあなたがいる。でもまだ心に残っているでしょう。」


「やりたいことが。たくさんあるでしょう。だからその場所で、もう一度やり直しませんか?」


少女は少し笑みを浮かべながらいう


「きっとそれならあなたも救われる。」



「そして。それならあなたという魔王によって引き裂かれたものたちも」


そこで彼女は黙る。


「あなたがいればきっと」

彼女の瞳に涙が浮かんでいる


「あの……大丈夫ですか?」


「あなたには過去の精算してもらう」



「悪魔のいる世界に転生し、異世界の住人として生きる。そしてもう一つやってほしい」



彼女は人差し指を僕に向け笑う


「懺悔せよ、人々に、神であるわたしに」


「罪を全て述べよ。お前が罪だと感じるもの全てを」


僕は言われいることがなんとなくわかり、片足を下ろし彼女ぼ前で祈るように手を組むと


過去の過ち


見て見ぬふりをしたこと


人のいじめをとめなかったこと


母親のいないことを理由に両親のいる家庭に嫉妬したこと


そういった内容を懺悔した


「……これでいいでしょうか?思いつく限り言いました。」


僕がそういうと


彼女は「違う、それらじゃない。お前のやったことは。」


「ルシウェル様への冒涜だ」



「これがお前がやったことだ!!」

彼女は声を突然荒上げた


「これがお前のやったこと!!」


その瞬間、世界が変わり戦争のような場所に映る。そして大地が割れ、水が大地をさらう。

たくさんの人が死んでいく。悲鳴が聞こえる。

叫びが聞こえる。


「お前がやった!!お前がやった!!私たちを殺した」


たくさんの人間の声が聞こえる。


「何。なんだよこれ」


思わず耳を塞ぐでも、頭にはそれらの悲惨な叫びが聞こえる



「殺してやる。殺してやる。神よ。あなたを殺してやりたい。」


「殺せ!神に叛逆せし人間よ。この世の悪を全てせよ。」


「神は全部悪魔だ。殺してしまえ」


「殺せ、殺せ、殺してしまえ」


絶唱するように頭に声が入ってくる



頭がイカれそうになった。


「やめろ!!!!もうやめてくれ!」


僕がそういうと少女が黙り、声がぴたりと止んだ


「これがお前のいくべき本来の場所です」


「まだわかりませんか?あなたは人間じゃない。悪魔なんですよ。」


その言葉を聞いた時。昔、言われたことを思い出した。


「お前なんで茶髪なんだよ。染めてんのか?母さんの遺伝?でも金髪だろ。お前の母ちゃん。お前の父親は髪、黒いじゃんか。絶対あの二人の子供じゃねえよ。」


悪魔じゃない。悪魔じゃねえよ。ちげえよ。やめて。差別しないで


仲良くしてよ。俺、どっちでもいいから


誰か一緒に遊んでくれよ


かなり昔の記憶。今も昔も


俺は、僕は


「どうです、それがあなたですよ。今も昔もあまちゃん」


僕は、もう限界だった。


「許してください。いくらでもなんでもします。だからもう」


思い出させないで


こんないい場所で。


そんな優しい笑みを浮かべて


こんな残酷な記録を


思い出したくなんてない



神じゃない。


この少女は神じゃない。


だって神様は。


「神の愛は深く。慈悲があり、必ず赦します。愛せないものなどいないのです」


そうシスターとか宗教系の人が言ってた。


僕はクリスチャンとかじゃない


でも神様は信じてる


全ての神様はきっと人間を愛してーーーーーーー



その時頭の中に何かの映像が何が見えた。


椅子だ。白い石でできた椅子

そのバックではオーロラのような光がが椅子の背もたれから放たれている


固そうで、でも高貴そうな感じで背後で光輝く何かがある


これはなんだ…


「どうかしましたか?」


少女が何か気まずいと言った表情で声をかけてきた


「何か、見えた、椅子かな。頭が痛い。」


頭痛がした。でもどこかで見た椅子だった。

呼んでいる。そんな感じがした。


彼女は俺の言葉を聞いた瞬間、ワナワナと震え出した

「そいつだけは渡せない!」

彼女は、絶叫して、とがった黒い石の破片を魔法で、発射した。







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神だったけど、堕天したあげく、人間になってしまったら全知全能の椅子に座った悪魔と戦うことになった件について 三つ星 @junk777

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