【4000pv感謝】推理ゲームに恋愛フラグは必要ありません!~前世知識を駆使して夫の闇落ちを阻止しようと思います

白鳥ましろ

一章 黒幕侯爵の妻になりました~舞踏会に咲く赤い花

痛くて、冷たくて、甘い罠

 私は旦那様を愛していない。

 毎朝、真珠みたいに綺麗な銀髪の髪を、なびかせて「おはよう 」と言ってくれるけど。

 昼になれば気をきかせて「一緒にオペラを見に行かないか?」と誘ってくれるけど。

 夜の帳がおりれば、月に照らされた部屋で「今日もいい夢を」と言いながら頬にキスをしてくれるけど。


 それでも私は、貴方を愛さない。

 愛するつもりもない。



 だって、この世界は乙女ゲームでも、魔王がいるRPGでもない――当たり前のように日頃から死人が発生するノベル型推理ゲームの世界。そして、貴方は、よりにもよって最後には処刑される黒幕様なのだから。



𑁍  𑁍  𑁍



 異世界の辺境にある小国ヴィシュトリア。

 外国から蒸気機関が持ち込まれ、機械産業が盛んになる中で、貧富の格差は広がり、人々は貴族などの上流階級、富んだ一般人である中流階級、貧しい労働者階級に分かれていた。


 しかし、そんなヴィクトリアの王都で生まれた伯爵令嬢シータにそんな国の事情など関係ない。彼女は何事もなく平穏に育ち、やがて婚約し、円満な家庭を築く予定だった。


 なぜ「予定だった」か?


 そりゃあシータの正体は、推理ゲーム序盤に速攻で毒殺される被害者だからだよ。




――こんな結末、私は認めないからね!


 

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