第14話魚掴み大会開始!!

 靴と靴下を脱ぎ、長ズボンをめくって川にはいるが少し冷たい。

 疑似体験時にうなぎの掴み取りというものをやった事があるが、腕からスルスルと抜け出して結局捕まえられなかったが今回はヌルヌル魚では無い為そんな結果にはならないだろう。



 そんなことを考えてる間にサリアは、川に入り魚を見つけ腰を低くしてる取りに行く体勢になっている。



 ヤバい!!このままでは先に魚を取られてしまう。



 まずは魚を見つけないと。

 焦って周りを見るが、光の反射で魚が見にくくなっていて簡単には見つけられない。

 確か疑似体験でも探し物があった時結局自分の近くにあったり自分が持っていたことが多々あった。


 落ち着け。


 サリアはまだ捕まえていないから急げば間に合う。

 私は少し冷静になり自分の周りを見ると少し小さめなサイズの白身魚発見!!


 ここからが本番だ。


 いかに水面を揺らさないか。影を隠すか。どれだけ手を自然に紛れ込ませるか。

 こんなことなら、石で囲いを作っておくべきだった。そうすれば囲いの中から魚が取れるので何度失敗しても全然大丈夫。


 今回はそんなこと言ってられないので、ゆっくり腰を下ろし手を水の中に入れてゆっくり近づける。

 こっちに気づいていないけれど、少しずつ遠くに動いているのがもどかしい。



 ここで少し賭けに出てみる。

 少しだけ水面を叩き岸の方に行かないか試す。

 大失敗してしまえば魚を逃がすし成功すれば、少しは、捕まえやすくなるはず。

 私は自分を信じて少し水面を揺らす。魚は岸の方に向かったが、自分から少し離れてしまった。



 チャンス!!



 ゆっくり進み魚の左隣まで進むことが出来た。

 すぐ右側は岸なので勢いよく魚の下からを岸側に手を払い魚を捕まえる作戦!!



 ドキドキが止まらない……



 サリアは、一度逃がしてしまったみたいだがまだ格闘中。

 ここはお姉ちゃんらしく先に捕まえて、かっこいいところを見してやるぞ!!

 ゆっくりと水の中に手を入れて魚より少し前側に手を持ってくる。

 今のところ運がいいのかバレていない。

 魚が手の上に来るのを待って。



 3、2、1、GO!!



 私は手を勢いよく上にあげ、魚を水中から陸上へ投げる。

 想像以上に魚が早かったので、しっぽ側に手が当たって投げる形になったが、ギリギリ陸上へ着地!!


 「よし!!」


 私は魚を取りに岸へ行き魚を掴むがツルッと手から離れてきまう。

 手から離れた魚はまだ陸の上なので良かったが、もし水中へ戻ってしまえばまた最初からになってしまう。

 私は慎重に魚を両手で掴んで急いで水槽に入れに行く。少し泥が着いてしまったけど、水槽に入れることに成功!!



 見たか妹よ。

 これが姉の力!!



 疑似体験時にうなぎの掴み取りを経験してて良かった〜(あまり役に立っていないけど……)。


 サリアは、結局魚を逃がしてしまいまた新たな魚を見つけていた。

 この調子で行けば、勝負は決まったも同然!!


 「サリアどんな感じ?私は一匹捕まえたよ!!」

 「お姉ちゃんに先越された!!先に取ってかっこいいところ見せたかったのに!!」

 「作戦が上手くいったからね。この調子でサリアに勝つつもりだから。サリアも頑張ってね。」

 「絶対お姉ちゃんに勝ってギャフンと言わせるんだから!!」



 私は次の作戦にでる。

 まずは石を集めるところからスタート!!少しでも大きい石を探し、岸の近くに何個も置いていく。

 サリアは、囲いなどをせずに真剣に魚を捕まえていようとしているが決して囲いはズルでは無い。

 最初にルールを作らなかったんだから、最後に掴んで水槽に持っていけばなんでもOKだろう。


 「お姉ちゃん何やってるの?石で遊んでないでお魚さんとらないと負けちゃうよ!!これから私本気だすんだからね!!」


 ここで、作戦のことをばらすと多分真似をしてきて勝負が分からなくなってしまうので


 「大きい石とかがあると危ないから端に寄せてるんだよ。つい躓いて転んだら全身びちょびちょだからね」

 「お姉ちゃん優しいね」


 ここで炸裂サリアスマイル!!

 嘘と言えば嘘をついたことになるので胸がグサリと痛くなる。

 いつもはあんなに可愛いと思っていたのに、今は謝りたくなってきた……

 弱気になるなアリア!!

 勝ってかっこいいって所を見せるんだろ!!


 私は次々に石を運び囲いを作っていく。



 そして完成!!



 少し大きめな囲いで、魚が入ったらまずは穴を塞ぐ。

 その後囲いの中に入り、魚を捕まえる作戦!!

 真剣な顔で魚掴みに育んでいるサリアには申し訳ないが絶対に勝ってやる!!



 石を動かしていたこともあって周りに魚がいないので少し遠くまで行って魚を囲いに誘導させる。この時しっかりと白身魚を選ぶように!!(夕食で使う為)

 今回はさっき取ったものより少しだけ大きい魚を誘導成功!!

 急いで穴を塞ぐと驚いた魚がまだ塞ぎきっていないところから出ていってしまうかもしれないのでゆっくりと塞いでいく。

 ちょうど穴が塞ぎきった時サリアがこっちに来て


 「あ!!お姉ちゃんずるい!!私は真剣にお魚さん捕まえようとしているのに。これだったらお魚さんが逃げられないから絶対に捕まる!!ずるい!!」

 「サリアこれは作戦なんだよ。サリアみたいに何も無いところで魚を取るのは難しいから囲いを使えば捕まえやすくなるでしょ。サリアも、真似していいから。後ズルくないからね」

 「いいもん。サリアもお姉ちゃんの真似して絶対にお姉ちゃんよりも魚捕まえてみせるんだからね!!」


 サリアは、口を膨らませてプンプンと少し怒って石を集めに行った。

 サリアごめんね。今回だけはなんとしてでも勝ちたいんだよ!!

 最近かっこいいところを見せられていないから少しでもお姉ちゃんすごい!!って言われたいんだよ。


 私はそう思いながら、魚を端に追い込んで捕まえる準備万端になる。

 囲いの時は手だけで捕まえるのではなく、腕全体で囲って捕まえた方が捕まえやすいらしい。

 疑似体験時に動画サイトでそうやって捕まえていたので多分間違えないはず……

 私は勢い両腕を水中に入れて真ん中に魚が来る感じにして思いっきり腕もあげる。



 なんということでしょう。

 腕の隙間で跳ねた魚は囲いの外に……


 「ああああああああぁぁぁ!!」


 隙間を開けなかったら捕まえられると思っていた為、予想外の展開につい声を荒らげてしまった。



 これはズルをするなということなのか……

 それとも石を集めている時に嘘をついたからか……


 その後魚は数匹取れたが、サリアの方が捕まえた数が多かった……


 「お姉ちゃんが3匹で私が5匹でお母さんが4匹!!私の完全勝利!!いぇーい!!」

 「手掴みなのによくここまで取れたわね。釣りより難しいのに2人共すごいよ。」

 「お姉ちゃんがね。お魚さを取る裏技を教えてくれたんだよ!!だからこんなに沢山取れたんだ。ありがとうお姉ちゃん。」

 「……うん」


 心が痛い。

 圧勝して、かっこいいところを見せるためにわざわざ嘘までついて囲いを作ったのに、教えてくれてありがとうなんて……

 勝ち負けにこだわらず楽しみながら取り組んでいこうと心に決心したのであった。

 (もうズルいことはしません……)


 帰りは、乳母車のような水槽を私が手で押し家まで帰宅。

 その間も一位が嬉しかったのか


 「お魚大会いっちっい!!今日はお魚パーティー!!お魚さんお魚さん♪」



 ルンルンな妹とズルを使って後悔する私。私たちの顔を見て楽しそうにするお母さんだった。


 魚を台所近くの外に置き、家に帰宅。

 流石に魚の手掴みは、疲れたのでリビングにてお茶を入れゆっくりくつろぐ。


 「楽しかったけど、疲れた。」

 「楽しかったね。また一緒にどっちが沢山取れるか勝負しよう!!今度も勝っちゃうからね。お魚さん。お魚さん♪」


 今日は相当疲れたのか気づいたら机でサリアと一緒に寝ていた。

 お母さんとお父さんはそんな私たちを見て微笑んでいた。


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次回お魚パーティー開始!!

今までだと一日が、一話で終わる感じが多かったので今回は長編にしてみました!!(これから長編が増える予定)

多分次回でこの日は終わり次の日になると思います。

ただのほのぼの小説になってきていますが、魔法の世界です!!

自分でも忘れそうなので気をつけなければ!!


【お知らせ】

今後は思い浮かばなかったり忙しかったりする時は投稿なしって感じになります。(前日に進捗状況みたいなのでアナウンスします。)

それ以外は毎日投稿する予定ですのでお楽しみに!!


最後まで読んで頂きありがとうございます。

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