第8話 長野支部大会
全国悪獣部隊対抗戦闘大会というものがある。
これは入隊してから隊員達がどれ程強くなったのか世間に知らせるという目的があるのもそうだが、隊員達自身が訓練を通じて、どれ程強くなったのか実感させ、さらに練度を高める狙いがある。
そして、全国大会に出場できるのは、各支部の選抜エリートであり、出場するだけで出世が約束されるのである。
その各支部の選抜メンバーを決めるための大会が支部大会で長野支部大会に肇達も出場することになっていた。
大会の試合形式は、各クラスを1部隊として、1部隊対1部隊で戦う。
各部隊には旗があり、それを奪取すれば、取った側の勝利である。
肇達も初めての大会に興奮していた。
「おいおい、十三教場の相手、1組なの!?」
志賀が、掲示板に貼られた大会のお知らせを見て、自嘲気味に笑った。
「どうなるかな。」
黒姫は、いつも通りの冷静さを保ちつつ、内心では一抹の不安を感じていた。
「第一教場って強すぎる」
戸隠は、冷静に情報を読み込みながら、心中でそう呟いた。
十三教場は、常に成績が下位で、他の教場から見下されることが多かった。
そのため、隊員たちは劣等感を抱き、やる気をなくしている者も少なくなかった。
肇は、そんなチームの状況を何とかしたいと思っていた。
「まぁ、なるようになるよ!頑張ろう!」
肇は、隊員たちに声をかけた。
しかし、隊員たちは、肇の言葉に半信半疑だった。
「そんなこと、できるわけない。」
「十三教場で、どうやって第一教場を倒せるんだ。」
隊員たちの言葉に、肇は不安を感じていた。
それでも、肇は諦めず、クラスメイトと作戦を立てる。
彼は、他の隊員たちを一人一人励まし、チームワークを強化していった。
特に、志賀とのコンビネーションは抜群で、二人は互いを信頼し、力を合わせて練習に励んだ。
他のクラスメイト達も二人に感化され、訓練に励んだ。
大会当日。
肇達は、如月教官に集められていた。
「お前達。今日は本番だ。相手は格上の第一教場。勝負は明らかだろう。だが、相手は油断しているはずだ。そこに漬け込んで、周りの期待を裏切ってやれ!さぁ、戦場に行くぞ!あいつらを食い散らせ!」
肇達は声を揃えて叫ぶ。
「おぉーーー!」
肇達は試合会場の森のバトルフィールドに入っていく。
旗を持つのは、志賀。
そして、試合が始まる。
第一教場の人数は10人、第十三教場も10人。
各自、配置につく。
両陣営が一斉に動き出したのであった。
第一教場のメンバーは、これまでの成績から十三教場を甘く見ていた。
「ふふ、相手は十三教場か。これなら勝ちは確実だな。」
龍生は余裕の笑みを浮かべた。他のメンバーも、ほぼ同じような考えだった。
「今回は楽勝だな。早く終わらせて遊びに行こうぜ!」
水戸が声を上げると、他のメンバーもそれに賛同した。
十三教場の必死さが想像できなかったのだ。彼らは、自分たちが圧倒的に強いと信じ込んでいた。
「十三教場の奴ら、俺たちと戦う資格なんてないよ。」
牛川は、どこか憐憫の目で十三教場を見下していた。
「まあ、相手は相手だ。油断は禁物だぞ。」
根津は、他のメンバーとは少し違い、慎重な姿勢を見せていた。
しかし、彼の意見は他のメンバーには届かなかった。
「根津くん、そんなに心配するなよ。だって相手は十三教場だもん。」
馬田が根津の手を握ると、根津は苦笑いを浮かべた。
第一教場は、十三教場のことをまるで子供扱いしていた。
この油断が、後に彼らに大きな痛手となることを、まだ誰も気づいていなかった。
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