　創世暦（そうせいれき）８１９３年（ねん）８月（がつ）１日（にち）‥‥美少女（びしょうじょ）エクレア・エトワールは、冒険者（ぼうけんしゃ）として『ダライアスの迷宮（めいきゅう）』に招待（しょうたい）されました。

　現在（げんざい）、エクレアは、いわゆるボス部屋（べや）に居（い）ます。ここには、招待カードを使用（しよう）して、港湾（こうわん）都市（とし）『シュランカ』から、転移（てんい）して来（き）ました。

　それと、彼女（かのじょ）の装備（そうび）は、普段（ふだん）通（どお）りのアダルト革鎧（かわよろい）『プレイガール』です。

　また、目下（もっか）、姉（あね）のフェイトは、システム内（ない）に居ます。

「師匠（ししょう）、おはよう！」

『師匠、来たぞう♡』

　エクレアと、システム内のフェイトが、有名（ゆうめい）ダンジョンマスター『オークのダライアス』に挨拶（あいさつ）しました。

　その彼（かれ）‥‥オークのダライアスは、有名ダンジョンマスターで准男爵（じゅんだんしゃく）です。彼（かれ）は、重要（じゅうよう）人物（じんぶつ）なので、例（たと）え死亡（しぼう）しても、シュランカで復活（ふっかつ）する事（こと）が許（ゆる）されています。

　尚（なお）、オークは、異形（いぎょう）の亜人種（あじんしゅ）です。地球（ちきゅう）の古今（ここん）東西（とうざい）の伝承（でんしょう）にある『豚（ぶた）の妖怪（ようかい）』の類（たぐい）を思（おも）わせる外見（がいけん）をしています。

　また、身体（しんたい）能力（のうりょく）は、人間（にんげん）と酷似（こくじ）していますが、人間よりも好色（こうしょく）で繁殖力（はんしょくりょく）が強（つよ）いです。それ故（ゆえ）か、人間や『他（ほか）の亜人種』とも、やたらと子供（こども）を作（つく）ろうとします。

　おまけに、オークの遺伝子（いでんし）は、人間と全（すべ）ての亜人種に対（たい）して顕性（けんせい）です。

　ところで、エクレアたちが、ダライアスと出会（であ）ったのは、シュランカの娼館（しょうかん）です。ダライアスは、エクレアの『お客（きゃく）』でした。

　‥‥という訳（わけ）で、エクレアとダライアスによる『性的（せいてき）合体（がったい）』が始（はじ）まりました。

　合体終了（しゅりょう）から、小一時間（こいちじかん）後（ご）‥‥

「じゃあ、そろそろ‥‥実戦（じっせん）形式（けいしき）だったな？

　ここのゲートウェイと、お前（まえ）たちを切（き）り離（はな）すぞ！」

　ダライアスが言（い）った途端（とたん）‥‥エクレアたちの実力（レベル）不足（ぶそく）により、港湾都市『シュランカ』とは、オフラインに成（な）りました。

『師匠、ここにキャンプ、貼（は）り終（お）わったぞ～♪』

　システムウインドウ内から、フェイトが楽（たの）しそうに言いました。

　彼女は、ここを、探索拠点（キャンプ）に指定（してい）したのです。システムによる探索（たんさく）拠点（きょてん）の指定は、通称（つうしょう）『貼る』と言われています。

「そうか‥‥ちゃんと貼れてるな。

　今（いま）から、ここの入口（いりぐち）に飛（と）ばす。

　‥‥冒険の始まりだ！」

　ダライアスの言葉（ことば）の後（あと）‥‥エクレアたちは、レアメタル鉱山（こうざん）の入口に転移されます。

　――再（ふたた）び、シュランカとオンラインに成（な）りました。これで、シュランカの『倉庫（そうこ）や取引所（とりひきじょ）』を、いつでも利用（りよう）できます。

　やがて、エクレアは、インベントリから、ファルシオン型（がた）の長剣（ちょうけん）を取（と）り出（だ）しました。

　そして、ダンジョン再入場（さいにゅうじょう）から２０分（ぷん）後（ご）‥‥

　エクレアが、コボルド３匹（びき）を発見（はっけん）‥‥それらは、武装（ぶそう）した小型（こがた）の亜人種ですが、見（み）た目（め）は二足（にそく）歩行（ほこう）する野良犬（のらいぬ）です。

　エクレアは、穏身（ステルス）して背後（はいご）から『最後尾（さいこうび）の一匹（いっぴき）』を、ナイフで暗殺（あんさつ）‥‥『賢（かしこ）い一匹』が振（ふ）り返（かえ）りますが‥‥その時（とき）には『間抜（まぬ）けな一匹』の後頭部（こうとうぶ）に、彼女が投（な）げたナイフが刺（さ）さり‥‥間（かん）を置（お）かずのスキル『居合（いあい）斬（ぎ）り』で『賢い一匹』の首（くび）を、長剣で切断（せつだん）しました。

　――バトル完了（かんりょう）です。

　仕上（しあ）げに、３匹の死骸（しがい）をコモンスキル『ドロップ』で、戦利品（せんりひん）『お金（かね）とアイテム』に変（か）えます。さらには、コモンスキル『回収（かいしゅう）』で、戦利品をインベントリに収納（しゅうのう）しました。

　今回（こんかい）の収益（しゅうえき）は、コボルド魔石（ませき）（１，８００ソリダ）が３個（こ）と、コインが５，７２３ソリダです。

　尚、コモンスキル『ドロップ』は、格下（かくした）の死骸にしか効果（こうか）がありません。

　さらに、１５分（ふん）後‥‥

　ゴブリンの群（む）れに、発見されてしまいました。それらは、小型亜人種で、醜（みに）く汚（きたな）い外見（がいけん）が特徴（とくちょう）です。知能（ちのう）が低（ひく）いくせに、卑怯（ひきょう）で残虐（ざんぎゃく）な性格（せいかく）でもあります。

　目下（もっか）、エクレアは、ゴブリン５匹（ひき）から奇襲（きしゅう）されて‥‥ＨＰ（エイチピー）（総合（そうごう）耐久力（たいきゅりょく））が、いきなり７０％を下回（したまわ）りました。

　彼女は、スキル『殺陣（たて）』を駆使（くし）して、１対１の戦（たたか）いに持（も）ち込（こ）みますが‥‥戦闘（せんとう）に手間取（てまど）ります。３分後、魔法（まほう）『ヒール』で、３０％にまで減少（げんしょう）したＨＰを全（ぜん）回復（かいふく）しました。

　結果（けっか）‥‥勝利（しょうり）までに、殺陣を１３回（かい）に、ヒールを８回も使（つか）いました。しかも、死骸のランクが高（たか）くて、コモンスキル『ドロップ』が発動（はつどう）しません。仕方（しかた）なく、死骸の所持品（しょじひん）を漁（あさ）ります。

　ところが、苦労（くろう）の成果（せいか）は‥‥『凌辱（りょうじょく）された女性（じょせい）のパンツ（コモンスキル「鑑定（かんてい）」による名称（めいしょう））』（価格（かかく）不明（ふめい））が１枚（まい）と、コインが３３６ソリダでした。

　尚、１ソリダは、１円（えん）ほどの価値（かち）です。

「はあ、あれだけ苦労して、これじゃあね‥‥」

　エクレアが汗（あせ）だくで、ガッカリします‥‥が、システムウインドウが開（ひら）きました。

『スキルアプリ「ドロップ」実行（じっこう）！』

　システム内から、フェイトが、スキルアプリを実行すると、ゴブリン５匹の死骸が『戦利品』に変わりました。戦利品は、ゴブリン魔石｜（２，８００ソリダ）が５個と、コインが１３，４８０ソリダです。

「なんで！」

　エクレアが、不満（ふまん）混（ま）じりの驚（おどろ）きをしました。

　それを、朗（ほが）らかに見（み）つめながら、フェイトが解説（かいせつ）します。

『コモンシステムより、地球（ちきゅう）のシステムアプリの方（ほう）が優秀（ゆうしゅう）だからだぞ～♪』

「そうなんだ‥‥」

　フェイトの説明（せつめい）で、エクレアは『目（め）から鱗（うろこ）』の表情（ひょうじょう）です。

　ですが、エクレアの肉体（にくたい）が、疲（つか）れ切（き）っている上（うえ）に、汗や汚（よご）れに塗（まみ）れています。アイテム『リターン』を使い、一旦（いったん）、探索拠点に戻（もど）ります。

　ところで、先程（さきほど）の女性用（よう）パンツを、スキルアプリで再『鑑定』してみると‥‥激（げき）レア収集（しゅうしゅう）物（ぶつ）『トラップにはまり、ゴブリン５匹に凌辱されて処女（しょじょ）喪失（そうしつ）した三十路（みそじ）ベテラン美女（びじょ）戦士（せんし）のパンティー』（価格不明）に変わりました。