第一章 夏の裏(1)
第一章 夏の裏
8月12日(水)
サマーキャンプの舞台は海と山。海水浴しに来た「雅史」たち「サッカー部」は思う存分堪能することになった。
「サッカー部」の部員をはじめ、知人「ミュゼット」や姐さん「ハンナ」、お目付け役「清子」と前の学校の友人「南和子」が、砂浜や海ではしゃいでいた。
「南和子」は「黒井清子」の友人であり、風紀委員の一人でもある。同じ学校の生徒「ミュゼット」とは顔見知り程度の関係だ。
そんななか、「ハンナ」は「仁雄」がなぜ来ないだろうかと不思議に思っていた。彼のことだから、だらけていて企画に乗る気なし。「清子」は彼を誘おうも「だらしない姿」に呆れて断念したらしい。
さて、7人はどのような姿なのだろうか。「雅史」は相変わらずユニフォーム姿で砂浜トレーニングをしている。「健太」はポロシャツ姿、女子組はなんと水着姿だ。「ハンナ」は黒ワンピ水着、「ミュゼット」はスク水。幼馴染「杏璃」、風紀委員二人「清子と和子」はフリル系だ。「ミュゼット」だけが浮いていて気味でシュールな光景になっている。
さて前置きはこれくらいにして、彼らの会話を見てみよう。
「(雅史:)いやーまいったよ。あのとき、風紀委員さんから連絡先交換を申し出るとは思わなかったよ。友だちになりたいって言うようなもんだよ。」
「(清子:)...別に、わたくしはただ...雅史さんの動向が心配だからですの。」
「(雅史:)まあ、それはともかく...君が連れてきたこの子は誰よ?」
「(清子:)前の学校の時からわたくしの友人ですわ。」
「(和子:)自分は南和子。フォルテ中学校の生徒で、風紀委員をやっています。よろしくです。」
「(ミュゼット:)私の学校でよく見かける風紀委員ってことだよ。ぜんっぜん声をかけてないし。」
「(ハンナ:)ヨシオくん元気にしてる?そう、私の学校の風紀委員長。彼のことだから、だらしなくて心配だけど...。」
「(和子:)風紀委員長はもう知りません。ほんっとだらしない男ですから。」
「(雅史:)ふむ、これからもよろしくね。」
ロドゆいとビートが砂浜でぶらぶらほっつき歩いている。
「(健太:)お、噂の写真家だ。雅史ー!!写真家に写真を撮ってもらえてよ!!」
「(雅史:)...あれが噂のフリーランスのフォトジャーナリスト。よし、頼んでみよう。」
「(清子:)じゃあわたくしが交渉してみます。下がってなさい。」
「清子」は写真家に声をかけてみた。
「(清子:)そこのあなたがた、わたくしのカメラでお友達を撮ってくれますか?」
「(ロドゆい:)(見ない顔だ...。)僕のカメラじゃなくって?...別にいいけど。」
「(ビート:)姉ちゃん、僕も混ぜてよ。」
「(清子:)このことは、他人に口外しないでくださる?もちろん個人情報のためですもの。あなたがたのカメラじゃなく、わたくしのカ☆メ☆ラでお願いしますわ!!」
「(ロドゆい:)わかったよ。...カメラ貸して。」
「(清子:)皆さん、撮影の準備は整いました。さあ、集まってください!!」
「(ロドゆい:)みんな揃ったかな?いいよいいよ、可愛いよ!![パシャ]」
一同揃って撮影した。
「(ロドゆい:)ほい、約束の一枚絵。君のカメラに収めておいたよ。縁があったらまた会おうね。」
どこかに去っていく姉弟。向かう先は十中八九、金髪の女と愉快な仲間たちの元へとだろう。
さて、「雅史」は砂浜で特訓を続けているし、「健太」と「杏璃」は砂遊び、「ハンナ」はビーチパラソルの下で日焼け止めを塗りくつろぎ、「ミュゼット」と「和子」は砂の城を作ってるし、「清子」は例の姉弟を追跡している。姉弟と会話しているコンブリオ兄妹を目撃する「清子」であった。
「(ロドゆい:)それは知らなかった。今は平気?」
「(アレグロ雪郎:)しばらくは落ち込んだが、あの姉妹のおかげで俺は立ち直れた。誰にも言うなよ、俺たち4人だけの秘密だからな。シチメン姉妹だ。」
「(マリア愛美:)どこかで聞いたような...もしかして、緋音のこと?」
「(アレグロ雪郎:)...もう知ってるのか。」
「(マリア愛美:)あたしとレベッカの古い友達だからね。...それで今の緋音はどうしているの?」
「(アレグロ雪郎:)今のところ緋音とは連絡が取れない。音信不通ってことか...。ジェシカに聞いてもな、『あれからずっと連絡がなくて。ってゆーか音信不通?』同じだ。」
「(マリア愛美:)もう1人はいるでしょ?たしか、ハルミだっけ?」
「(アレグロ雪郎:)ハルミならイタリアの知り合い(近藤ジローラモことブラーの事だ。)が預かっている。」
「(マリア愛美:)あらまぁ。」
「(アレグロ雪郎:)妹さえも緋音の居場所はわからない。あの女、どこで何をしているのか...。」
「(清子:)...わたくしには関係ないことですの。」
「(アレグロ雪郎:)...誰だ!!...気のせいか?」
「清子」はすぐに砂浜の中に隠れていて、難を逃れた。
「(清子:)...ふぅ。危ないところですわ。...ん?」
「清子」が見たのは、ミズクラゲを眺める金髪の女こと「レベッカ」。
「(レベッカ:)触れると刺されるし、どうしようか。」
「レベッカ」は打ち上げられているミズクラゲを避け、海の向こう側の浮島に向かい泳いでいく。
「(清子:)それにしても、泳ぎが下手ですわ。わたくしなら上手に泳げるのに...。」
遠くから見ている。「レベッカ」と「モグ」の会話。何を話しているのか、遠くて聞こえない「清子」である。
「(和子:)清子さん、見てください!!自分とミュゼさんの傑作ですよ!!」
「(清子:)はい?」
「(ミュゼット:)立派なお城だろ。」
「(清子:)出来のいいお城ですわ。...砂浜の廃棄物を存分に活用したよそを見習ってはいかがです?御覧なさい。」
「和子」と「ミュゼット」は「清子」のいう「よそ」とは何なのかを見てみると。
「(アレグロ雪郎:)大したものだ。うん、よくできている。素晴らしい。砂浜の廃棄物を有効活用するとは。」
「(アンジー楓:)砂浜の廃棄物は僕が持ち帰るから。」
「ミュゼット」は彼に心当たりがあるかのように...。
「(ミュゼット:)ドクターから聞いたことがある。アレグロ雪郎...噂通り侮れそうにない相手だ。」
「(清子:)...実はわたくしも気になりますの。」
その次、砂浴を始める女性陣3人「アンジー楓」「マリア愛美」「ロドゆい」と「ビート」。
「(ビート:)雪郎兄ちゃん、動けないよ......。」
「(アレグロ雪郎:)何をいっている。やりたいと申したのはビートじゃないか。女子に囲まれおって、まるでハーレムじゃんか。ほら、気持ちいいだろ?」
「(ビート:)あ、ほんとだ。気持ちいなぁ。」
「(アレグロ雪郎:)愛美はどうだい?」
「(マリア愛美:)埋まれてはじめて砂浴して、最高に気持ちいい。」
「(アレグロ雪郎:)そうかそうか、我ながらいい仕事をしたもんだ。」
この光景を見てつい体験したくなる「清子」と「和子」、「ミュゼット」。
「(清子:)さて、わたくしたちもやりますか。健太さん、よろしくて?」
「(健太:)どすこい、任せてよ。」
「(杏璃:)ちょ...あたしを忘れないでください。」
「健太」は女性陣4人の身体を埋めていく。
「(清子:)...暖かいですの。その分、身動きが取れませんの。」
「(健太:)...!!だったら最初から申さないでよ!!...いや違う、杏璃ちゃんは別だよ。」
「(杏璃:)...気持ちいいです。感謝いたします。」
「(清子:)あ...あの金髪が...どっか行ってしまいますわ...!!...くっ!!」
ところが、よからぬ事態が起きてしまう...。そう、「Dr.デカボット」。満足できる海水浴場を用意したのも彼だ。水平線を眺めている「レベッカ」が、ボードの上の彼を目撃した。そしてバッタリ遭遇。
「(レベッカ:)また君かよ。おジャ魔王子といい、フェスティバルといい、ビーチでなにか企んでいるな?」
「(ドクター:)お主、ヒマじゃろう?顔貸せ、目にものを見せちゃるけぇ。」
「(レベッカ:)ちょ、ドクター!」
この光景を目撃した「清子」は強く藻掻く。
「(清子:)た...大変です!!一刻も争う事態になる前に止めなきゃ!!」
その強いジタバタによる抜け出す。
「(和子:)どうしたんです清子さん?」
「(雅史:)騒がしいと思えば、なにか事件かな?」
「(清子:)事件じゃありません!!あの赤い男がいやらしいことをするに違いない!!さぁ、出撃ですわ!!」
「(雅史:)その様子じゃ、相当ただ事じゃないってことね...。よし、みんなー。あの赤い男を追いかけよう。」
「(ミュゼット:)...ドクター!?来てたんだ。...じゃあ私がボードを用意するから準備しとけよ。」
「(ハンナ:)保護者同伴、私も手伝う。」
もちろんアレグロ雪郎も、カヌーを用意するだろう。激遅カヌーを漕ぎ、目的地を目掛けて遠回りするらしい。
「(雅史:)まさか、手漕ぎで追いかけるの?無理だよそんなもん。」
「(清子:)考えがあります。牽引ロープを使い、ひそかに潜入する作戦ですの。そのためには皆さんの力がいるのです。」
「(雅史:)そううまくいくかな...。」
「(ミュゼット:)風紀委員の言ってることがむちゃくちゃだけど、ドクターを止めるためなら惜しまないよ。」
ボードにこっそりロープを取り付けた直後、動き始め牽引した。
「(清子:)健太さん、この小さいボードの守備はよろしくて?」
「(健太:)やなこった!!」
「(杏璃:)ではここの守備はあたしがやります。」
「(健太:)杏璃ちゃん...。」
「(雅史:)よーし、ロープを渡って乗り込むよ。」
「サッカー部」の2回目の任務は今、始まった。
【Phase-1】
無人島到着前なので、相当の揺れが収まりそうにない。揺れながらしっかりロープを掴んで渡っていく。海上にミズクラゲがいて、触れては一大事なので「清子」の能力「Psychic-Tools」を使い撃退する。
「(雅史:)命がけの綱渡りか...。怖いな。」
「(清子:)怖気ついてる場合じゃありません。急いで渡るのです。」
「(健太:)こんな危険なとこ、いけっかよ!!」
「(清子:)怖いなら下がってなさい。足手まといですの。」
「(和子:)清子さんちょっと!!...いつもごめんなさいね。」
「(ミュゼット:)ドクターに見つかると面倒だから、隠れるよう心掛けてよ。」
命がけの綱渡りをしてなんとか「Dr.デカボット」のボードの潜入に成功した。それと同時に無人島に到着した。
「(清子:)ほら、見なさい。よからぬことが起きますわ。」
ボードから降りた「レベッカ」と「Dr.デカボット」。
「(レベッカ:)ドクターよ、どこへいく?暇だからといっても、何しに?」
「(ドクター:)決まっとるじゃろ。この島でアントキの決着をつけるに決まっとるけぇ。」
「(レベッカ:)もしや...私をアレする気?」
「Dr.デカボット」は「レベッカ」のアロハシャツをめくり...。
「(レベッカ:)ちょ、ドクター!!」
これを見た「清子」は。
「(清子:)...なんていやらしいことですわ!!これはもう法的措置を取らなきゃですわ!!」
1回目の敵将と思わしき人物「
「(レガート:)こんなところで何をしておりますかな?」
「(雅史:)...!!それはその...。」
「(清子:)お爺さん、あなたがたの男をどう思ってますの?どう見ても強制わいせつ罪ですよね?」
「(レガート:)見ましたな?...これは坊っ様のためです。お前たち、生かして帰しませんぞ!!」
「(雅史:)誰も言わないから見逃して!!」
「(清子:)お爺さん、あなたがたが何を言ってるのかわかってますの!?立派な犯罪ですわ!!このっ!!」
清子は戦闘態勢に入り、お爺さんを吹っ飛ばそうと能力を使う...。だがその時、岩陰に隠れていたアレグロ雪郎が飛びかかってきた。
「(アレグロ雪郎:)よくも!!このっ、いやらしいことができるな!!」
「(ドクター:)邪魔が入ったのぉ...。じゃあ、Увидимся!!!」
それを見たミュゼットは戦闘中止命令を出す。
「(ミュゼット:)ストップ!!やめて!!ドクターが戻ってくる!!撤収!!」
「(レガート:)命拾いしましたな。早急に去れ!!ミュゼットはここに残りなさい。」
「(雅史:)やばっ、逃げよう。あ...ミュゼット...。」
「(清子:)次会う時は、あなたがたの最後だと思いなさい!!」
「ミュゼット」を除く「雅史」たち「サッカー部」はこのボードから離れた。
「(レガート:)坊っ様、気は確か?」
「(ドクター:)...堅物め、よくもわしをコケにしたなぁ、後悔させちゃるんじゃ。...ミュゼットか、元気にしとるのぉ。」
「(ミュゼット:)はい。私の学校友達は海水浴場に満足しています。」
「(ドクター:)そりゃあ何よりのぉ。彼らの為にも、夕飯の道を準備しとくかのぉ。」
「(ミュゼット:)仰せのままに。」
気付けば、もう日が暮れていた。ボードが動き出し、ビーチへと戻った「雅史」たちは空腹に襲われていた。
「(雅史:)あ...腹減った......。朝も昼も何も食べてない...。最高で最悪だよ...。」
「(清子:)駄々こねて海に決めた結果がこれですか...。」
「(健太:)山にしとけばよかったじゃん...。おかっぱ風紀委員のせいでね......。」
「(清子:)おかっぱ風紀委員は余計ですわ...。」
飢える「雅史」達の前に現れたのは1回目の敵将「
「(レガート:)皆様、お腹がすいてるでしょう。お前たちが望んでいる山のごちそうとやらは、山にあります、ミュゼット、説明しなさい。」
「(ミュゼット:)食糧は山にあります。食べたいなら登れってことです。」
「(雅史:)ミュゼット...ぐ...。」
日没をもって楽しいビーチ日和は終わった。駄々をこねてまで楽しんでいたビーチ日和は今日限りであり、訪れることはないだろう。飢える「サッカー部」は、当初の望み通りの山を楽しめるだろうか...。
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