魅力的な芳香と口当たりの良さに溺れる。
- ★★★ Excellent!!!
アドニス…このインパクトのある名前を
聞いた事はあるだろう。だが、これは
ギリシャ神話の登場人物ではなく、剰え
自販機に置いてある物ではない。
タイトルからして、甘くて秘密主義で
不思議な 疚しさ を醸し出すこの掌編集
街の路地裏や、場末のアパート、それから
普段は目にする事のない、或いは目にした
ところで殆ど同時に忘れ去られてしまう
塞ノ神や、諸々。
余りにも躍動的で、慎ましくて不穏。
まさに一気読み出来る程の魔力を携えた
作品ばかりなのだ。
幾ら、読み易いからと言って、一気に
読むと後で、ちょっとやられるかも
知れないが。
滅多に出逢えるものではない。
こうして溺れて行くのかも知れないが、
それはそれで、
僥倖である。