魅力的な芳香と口当たりの良さに溺れる。

アドニス…このインパクトのある名前を
聞いた事はあるだろう。だが、これは
ギリシャ神話の登場人物ではなく、剰え
自販機に置いてある物ではない。

タイトルからして、甘くて秘密主義で
不思議な 疚しさ を醸し出すこの掌編集
街の路地裏や、場末のアパート、それから
普段は目にする事のない、或いは目にした
ところで殆ど同時に忘れ去られてしまう
塞ノ神や、諸々。

 余りにも躍動的で、慎ましくて不穏。

まさに一気読み出来る程の魔力を携えた
作品ばかりなのだ。
 幾ら、読み易いからと言って、一気に
読むと後で、ちょっとやられるかも
  知れないが。

 滅多に出逢えるものではない。


こうして溺れて行くのかも知れないが、
それはそれで、
         僥倖である。



その他のおすすめレビュー

小野塚 さんの他のおすすめレビュー1,640