僕は背が高い

「背が高いですね」


コンビニの店員さんに、そう声をかけられた。

僕はうまく笑顔で返せただろうか。


その店員さんには内緒だが、背が高いことは僕のコンプレックスだ。



僕はいつも周囲の視線を気にしてしまい、外を歩くだけでも神経を使う。


見慣れていないせいか、僕は自分より背が高い人を見かけると恐怖を覚える。

「うわっ、デカっ!」っと心の中でビビってしまう。

しかし、近づいてみると、実際には僕の方が大きいことがほとんどだ。


僕の身長は、185cmです。

統計上のデータに過ぎないが、日本人男性の身長分布を見てみると、その割合は1%以下らしい。



子どもの頃は、「身長、分けてよ」とよく言われた、分けられたら良いのになぁと思っていた。

身長が高いことを、うらやましいと思ってくれる人たちがいたのだ。


すれ違う子どもにボソッと「巨人」と言われたこともある。

彼は友達に話すだろうか、帰って親に話すだろうか。

巨人を見つけ、いい思い出になっただろうか。



コンビニの店員さんの場合は、声色で悪意がないことが分かった。

わざわざ見も知らぬ僕に声を掛けてくれたことを、ありがたいとさえ思った。


そこに思いやりや人間愛のようなものを感じ、コンプレックスと思っているはずなのに、幸せな気持ちが広がった。


コミュニケーションとは、発する言葉そのものよりも、もっと大切なものがあるのかも知れない。

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