第142話 屋敷で迎える夜明け

 ステータスを一通り確認し終えた俺は、思わず笑みが溢れる。


 八つある能力値の内、五つが10,000の大台を超えていた。


 この王都に訪れてから魔物を討伐した数はそこまで多くはない。


 ステータスが大幅に伸びた一番な理由は、〈赤目の闇梟〉の奴等を全員殺したことだろう。


 犯罪に手を染めた屑野郎の集まりでも、C〜Bランクの実力者達が五十人もいたため、既得スキルのレベルがかなり上がった。


 レベル6〜7のスキルが大量に増え、それによる能力値の増加が大幅なステータス上昇に繋がった。


 ここで一つの疑問が生じる。


 今の俺がどれほど強いのか。


 既にAランク冒険者に勝てる実力はあり、その上のSランク冒険者やSSランク冒険者に匹敵するほどの実力があるのか。


 俺はユニークスキル【強欲】で魔物のスキルまで奪うことができ、所持スキルの数は頂点に位置する強者達よりも多いと思う。


 それに所持スキルの数が多いということは、それだけ能力値の増加にも繋がる。


 転生時にスキルレベル10のスキルを三つ与えられる転生者で、三つの能力値が+5,000程度。


 そこから新規スキル獲得やスキルレベル上昇を考慮しても、意外といい勝負できそうな気はするな。


 では、頂点に位置する強者達や転生者でも勝つのが難しい魔王や大魔王は、一体どれほど強いんだろうな。


 いずれは全員倒す相手だし、まだ俺は成長途中で伸び代がある状態だ。


 そう遠くない未来に、奴等と対峙することになるだろう。


 それが楽しみだ!


 思考を切り替え、新規スキルの詳細説明を確認する。


【魔力纏装】Lv.5

 魔力を纏い、擬似的な防具とすることで、各属性の魔法攻撃を防御することができるスキル。擬似的な防具の防御力は、精神値に比例する。精神値+160


※解放条件:【魔力操作】Lv.5


【挑発】Lv.5

 対峙している魔物や人類種の注意を強制的に自分に惹きつけるスキル。有効範囲前方5メートル。知力値+160


【風魔法強化】Lv.6

 風魔法による与ダメージが知力値×1.6倍になるスキル。知力値+320


【光魔法耐性】Lv.7

 光魔法によるダメージを受ける際、精神値が1.7倍になるスキル。精神値+640


【威圧耐性】Lv.6

 威圧による精神的重圧の影響を受けにくくなるスキル。精神値+320


【誘惑耐性】Lv.4

 異性の性的魅了の影響を受けにくくなるスキル。精神値+80


【採掘】Lv.2

 岩石や土砂の中に埋まる鉱物資源を掘り出す技能が向上するスキル。筋力値+20


【植栽】Lv.5

 庭や玄関周りなどに樹木や草花を植える技能が向上するスキル。器用値+160


【剪定】Lv.5

 植栽した樹木の葉や枝を刈り取り、形を整える技能が向上するスキル。器用値+160


【彫金】Lv.5

 鏨や金槌を用いて金属を彫る技能が向上するスキル。器用値+160


【彫刻】Lv.5

 木や石などの素材を彫って作ったり、粘土や石膏などで徐々に肉付けして形像する技能が向上するスキル。器用値+160


【描画】Lv.5

 物品や風景を見て絵を描いたり、想像で絵を描く技能が向上するスキル。器用値+160


【作法】Lv.5

 社会生活や社交の場で円滑に立ち振る舞う技能が向上するスキル。器用値+160


【教育】Lv.5

 自分の持つ知識や技術、道徳的な価値観を教え、人間として成長させる技能が向上するスキル。知力値+160


【給仕】Lv.5

 飲食時に側に控え、グラスに飲み物を注いだり料理を取り分けたり、飲食の世話をする技能が向上するスキル。器用値+160


【話術】Lv.4

 良好な人間関係を築くための対話技能が向上するスキル。知力値+80


【馬術】Lv.4

 馬を操り、乗り熟す技能が向上するスキル。器用値+80


 獲得した新規スキルは、全体的に生活系統のスキルが多かった。


 冒険者や犯罪者など戦闘を生業にしている者だけ倒していては、入手が困難だったスキルなので、あの執事の爺さんには感謝だな。


 特に有難いスキルは、【魔力纏装】と【威圧耐性】だ。


 【魔力纏装】は【闘気練装】の魔力版であり、攻撃性能はないが各属性の魔法攻撃を防いでくれるようだ。


 着弾の速い【雷魔法】を防げて一時的に戦闘を中断させられることも無くなるので、非常に有難い。


 【威圧耐性】は自分より格下であっても、強制的に行動不能にさせられていたので、これで緩和できるのは非常に有難い。


 少しずつ弱点が少なくなり、それだけ隙も無くなる。


 ステータスと新規スキルの詳細説明を確認し終えた頃には、向こう側の空が明るくなり始めていた。


 そろそろ屋敷の使用人達が活動を始め、誰かが入口に転がる執事の爺さんの死体に気づくだろう。


 その後にここに転がる男爵の死体も見つかれば、大惨事は間違いない。


 それでも俺達の方針は決定してるし、今更慌てることはない。


 俺は椅子から立ち上がり、被害者の女性達を世話するディアナの様子を見に行った。

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