ゲーム序盤で殺される令嬢、なぜか腹黒侯爵様(黒幕)に求婚される~前世知識を駆使して夫の闇落ちを阻止しようと思います

白鳥ましろ(白鳥座の司書)

一章 黒幕侯爵の妻になりました~舞踏会に咲く赤い花

 プロローグ

 私は旦那様を愛していない。


 だって、私達は形だけの夫婦だから。


 なのに貴方はなぜ――。

 ねぇ、どうして――。



「僕を愛して下さらないというのなら、惚れさせるまで――そうでしょう?」



 そのような言葉を私にかけてくるの?



𑁍  𑁍  𑁍



 異世界の辺境にある小国ヴィシュトリア。

 外国から蒸気機関が持ち込まれ、機械産業が盛んになる中で、貧富の格差は広がり、人々は貴族などの上流階級、富んだ一般人である中流階級、貧しい労働者階級に分かれていた。


 しかし、そんなヴィクトリアの王都で生まれた伯爵令嬢シータにそんな国の事情など関係ない。彼女は何事もなく平穏に育ち、やがて婚約し、円満な家庭を築く予定だった。


 なぜ「予定だった」か?


 そりゃあシータの正体は、推理ゲーム序盤に速攻で毒殺される被害者だからだよ。




――こんな結末、私は認めないからね!


 

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