第91話 サンダー・スライムは面倒

 ダンジョン内にも関わらず、周囲の魔物を警戒することなく、考え事をしながら歩く。


 「次はどのスキルを選択するかな」


 スキル一覧を表示し、羅列されているスキルを眺めつつも、襲ってくる魔物に対処する。


 ホブゴブリンが振り下ろす棍棒を半身になって躱し、拳で顔面をぶち抜く。


 ハイコボルトが噛みつこうとしてきたので、頭部を蹴りで吹き飛ばす。


 「雷霆よ、敵を貫け、雷撃ライトニング


 バリバリバリィィィ


 溶解液を噴射しようとしているビッグ・スライムの魔石を破壊し、飛来する梟の魔物を短剣で切り捨てる。


 ここのダンジョンの詳細を確認した時、武器系や魔法系のスキルは一通り揃い、スキルレベルもある程度上げられることが分かっている。


 そうなると、【身体強化】や【闘気練装】のような戦闘補助系のスキルを選択するほうがいいな。


 少し考えた後、スキルポイントを消費してスキルを選択した。


 『【詠唱省略】Lv.1を獲得しました』


 「火よ、敵を貫く弾丸となれ、火弾ファイアー・バレット


 ビッグ・スライムの魔石を破壊し、ホブゴブリンの棍棒を掌で受け止め、拳で鳩尾を貫く。


 続いて、スキルの詳細説明を確認する。


【詠唱省略】Lv.1

 魔法発動の際、詠唱を省略し魔法名のみで魔法を行使できるスキル。【詠唱省略】できる魔法は一つまで。知力値+10


選択:①【   】


 なるほど。選択した魔法のみ詠唱を省略し、魔法を発動できると。


 そうなると、スキルレベル上昇で選択可能な魔法が増えるのかな? しかしそれだと、この世界に存在する魔法は10個までとなる。


 「現在、スキル一覧に羅列されている魔法は8種類。残り2つの中に【空間魔法】があるということなのか?」


 スキルにはあるレベルに到達すると解放される上位スキルがあるので、他にも【神聖魔法】とかありそうな気はするが…今考えても仕方ない。


 思考を切り替えて、【詠唱省略】でどの魔法を選択するか考えよう。と言っても、既に結論は出ている。


 使用頻度が高く、強化系スキルまで所持しているのだから、【雷魔法】一択だな。


 試しに、近くのビッグ・スライムに向けて、魔法名を呟く。


 「雷撃ライトニング


 バリバリバリィィィ


 問題なく魔法は発動し、魔石を破壊した。


 ビッグ・スライムがドロップした硬貨を回収すると、先程見つけた三階層の入口に向かって駆け出した。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 「三階層も一階層と同じ草原のようだが、周囲にいるのはビッグ・スライムーーーいや、魔法を攻撃手段としているから、ビッグ・スライムの上位種か」


 周囲の冒険者達との戦闘を見てそう判断し、その場を離れる。


 一匹の上位種が地面を跳ねて近づいてきたので、すぐに【心眼】で何の魔法を所持しているか確認し、雷撃ライトニングで倒した。


 『【雷魔法】Lv.4にUPしました』


 『【溶解】Lv.5にUPしました』


 『【吸収】Lv.5にUPしました』


 サンダー・スライムがドロップした硬貨は白金貨一枚。硬貨を回収し終えると、背後から迫る魔力を感知したので、咄嗟にその場を離れる。


 俺が先程までいた場所を土矢ランド・スピアが通りすぎる。


 「雷撃ライトニング


 バリバリバリィィィ


 すぐにランド・スライムを倒し、ドロップした硬貨を回収する。


 「この階層では【魔力感知】は必須だな。魔法職以外は苦労するだろうな」


 そう思っていると、また魔力を感知したので、咄嗟にその場を離れようとするが、聞き慣れた音とともに、体内を電流が駆け巡る衝撃を感じた。


 「ぐっ…はぁ…くそ!」


 先程の聞き慣れた音とこの痺れるような感覚は【雷魔法】だ。そして、この攻撃をしてくる犯人はサンダー・スライムしかいない。


 こちらも雷撃ライトニングを撃ち返し、さっさと倒す。


 「…【雷魔法】や麻痺の耐性は所持していないが、俺の精神値であれば、強い衝撃程度で済むようだ」


 あとは、魔法攻撃に耐性のある防具も揃えるべきなんだろうが、ここの上位種達は6種類の魔法を行使してくるから、冒険者達はどの耐性防具にするか悩むだろうな。


 飛来する水弾ウォーター・バレットを短剣で相殺し、素早く距離を詰めて、ウォーター・スライムの魔石を短剣で破壊した。


 『Lv.27にUPしました』


 『【水魔法】Lv.4にUPしました』


 「スライムには生半可な物理攻撃は効かないと書かれていたが、俺の筋力値であれば問題はないみたいだな」


 そして、先程の戦闘の反省を活かすため、早速スキルを選択した。


 『【雷魔法耐性】Lv.1を獲得しました』


【雷魔法耐性】Lv.1

 雷魔法によるダメージを受ける際、精神値が1.1倍になるスキル。精神値+10


 精神値×1.1倍だと、気休め程度にしかならないが、無いよりはあったほうがいいだろう。


 迫る火矢ファイアー・アロウを屈んで躱し、【縮地】で距離を詰めてファイアー・スライムを倒す。


 『【火魔法】Lv.4にUPしました』


 振り向くと、目前まで氷弾アイス・バレットが迫っており、胸当に衝突する。


 防具の上ということもあってか、軽い衝撃程度で済み、雷撃ライトニングでアイス・スライムを倒す。


 『【氷魔法】Lv.4を獲得しました』


 『【斬撃耐性】Lv.5にUPしました』


 『【刺突耐性】Lv.5にUPしました』


 

 

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