第8話 復旧

『敵機体沈黙...ジェネレータの停止を確認、初めての戦闘にしては見事でしたよマスタークリス』


「はぁ...はぁ...なんとか勝った...」

傷だらけになった格納庫にはボロボロになったストライダーと完全に壊れたイフリートの残骸があった。

途中で放棄したシールドを拾いビームソードを納めると粒子残量を確認する為パネルを操作する。

「やっぱり粒子切れを起こしてる...」

供給を受けない限り使用は出来ないが、粒子を供給すればまた使える為だ。


「それにしても、なんでこいつイフリートは停止命令を受けてなかったんだ?」


『内部構造を解析中....どうやらスタンドアロン化された機体の様です。おそらくは船が占拠された際の保険だったのではないでしょうか。』

実際にクリスとイリスに掌握されているため効果がなかったと言うわけではないだろう。


「なるほどねぇ...とんだ置き土産だ...」

その場にあった機体とはいえストライダーは地球時代の骨董品であり希少価値のある機体、傷つけられるのをクリスは好かなかった。

「工廠内部にこいつみたいな無人機はもうない...よね」

もう一機出てきたら対処できないだろうとクリスは感じていた。


『スキャン結果では稼働状態の機体はないと出ています、あるのは停止状態の無人機体です。』と言い強化スーツ頭部に内蔵された小型ディスプレイに内部の機体情報を表示する。破損状態の機体が40機、稼働可能状態の機体が66機。

合計106機のTS機体が工廠内にあると記載されていた。


「ならいいけど...内部調査を再開するから電源までの明かりを頼む」

スーツ内蔵のライトは戦闘により破損しストライダーは小回りが効かない為移動以外には適さないだろう。ましてや損傷が激しいストライダーをもう一度動かすにはあまりにリスクが大きすぎる。


『了解しました、光量を1から20に変更します。』

ドローンに内蔵された光量少から光量大に変更すると工廠内にあるTS機体達が見えてくる。

近くで見てみるとTXS-008と型番が刻印されているのが確認できる。

TXS-008はシュヴァルツアー重工製の第二世代半無人TS機体ケルディムに付与された物で主に作業用として開発されている。


「旧式のTS...形状からして第二世代のケルディムか」


有線通信用のソケットに接続しシステムの掌握に取り掛かる。

『第二世代TSケルディムの起動を確認、工廠内のTS機体群の権限掌握に成功しました。』


「よくやった!これで労働力が確保できる!」


『すぐにエレベーターを復旧させます。艦橋まで帰還してください。面白い物が見れるはずです。』

工廠内の電源も掌握したのか、エレベーターまでの道中に設置されている光源装置を点灯させる。



「楽しみにしとくよ、イリス」



『はい』




つづく

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