終末のEveにセックスを

 わたしはやはり死んだのか。いや、目覚めたのかもな。生きていくよりも、死んでいることのほうが幸せな人生はあるのかもしれない。


 風は人生を蠟燭の灯火のように消し去ろうとするが、それは比喩に過ぎない。実際、そんな風など存在しないからだ。


 なぁ、そうだろう?


 ヘレーネ。


 わたしは君を愛している。会いたい。


 あの夜、全てが終わりと始まりを迎えた7日目の夜に、わたしたちは一つになった。わたしはあの時に得た快楽に勝る経験はしたことがない。


 テトラの海辺に、卵を生む海亀は、どうして涙を流すのか。


 君とわたしの愛の結晶。それが世界なのだとしたら、君はその世界をどうするのが正解だと思う?


 山吹色した目が斜め上からわたしを見つめていた。世界は変わる。不可逆反応。それが摂理。


 わたしは終末の狭間でした君とのセックスを二度と忘れないのだろう。あの感触、あの温もりが、今でもわたしの脳のクオリアとして確かに存在しているのだから。

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