第109話 7階層はアンデットの巣窟
どの職業に就くべきか迷っていた俺だが、現在のレベルを見て考えを改める。レベル60に到達すれば、新たに6次職が解放される。
既にDランクの魔物は相手にならないので、7階層以降も広範囲殲滅魔法で、手っ取り早く倒すつもりだ。
レベル50を超えてからレベルの上がり具合が緩やかになってきたが、2レベル程度であればすぐに上がるだろう。
【暗殺者】という響きがかっこいいなとは思っていたが、ここは魔法攻撃と防御の両面を底上げするために、【魔導士】を選択するとしよう。
【魔導士】
筋力値、頑丈値、敏捷値、器用値+160。知力値、精神値、幸運値+320。
スキルポイントの割り振りや職業選択を終えた後、明日のダンジョン攻略に向けて、早めに眠りについた。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
翌日。
朝シャンと身支度を整え、女性の店員に宿泊料金を支払い、宿屋を後にした。
日々成長を実感できるダンジョン攻略が楽しみで、今日も軽快に大通りを歩いていると、声をかけられる。
「あの! 果物は要りませんか?」
声をかけてきたのは、小学校高学年くらいの女の子。しかし、年頃の女の子なのに髪はボサボサで、とても見窄らしい格好をしていた。
(勿体無いな。目鼻立ちは整っているし、将来美人さんになるだろうに)
バスケットに入った形が不揃いの赤い果物。あまり状態が良いとは言えないがーーー
「全部購入しよう。いくらだ?」
すると、女の子は目を見開きとても驚いた表情を浮かべながら答える。
「あ、ありがとうございます! 全部で金貨1枚です!」
少女からバスケットを受け取り、小さな掌に金貨1枚と虹金貨1枚を乗せる。
「あ、あの、これは?」
俺は少女の掌が周囲に見えないように隠し、小さな声で答える。
「これはほんの気持ちだから気にしないで。家に帰るまで誰にも見せたら駄目だよ」
「う、うん!」
少女がスラム街の方へ向かうのを見届けつつ、聞き耳を立てている奴や少女の後を付け狙う奴がいないか確認する。
「…よし、問題ないな」
早速、果物を食べ歩きつつ、城門を潜る。
赤い果物は形は不揃いだが、味は林檎と同じだったので、美味しく食べることができた。
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流石に果物だけではお腹は満たされなかったので、昨日と同じ露店でミックスサンドを購入し、ダンジョンの入口に向かった。
魔法陣の部屋に転移すると、部屋を出て階段を上り、7階層へ向かった。
眼前に広がるフィールドは墓地だった。
肌を撫でる空気は少し冷たく淀んでいるように感じ、全体的に薄暗い印象を受ける。
「フィールドが墓地ということは、アンデット系の魔物が出現するってことだよな」
周囲に視線を巡らせ、目視できる魔物の情報を視ていく。
白骨死体のスケルトンや武器持ちの上位種は置いておくとして、他の魔物は…。
【ゾンビ】
・【細菌感染】Lv.4
【ペナンガラン】
・【吸血】Lv.4
・【同族変化】Lv.3
・【発病】Lv.4
【レヴナント】
・【跳躍】Lv.4
・【麻痺爪】Lv.4
・【自己再生】Lv.3
【ボーン・イーター】
・【骨喰強化】Lv.4
【スパルトイ】
・【技能模倣】Lv.4
・【闇魔法耐性】Lv.4
【ウィスプ】
・【雷魔法】Lv.4
・【浮遊】Lv.4
・【生気吸収】Lv.3
【レイス】
・【浮遊】Lv.4
・【同族変化】Lv.4
・【生気吸収】Lv.3
【バンシー】
・【泣声響襲】Lv.4
【ハーゲスト】
・【突進】Lv.4
・【爪術】Lv.4
多種多様なアンデット系の魔物がおり、危なそうなスキルも所持しているため、迂闊に近づくことはできない。
よって、魔法を主体に攻撃するしかないのだが、アンデット系に有効そうな【光魔法】を所持していない。
スキルポイントで獲得することはできるが、ここには【光魔法】を所持するスケルトン・マジシャンがいるので、却下だ。
【探索】スケルトン・マジシャン
早速反応を捉えると、魔物が蔓延るフィールドを全力で駆け出す。周囲の魔物達が俺に気付くが、その時には既に通り過ぎてしまっている。
あっという間にスケルトン・マジシャンとの距離を詰めると、内部の魔石ごと頭蓋骨を破壊してやった。
『【光魔法】Lv.4を獲得しました』
『【闇魔法】Lv.4を獲得しました』
『【結骨再生】Lv.4を獲得しました』
続いて、腐乱死体のゾンビと女性の頭部とその下から内臓をぶら下げているペナンガランが襲ってきた。
先程獲得したばかりの【光魔法】を詠唱する。
「光よ、敵を貫く弾丸となれ、
『【細菌感染】Lv.4を獲得しました』
『【吸血】Lv.4を獲得しました』
『【同族変化】Lv.3を獲得しました』
『【発病】Lv.4を獲得しました』
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