第29話 チート魔力がバレちゃった

 「アリアと言ったか……。里から出て冒険者を本格的にやりたくはないか……。」


 ターロは、ビビりまくってお得意の「ギャハハ」が一切出なくなってしまっている。

 私はターロさんのことを見ると引きつった目で私のことを見ていた……。

 ほんとにどうしてくれるんだよ紗夜ちゃん!!



 「すみません。しばらくは、家から出る予定がないので……。ひび割れるのは前例はあるのですか?」

 「ある訳ないだろ。今までで最高の数値が100万だったのにそれをはるかに超えて水晶ごと壊すとか、信じられない……。」

 「「……」」


 お父さんとお母さんは、口をポカンと開けている。頼りになるのは二人だけなんだから!!少しはフォローしてよ!!今日中にギルド出られるよね……。


 「次の工程にそろそろ行きませんか?」

 「あっそうだな……。てか、ミラ!!大丈夫か?すまないがしばらく待ってくれ。すぐ戻ってくるから。」


 そう言って、ミラさんを担ぎバックヤードに入っていった。それと同時に他の受付員も一緒には奥に入っていった。


 ……どうしよう。


 あっそうだ!!この間にお父さんとお母さんに冷静さを取り戻してもらわなきゃ!!

 もう。こんなことになるんだったら、ギルドによるんじゃなかった!!


 私は慌ててお父さんとお母さんに話しかける。


 「お父さん、お母さん。しっかりして。これは、紗夜ちゃんのせいっていうか、おかげって言うかだから。そんなに驚かないで!!」

 「いや。すごいとか知っていたが、ここまでとはな。さすがに、言葉が出てこない。」

 「さすがに、あれを見てしまったらね。こうなるわよ。私たちがやってもビクともしない水晶がこんな形で割れるとはね……。」

 「やっぱりお姉ちゃんすごい!!」


 キラキラした目で見てくるサリアと対象的な両親。

 特にお父さんは、驚きとともに悲しい表情をしているので、変顔でもしてるのか!!とツッコミたくなってしまうが、今回はやめておこう。


 私は、自分の心に少し余裕が出てきたのを確認して、少しずつ安心していく。



 「今回は、紗夜ちゃんの魔力が多かったってことでいいよね。さすがに驚いたけど、それしか言いようないし」

 「「……うん。」」


 未だに、驚愕を隠せないが、少しずつ落ち着いてきているのを表情から伺える。

 私は、このまま二人と話していると息苦しくなると思うので、サリアとお喋りをしてターロさんを待つことに。


 少し経つと裏から木の板を持ってたターロだけがやってきた。

 他のギルド職員はどうしたものか……。

 私は疑問に持ちながらターロさんを見ると、ターロさんの顔は恐怖に満ちていた。

 判断材料が少ない私が、今後なにかやらかすのではないかと心配なんだろう。

 ここ周辺で何かあった場合は、この街のギルマスが国から怒られることになるし、


 私は、「大丈夫よ」と顔で伝えるが、それが怖かったのか余計怖がられた……。

 こんなにも可愛いんだから、そんな顔しないでもいいじゃない!!



 「次はこの板の橋を持ってくれ。二つあるから一人ずつ持って少しだけ魔力を流してくれ……。」

 「「はい!!」」


 私とサリアが魔力を流すと、木の板の上に色んな色のボール状の光が浮かび上がる。

 多分だけど、これが属性だよね……。

 私は自分のものとサリアのものを比べるがどちらも同じ色の種類が浮かび上がっていたのでひとまず安心する。


 これに関しては、規格外ってことでもないらしい。ほんとに良かった。これも異常だったら、怪物出現!!とか新聞に載るレベルだからね。

 ……水晶割っただけでも載れそうだが……。


 「見て、サリア。私とと一緒だよ!!属性が一緒だと、最後まで一緒に修行ができるから嬉しいね。」

 「ほんとだ!!お姉ちゃんと一緒の属性嬉しい!!」

 「「……」」


 私たちが喜んでいる近くには、呆れているターロと両親がいる……。

 何故呆れているのか?

 今回はサリアと一緒だから問題ないはずだぞ!!


 私が自信満々に持っているとサリアも私の真似をして、エッヘン!!って感じのポーズを取り出した。


 「何となくわかってはいたけど、本当に全属性だと……。どうなってるんだ。もう、意味がわかんねぇ。」

 「やっぱりか……。」

 「これは、遺伝だから仕方ないよね……。」


 遺伝?属性は遺伝するのか?そういうことは紗夜ちゃんから説明がなかったので私は何も分からないが、今度聞くことが決定した。

 それにしても、全属性とは、とても便利なものだ。火属性しか使えなかったら、消火活動は全くできないから、誤って気につけてしまったらもうおしまいだろう。

 それに、ほぼ無限ぐらいある魔力。

 鍛えれば、化け物確定……。


 「えー。ってことで、ギルドカードに情報入れ込むから。待ってて。」

 「「はい!!」」


 そう言って、どこからか出したカードをちょこちょこと触りだした。

 私たちは、持っていた板を机の上に置いて、ドキドキして、待っている。

 ギルド内は、私たちの結果が聞こえてしまったのか先ほど以上にざわついているが、もう来る予定はないので問題ない。


 「はい。こっちがアリアで、こっちがサリア。アリアに関しては、測定不能とやっといたから、別のギルドに行くと止められるかもな。その時はそことギルドのギルマスにカードを見せてくれ。そうすれば、わかるようにしといたから……。それと、本気で冒険者になるなら、この街を中心にした方がいいぞ。色々教えるからな。それと、門番から貰った身分証出しといてくれ。こっちで処分しとくから。」

 「それは、あんたの評価が良くなるだけでしょうが!!まぁ、信用できるターロの下で働いてる方が安心はできるけど……」

 「もっと訓練増やすべきかもな……」


 私たちはギルドカードと交換で一時的な身分証を渡した。

 サリアは貰って嬉しかったのか、ニコニコしながら私に見せてくる。

 私もカードをサリアに見せると登録日付が書いていることに気がつく。それをサリアに教えると余計喜んで、「ヤッター!!」と言いながら、ジャンプした。


 外でのジャンプ禁止令を出したが、それを覚えているほどの余裕はなかったので、今回は何も言わなかった。


 「まぁ、登録も済んだし、ギルド出るか。」

 「「はーい」」

 「またね。ターロ」

 「……ああ。」


 私たちは、ターロさんに挨拶をしてギルドを出た。少しターロさんは、安心したかのように見えたが、私の気のせいであろう。



 私たちは、商店街に向けて歩き出す。本番はここから!!少しいざこざがあったが、そんなものを吹っ飛ばすぐらい楽しみな気持ちになってきた!!


 「それにしても……。魔力の多さは驚いたな……。」

 「もう!!お父さんまだ言うの!!もうそんなこといいでしょ。次はお姉ちゃんの大切なお買い物なんだから、気持ち入れ替えて!!」

 「でもな……。」

 「あなた。サリアの言うとこり、入れ替えていきましょう。」

 「ああ。」


 お父さんは、納得しない顔で返答した。

 多分だけど、現役でギルドに所属しているからこそ、思うことが多いのだろう。おとうさんのことだから、私たちに少しはすごいところを見せる予定だったと思う……。


 紗夜ちゃん……。


 私は、事前にコントロールを教わらなかったことを少し後悔するのであった。


 そんな中、少し奥にお祭りの出店みたいな店がズラーと並んでいるのが見えてくる。



 これが、商店街!!




 私は目をキラキラにさせて、お店を眺めるがまだ距離があるのか詳しく見れない。

 唯一見えるのが1番手前に見れるアクセサリー屋さんだ。


 こっそりアクセサリーを買って、かっこよく渡せば誰でも惚れてしまうという最高のお店が現実にもあるのか……。

 なんて計算されているんだ。

 しかも、一番端のだから、迷うことなく行ける……。


 ……。


 店主考えたな……。



 私はサリアにかっこいいところを見せようと財布の中を見たが、あまりの少なさに諦めた。


 それに今回は食材の他にも料理に使う道具があったらかう予定だからしょうがないよね!!

 いつか余裕があった時に渡せばいいやと思うが、そんな日は訪れることはなかった……(多分)。



 「お姉ちゃん!!見えてきたよ!!どんなものが売ってるか楽しみだね。」

 「そうだね。どんなご飯が作れるか今からワクワクが止まらないよ!!」

 「2人とも、楽しみはいいけど、はぐれないでね」

 「「はーい。」」


 私たちはワクワクドキドキの気分で商店街に入っていった。



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今回は異世界っぽい内容でしたね!!今までが、全く異世界感がないので、なんだか変な感じだと思いますが、これが本来のあり方です!!

学校編以降は異世界感をバンバン出していく予定ですのでお楽しみに!!

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