第153話 10,000人の軍隊…全滅
一歩一歩ゆっくりとした歩みで敵陣に近づいていくと、後衛に控える魔法士の一人が
「貴様ら! 何を怯えている! 恐怖に呑まれる暇があったら、それを怒りに変えろ! 戦場に散っていた多くの仲間達のためにも、命を賭して喰らいつけ! 四肢を斬り飛ばされようと、頭や心臓を貫かれようと、最後の一瞬まで絶対に諦めるな!」
「「「「「うぉおおお!」」」」」
この絶望的な局面でも部下達を鼓舞し、最後まで俺の命を狙い続けるとは…これが騎士道精神ってやつか?
決して見習おうとは思わないが、敵としてその不屈の精神は尊敬に値する。
しかし、気合いや根性でどうにかなるほど、現実は甘くない。
剣帯から〈真銀鉱魔の短剣〉を抜き、決死の覚悟で武器を振り上げる騎士の首を斬り飛ばす。
「うぉおおお! ッ………」
「よくも仲間を! グハッ………」
「ぶっ殺してやる! ガハッ………」
闘志が篭った言葉で自身を鼓舞し、勇敢に立ち向かってくる騎士達は、俺に擦り傷一つつけることさえできず、無駄に命を散らしていく。
開戦前よりも大幅にステータスが上昇した俺の動きを、騎士や魔法士達は全く捉えることができず、何が起きたかさえ分からず、呆気なく死んでいく。
「クソッ! 一体何が起きている! 奴の動きを全く目で追えない!」
気づいた時には頭部や血飛沫が舞い、騎士の一人が、魔法士の一人がその場で急に倒れ始める。
【気配感知】や【魔力感知】で反応を捉えることができず、私達は何もできず死んでいく。
(そんなことはできない! 戦場に散った多くの仲間達のためにも、奴に一矢報いらないと、私は死なない!)
しかし心持ちとは裏腹に、その場を動くことができず、ただただ部下達が死んでいくのを見てることしかできなかった。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
『Lv.92にUPしました』
『Lv.93にUPしました』
『Lv.94にUPしました』
『【雷魔法】Lv.8にUPしました』
『【水魔法】Lv.8にUPしました』
『【土魔法】Lv.8にUPしました』
『【回復魔法】Lv.8にUPしました』
『【風魔法】Lv.8にUPしました』
『【火魔法】Lv.8にUPしました』
『【氷魔法】Lv.8にUPしました』
『【光魔法】Lv.8にUPしました』
『【闇魔法】Lv.8にUPしました』
『【結界魔法】Lv.8にUPしました』
『【魔力纏装】Lv.6にUPしました』
『【魔力纏装】Lv.7にUPしました』
『【縮地】Lv.7にUPしました』
『【闘気練装】Lv.6にUPしました』
『【闘気練装】Lv.7にUPしました』
『【威圧】Lv.7にUPしました』
『【指揮】Lv.7にUPしました』
『【雷魔法強化】Lv.8にUPしました』
『【土魔法強化】Lv.8にUPしました』
『【火魔法強化】Lv.8にUPしました』
『【水魔法強化】Lv.8にUPしました』
『【氷魔法強化】Lv.8にUPしました』
『【風魔法強化】Lv.8にUPしました』
『【光魔法強化】Lv.8にUPしました』
『【闇魔法強化】Lv.8にUPしました』
『【雷魔法耐性】Lv.8にUPしました』
『【火魔法耐性】Lv.8にUPしました』
『【闇魔法耐性】Lv.8にUPしました』
『【光魔法耐性】Lv.8にUPしました』
『【威圧耐性】Lv.7にUPしました』
『【農耕】Lv.6にUPしました』
『【空踏】Lv.6にUPしました』
『【空踏】Lv.7にUPしました』
騎士団長を残して、全ての騎士や魔法士達を殺し終えた。
俺を見つめたまま微動だにしない騎士団長の元へ歩み寄り、短剣を差し向け話しかける。
「ご自慢の部下達は、皆仲良くあの世だ。10,000人の精鋭を揃えておきながら、たった一人のDランク冒険者を倒せないとは…」
「…」
「王都に住む民達の生活や安全を守る者達がこの様では…住民の皆さんもさぞがっかりするだろう」
「お、お前は…何者なん、だ?」
「俺はただのDランク冒険者だ。さて、最後に言い残すことはあるか?」
「…」
「あぁ、開戦前にお前が言った言葉をそのまま返してやろう。命乞いの言葉も無しか?」
「…確かに我々は、お前一人に歯が立たなかった。しかし、人外の領域に足を踏み込んだ強者はお前だけではない。いずれ、お前よりも強い者がお前を殺すだろう。…それをあの世で見守っている」
「ハハハ! 片時も見離さずしっかりと見ていろ。俺が数多の強者を捩じ伏せ、世界最強に君臨する様を」
そう言い終えると同時に、騎士団長の首を斬り飛ばした。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
騎士や魔法士達の死体が散乱し、血生臭い戦場を後にする。
離れた場所で観戦していたディアナと馬車を牽く御者の元へ向かう。
「待たせたな」
ディアナに声をかけたが、向こうの戦場と俺に何度も視線を移すのみで返事がない。
「残念だったな、ディアナ。俺はこの通り無傷で戻ってきたから、お前はまだ隷属下から解放されない」
「あ、あぁ…そうだな。それより、お前の強さは…異常だぞ」
「そうか?」
「二度の広範囲殲滅魔法の威力や範囲は桁違いだし、最後の動きは…私でも目で追えなかった」
「だから言っただろ? D〜Cランク程度の奴等が何人いようと問題ないって。…それに今なら、同等のAランク冒険者の軍隊でも余裕で勝てそうだ」
「ん? 最後の言葉がよく聞き取れなかったが、なんて言ったんだ?」
「なんでもない。さっさと街に帰るぞ」
「死体はどうするんだ?」
「放置するしかないだろ。全員を街まで運ぶなんて現実的じゃない」
「…そうだな」
俺とディアナは荷台に乗り込むと、御者の男性に馬車を出発させた。
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