第12話念願のパン屋さん
「パン。パン。パン屋さん。パン。パン。パン屋さん。メロンパン。カレーパン。美味しい揚げパン。パン。パン♪」
ご機嫌でパンの歌まで作ってしまうサリア。
なんて可愛い歌を思い浮かぶのだろう。
可愛すぎて金メダルをあげたいぐらい!!それに依存性がやばい!!
1度しか歌っていないのに頭のなかで一生ループしてる。
手を繋いで帰宅している途中だが、手を前後に揺らしてすごい楽しみなことがここからも伝わってくる。
「なんのパン食べるか楽しみだね!!」
「うん!!しかも時間的に出来たてのパンが食べられるからふわふわして病みつきになっちゃうよ。多分食パンも1斤買うと思うから食パンも少し食べるんだ。楽しみ♡」
家でパンが作れたのならどれぐらい喜んでくるのだろう。と思うが、我が家にはオーブンがない。
唯一オーブンがあるのがパン屋。
だからこそ、パン屋が私たちに幸せをくれるお店になっている。
パン屋にはイートインコーナーは無くパンを買って家で食べるスタイルだ。
エルフの里自体が人口多くないのでパンの数も極めて少ないし、その日その日で種類が変わってしまう。
欲しいパンが行ったところでないなんてざらにあることだ。
1番の人気商品は揚げパン!!
一日限定5個しか販売していない買えたらラッキーパン(昼限定)!!人気だから毎日販売してくれるのがほんとに嬉しい。
パンの話で盛り上がっていると家が見えたきた。
「お姉ちゃん。早く早く!!お腹がすいてパンしか入らないよ。」
「わかったから。走らないで!!転んだら危ないでしょ」
「早く早く!!」
サリアは、私の手を引っ張って急いで家に帰宅。
手を洗わずにリビングに向かい、パン屋に行くためにお母さんを呼ぶ。
「お母さん。パン屋に行くよ!!準備できてる?早く出来たてのパン食べたい!!」
「まずただいまでしょ。準備できてるから行こうか」
「やったー!!」
お母さんは準備を済ましてくれていたのでスムーズにパン屋に行くことができた。
パン屋はエルフの里(集落)の端の方にある。なんでも朝早くて明かりをつけてしまうから近所の方が起きてしまうとか、パンの美味しい匂いで起きてしまうとかが理由らしい。
パン屋は2階建てになっていて1階でパンを焼き2階に住んでいるらしい。
2階のベランダに「みんなのパンダ」という看板があるが、このお店の名前だ。
なんでも店主と奥さんがパンとパンダをかけたら覚えやすいよね!!ということでこの名前になったらしい。
お店は店主のパラナーレさんと奥さんのシノさんで 切り盛りしている。
パン屋のエプロンには、可愛いパンダが書かれているのが印象的。
中に入ると既に7人ほどパンを買いに来ている。
パンは一つ一つ袋に入っていて自分で取るスタイル。
一ヶ月に一回発売するきなこ揚げパンだときなこが落ちる心配がないから嬉しいことだ。
ほんと一ヶ月に一回しかないのがすごい悲しい。
きなこ揚げパンは、正午に発売をするのだがいつも混んでいる。
パン屋にこれでもか!!と思うほどギュウギュウに入ってあまり動けるスペースが無くなる。それほどみんな一生懸命なのだ。
なぜ一ヶ月に一回なのか?と聞いたことがあるが、いつも売ると人気で店が混んでしまうからと言っていた。
あときなこを作るのが少しめんどくさいらしい。
時間的に正午前なのでみな揚げパン待ちだと思う。
私は疑似体験で揚げパンを沢山食べたので、今回は別のパンを食べようと思う。
今日のパンの種類は、卵サンド。コロッケサンド。ソーセージパン。チョコパン(食パンにプチプチチョコが入ってるパン)。クロワッサン。と食パンだ。
チョコパンとクロワッサンは、できたてでいい匂いが部屋中に漂っている。
「サリアは狙ってるの?」
「もちろん!!お母さんとお姉ちゃんも?」
「そうね。お母さんも狙ってるわよ。パン屋に行くことがあったら必ず狙う商品だからね。パンだけでも美味しいのに、揚げることで香ばしくより美味しくなるからね。」
「私は狙ってないよ。ちょうどクロワッサンができたてだから食べたくなってきちゃって。」
「そうなんだ。お母さんライバルだね!!多分そろそろだから緊張してきた。」
私は揚げパンが運ばれる前にクロワッサンを確保!!揚げパンが買えなくてクロワッサンを買いに来る方がいたら食べられなくなってしまうからね。
クロワッサンは6つも残っているので多分大丈夫だとは思うけど。念の為にね。
「これから揚げパンじゃんけんを始めます!!揚げパンを食べたい方はレジまで集まってください!!」
始まってしまう。揚げパンじゃんけんが!!
揚げパンを店頭に並べてしまうと揚げパンが運ばれる近くに立っている方が有利になってしまう。
少しでも公平に揚げパンを勝ち取って味わって欲しいというパン屋の願いらしい。
「それでは行きますよ。勝ちとあいこは私の前に。負けてしまったら横に並んでくださいね。
では、じゃんけんぽん!!」
パラナーレさんは'ちょき'を出した。お母さんは'ちょき'で、サリアは'パー'。
あれほどパンを楽しみにしていたのだから、是非買って欲しいところだが、こればっかりはしょうがない。
2つの列に並ぶとちょうど勝ちとあいこで揚げパンが終わってしまったから、敗者復活戦がない。
「また挑戦してね!!」
揚げパンじゃんけん終了!!
あんなに楽しみにしていたサリアもいまは、ショックですこし悲しい顔をしている。
そんな顔を見てお母さんが
「せっかくだし、三人でパン選んで三等分にしよっか。そしたら色んな味が楽しめて幸せでしょ。」
「お母さん、お姉ちゃんいいの?」
「「いいよ」」
「ありがとう!!」
暗かった顔が急に明るくなってにこにこしながら喜んでいる。
喜びすぎて帰り道に歌ったパンの歌を口ずさんでいる。
可愛すぎだろ!!
サリアは、卵サンドを選び。お父さんのパンはソーセージパン。
この店のソーセージパンはフランスパンみたいなパンの中に自家製ソーセージが入っているすごい美味しいパン。
大人の方に人気なパンで今日はたまたま残っていた。しかも最後の1個!!
それといつもご飯の時に食べる食パン1斤を買って買い物終了。
自宅に帰る際も買い物袋を振り回しパンの歌を嬉しそうに歌っているサリアが可愛くてしょうがなかった。
「「ただいま!!」」
「パン。パン。パン屋さん。今日は揚げパン食べられる。パン。パン屋さん♪」
すぐに手洗いうがいをしてリビングに向かう。もちろん飲み物は牛乳!!
サリアは、急いで牛乳を注ぐからこぼしそうになって少しヒヤッとした。
「いただきます!!」
まずは限定の揚げパンからいただく。
表面にはお砂糖がまぶしてあり、キラキラしている感じがたまらない。
味は外はサクッと中はもちもちっとして、砂糖の甘さで美味しさをより引き立てている。
「「美味しい〜♪」」
人気商品なだけあってここまで美味しいのか!!と思う。
疑似体験でも揚げパンは、食べてきたけれどここの揚げパンが1番好き。
多分できたてってことがあるから余計美味しく感じるのだろう。
次は、卵サンド。
今日作りたてのふわふわな食パンに自家製の卵を挟んでいる。
もちろんスーパーなんてないのでもちろんマヨネーズも手作りで、手作りマヨネーズと卵絡み合っていてうますぎる!!
ここの卵サンドはお子様でも食べられるようにからしが塗っていない。なので子供たちから大人気商品!!
サリアの大好きなパンランキングでも堂々の第三位!!
レベルが高いぞ「みんなのパンダ」!!
そして最後はクロワッサン。
私は中の層になっている感触が大好きでついつい買ってしまうのがクロワッサン。
疑似体験時に家で作ったことがあったが、全くダメダメでお世辞でも美味しいと言えないものだった。
だからこそ、クロワッサンを食べると感動しやすくなっている。
一口噛むだけで、パンの味わいが口いっぱいに広がり、香ばしい香りが鼻に抜けていく感覚。
サックサクで次から次へとついつい食べすぎてしまうクロワッサンになっている。
食パンもその日に作ったものでふわふわでもっちもち。冷めているが冷めていても十分に美味しすぎる!!
パンの耳はと中身はで別れてしまうが私はパンの耳は。
特にできたての熱い状態でパンの耳をむしり取って食べるのがたまらない!!
エルフの里にはジャムが売っていないので今度作って出来たてのパンと一緒に食べる予定!!
「大満足だね!!」
「ほんとに大満足!!どれも美味しすぎて食べすぎちゃうから一つずつで良かったわね」
「今日はたくさんのパンを食べられて幸せだよ。ありがとうお母さん。お姉ちゃん。」
今日は美味しいパンを食べることができるし、可愛い歌まで聞けて幸せ。
次回パン屋に行くのが楽しみになったのであった。
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パンの味を上手く伝えられたか心配です。実物を見てもいないし食べてもいないので、どれぐらい美味しいかが分からないのでせっかくの楽しいお話が台無しになってしまいます。それをどれだけ上手く伝えられるか、味が想像できるかに力を入れることで、皆さんのお腹を空かせてみせたいです。食事シーンがぼちぼち入ると思いますので頑張ります!!
【お知らせ】
今後は思い浮かばなかったり忙しかったりする時は投稿なしって感じになります。(前日に進捗状況みたいなのでアナウンスします。)
それ以外は毎日投稿する予定ですのでお楽しみに!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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