乙女と芸能人と‥‥異世界転生‥‥!

 望月もちづき真愛まりあ処女しょじょ)が、全裸ぜんら生活せいかつえてから、初日しょにち正午しょうご――



 彼女かのじょは、安宿やすやどで『簡素かんそ衣服いふく』をて、しつよりりょう食事しょくじっています。


「もぐもぐ‥‥はんえのポテトさえも、美味おいしい!

 はむはむ‥‥そうえば、おとうさんとか如何どうしてるんだろう?

 ――芸能人げいのうじんやってる『おねえちゃん』とかも‥‥」


『芸能人?』


 システム・ウインドウのこうから、フェイトが疑問ぎもんけました。

 フェイトは、素肌すはだ装甲そうこうだけのサイバーパンクな格好かっこうです。


「そう、一卵性いちらんせい双生児そうせいじあねほう

 ――ロックバンドのボーカルやってて、そのうえけずぎらい』な性格せいかくだよ。

 けど、両親りょうしん離婚りこんしてからは、おかあさんの方にるけどね」


『おかしい、検索けんさくできない‥‥

 姉のは?』


日向ひゅうが倭撫いぶ‥‥大和やまと撫子なでしこ意味いみで、倭撫イブだけど」


『検索完了かんりょう‥‥それ、おれだわ!』

「えっ‥‥ええぇーっ!」


 当然とうぜんごとく、真愛まりあ絶叫ぜっきょうしました。


「そう言えば、お姉ちゃんも、普段ふだん『俺言葉ことば』だった‥‥

 それがけて、スカウトされたんだっけ?」


『そうだが‥‥それは、そうとしてだ‥‥

 ――俺、べつ場所ばしょに居たんだが‥‥

 おまえ異世界いせかい転移てんいに、まれたみたいだ!

 しかも、転移失敗しっぱいで、死亡しぼうしてた‥‥』


「なんですとぉ!」


『しかし、しまった‥‥

 なまファックが、あんなに気持きもいなら‥‥

 前世ぜんせで、処女てとくんだった!』


「エッチって、気持ち良いんだ?」

『お前は、エッチ禁止きんしだからな!』


「‥‥」『‥‥』


 二人ふたりあいだを、奇妙きみょう沈黙ちんもくが、支配しはいしました。



 しばらくして、真愛が、食事をしながら、話題わだいります。


「はぐはぐ‥‥ところで『お姉ちゃん』のこと、どうべばい?」

一度いちどんだから‥‥フェイトが本名ほんみょうだな』


かった、お姉ちゃん!」

『お姉ちゃんじゃなくて、フ・エ・イ・トだろ?』


「フェイトだよね‥‥お姉ちゃん」

『‥‥もうい』



 そのも、真愛は、マイペースで食事をつづけました。

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