セ○レが全然割り切ってくれない
新原(あらばら)
第1話 お昼
「なあ、僕らって割り切りのセフレなんだよな?」
高2の少年・
というのも、割り切り関係のセフレであるクラスメイト・
陰キャぼっちの飛竜はお昼になると、毎日学校の端にあるボロい東屋で惣菜パンを囓るのが日課だ。
今日はそこにいつもは現れない利央が現れたのである。
利央はこの地域の地主の娘で、黒髪清楚な美少女だ。
地主という家柄が影響して両親がお堅いらしく、娯楽に思うように触れることが出来ないらしい。
そんなストレスの発散法として利央の方から「セフレになっていただけませんか?」と飛竜に申し出てきたのが先月――進級したての4月のことだった。
飛竜は小学校の頃から利央とは面識がある。
友達というわけではないが、学び舎がずっと一緒だった。
しかし逆に言えばその程度の繋がり。
そんな利央が飛竜にセフレを申し込んできた理由は――
『飛竜くんはぼっちなので誰かにこの秘密を漏らしたり出来ないじゃないですか』
とのことで、結構合理的なモノだった。
そんな理由で選ばれたのは癪だが、役得なのもまた事実だったため、飛竜は利央のストレス発散パートナーになることを選んだ。
もちろん関係性としては割り切り――のはずだったのだが、
「別に良いじゃないですか」
そう言ってこの日、利央は東屋にやってきた。
正面に腰を下ろし、自前の弁当を開き始めている。
「良いのかよ……見られたら噂になったりするかもしれないぞ?」
「面倒な家柄のせいで私も避けられ気味のぼっちなので噂程度困りません。肯定しなければ噂はどこまで行っても噂なんです」
淡々と語る利央はいつだって澄まし顔だ。
しかし身体を重ねるときはその綺麗な顔が崩れるのである。
飛竜としてはそれがたまらなかったりする。
「……でも『割り切りでしましょう』って言ってきたのは若菜さんの方だろ? こうやってお昼に戯れるのはいいのかよ……」
「割り切りばかりじゃ面白みがありません。それに……身体を重ねていくうちに飛竜くんへの愛着が湧いてきたので、たまにはこういうのも良いかと思って訪ねてきたんです……言わせないでください恥ずかしい」
ぽっ、と利央は少し照れ臭そうにしていた。
それを見て飛竜も照れ臭くなってしまう。
「そ、そっか……」
「ですがもちろん、割り切りは割り切りで続いていきます。愛着というのは所詮LIKEの意なので図に乗らないようにお願い致します」
「……あ、ああ」
「とはいえ、LIKEの愛着があるくらいには飛竜くんと居るのが好きだということは絶対的な事実ですので、是が非でも肝に銘じておいてください」
堅苦しいツンデレ構文。
そんな言葉を受け取れたという事実は、飛竜としては結構嬉しいことであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます