第9話 ゆっくり休憩

 また失敗だったか……

 確かにコツは掴めたけど、魔力の流れを早くしすぎた。

 魔力の流れの制御が非常に難しい。


 それにしても、これだけの膨大な魔力を扱えるようになるのかが非常に不安。

 多くの魔力を持つことで、初級魔法だけでも威力は違い上級魔法まで使えるようにはなるけれど、幸先がこれでは宝の持ち腐れになりかねない


 「サリア心配かけたね。ごめんね。お姉ちゃんもう大丈夫だから、一緒に帰ろっか?」

 「ゔん。」


 また寝っ転がっている私を抱きしめているサリアに、少しどいてもらいその場で立つ。

 めまいや立ちくらみがないのは紗夜ちゃんのおかげだろう。

 約束通り帰宅することに。

 流石に疲れたのか倦怠感が私の体を襲っている。


 「ごめんね。サリアは、なんの練習もできないままで……お姉ちゃん次こそは成功させるから」

 「お姉ちゃんそんなに慌てないで!!毎回倒れていたら体が持たないよ。」

 「魔力の流れは基礎中の基礎。だからこそ、慎重に練習して体を慣れさせる。これからは体のこともあるから一度倒れた時点で終わりにしよう」


 紗夜ちゃんがここまで直してくれなかったらどうなっていたのか……。

 今でさえ倦怠感ですぐにでも横になりたいのに。


 帰りはもちろんサリアと手を繋いで帰宅。紗夜ちゃんは、修業場所から立ち去ると同時に透明魔法を自分にかけていた。


 「そういえば、サリアはどうやって魔力循環をしたの?紗夜ちゃんが魔力が多いって言ってたけど、私みたいに結構苦労した?」

 「私……あっ!!お姉ちゃん!!忘れてたけど、私は魔力を底から出す感じではなく水面横に穴を作って少し流していく感じだった!!お姉ちゃんが練習していた時に気づいたら良かったんだけど……ごめんね。」

 「謝らないで。いつかは底で練習しないとだから。その練習が少し早かっただけ。明日はサリアがやった水面横でやってみるよ」

 「うん!!」

 「私の時代にはその考えはなかったな。多分最近の子は元々魔力量が増えているのかもしれない。だからこそ、水面横ってアイデアが出たのかもね」


 時代と共に元々持っている魔力量が増えるということは私たちがおばあちゃんになった頃には国ひとつ無くなるぐらいの魔力量を生まれ持っているのかもしれない。

 その魔力量でさえ私の1000分の1にも満たないらしい……これだけの魔力を持っていた紗夜ちゃんが恐ろしいよ。



 歩いているとエルフの里(集落)が見えてきた。

 時間にしてまだお昼ぐらいなのでパンのいい匂いがする。

 最近は柔らかいパンばかり食べているが、疑似体験では結構硬いパンを食べていた。

 特に明太フランス?というフランスパンに明太子がかかっているパンが好きすぎて一週間に一度は必ず買っていたほどだ。


 「パンのいい匂いするね」

 「そうだね。出来たてだと思うからパン屋寄ってから帰ろっか。お父さんとお母さん何パンが好きなんだろう?サリア知ってる?」

 「お父さんはいつもはんばーがー?というパンを食べてるって言ってたけど、お母さんは毎回違うの食べてるから分からない。」

 「一回家に帰ってからお母さんに聞いて出かけようか」

 「うん!!」


 サリアは、その場でジャンプをして「やったー」と言って喜んでくれてる。

 以前もそうだったが、それほどパンが好きなのかな?

 今度一緒にピザとか作って喜んで欲しいけど、食べたことないよね。

 絶対にあの味あの見た目驚くと思う。

 今までご飯で出てきてないから多分大丈夫!!(私が居ない時に出してたら、驚かないと思うけど……)



 一度家に戻り手を洗いリビングへ


 「「お母さんただいま!!」」

 「おかえり。アリアは、初めての魔法大丈夫だった?それとちょっといじわるしてごめんね。」

 「お母さん気にしないで。魔法の方に関しては魔力のイメージが着いたところかな?」

 「お母さん!!お姉ちゃんね。魔力循環で魔力流しすぎて2回も倒れちゃったんだよ。お姉ちゃんは、大丈夫って言ってるけど、今日はゆっくりさせてね」

 「ほんとに大丈夫?私も何度か魔力を急に流しすぎて倒れたけど、結構辛かったよ。それを2回も……。待ってて、苦り茶持ってくるから!!それとお布団で横になってゆっくりしてて、それとそれと……」

 「お母さん心配しすぎ!!紗夜ちゃんに直してもらったから、元気で帰ってこれたし。今日はさすがに疲れたから午後はゆっくりする予定だから、安心して」

 「紗夜さんアリアを直してくれてありがとうございます。アリア何処か体におかしいところはない?大丈夫?少しでもおかしかったら言うんだよ」

 「倦怠感があるぐらいかな。昼食を食べたら自室でゆっくりするから明日には治ってると思うよ。」

 「とりあえず、苦り茶飲んで!!倦怠感も少しは良くなると思うし。魔力の使いすぎや、突発的な魔力を出したりするのは魔法では治らないから気をつけて」

 「お母さん。これからパン屋に行きたいんだけど……」

 「パン屋は明日みんなで行きましょう。今日はゆっくりしてて!!昼食はスープ系の方がいいかな?」

 「みんなと一緒で大丈夫だよ。」

 「お姉ちゃん。ゆっくり休んでね」



 あれだけパンが大好きなサリアも私のことを心配してくれて、明日行くことに何も言わなかった。

 苦り茶をお母さんが猫ちゃんコップに入れてくれて1杯分飲んだけど、非常に苦かった。

 疑似体験時に飲んだ青汁を連想させるような味。その後自室に向かいベッドで横になってゆっくり休む。



 目が覚めると明るかった部屋は真っ暗になっている。


 リビングに降りるとお父さんも帰ってきていて、お母さんと一緒に椅子に座ってゆっくりしていたみたいだ。


 「お母さんに聞いたけど、大丈夫か?お昼から今までずっと寝てたみたいだけど。お腹すいたか?お母さんが作ってくれた夕食があるから温めてくるよ。」

 「お父さんは、ゆっくりしてて私が温めるから。それよりもほんとに大丈夫?明日休んだ方がいいんじゃない?」


 リビングにある時計を見ると夜の11時……約12時間も寝てたことになる。

 そしてまだ非常に眠い。

 サリアは、既に眠ってしまったようでリビングには居ない。少しご飯を食べたらまた寝るつもりだ。

 それよりもせっかく何となく魔力循環のことがわかってきたので明日はぜひ実践したいところ!!


 「ありがとう。明日の修行だけど、明日の朝の体調を見て決めるね。それと夕飯貰っていいかな?」

 「わかった。無理しちゃだめだからね。ご飯温めてくるからゆっくり座ってて」


 お母さんはご飯を温め直してくれてる。エルフの里にはレンジという優れものがない為、毎回フライパン等で温め直さなくてはならない。

 一緒にご飯を食べられたら良かったんだけど。お父さんに言わなきゃいけないことがあるあったんだ!!


 「お父さん!!サリアから聞いたんだけど、身体魔法で強化したいところ以外にも強化する理由わかってなかったよ!!」

 「え?しっかり説明したはずなのに……。あれだけ身体魔法は便利でいて怖い魔法だと教えたのに怖い部分だけどこかにいってしまったのかもしれない。」


 お父さんの顔が心配する顔になってきた。でも大丈夫。

 今日紗夜ちゃんから教えてもらったから復習になったはず。


 「紗夜ちゃんが、今日教えてくれたから多分大丈夫だと思うよ。変なことしようとしてたら私が止めるから安心して」

 「そっか。紗夜さん娘たちのことを助けてくれてありがとうございます。」

 「私は当たり前のことをしたまでだ」


 先程まで隠れていた紗夜ちゃんが急に現れぷかぷかと浮かんでいる。

 私が寝ている間はどうしていたのか?後で聞いてみよう。


 「お父さんは冒険者としてエルフの里を出るって聞いたけど、お米って食べたことある?」

 「お米?」


 お父さんはお米の存在自体知らないみたい……。  残念なお知らせです。

 当分お米は食べらないことが決定しました。


 私のお米ライフが……



 「ご飯用意できたわよ。これから持って行くから待っててね」


 私の目の前に置かれたのは、野菜スープと魚の塩焼き。

 塩焼きは2度焼きになってしまう為少し固くなってしまう。

 私用に焼かずに取っておいてくれていたが、すぐに寝てしまうので明日いただくことに。

 サリアが少し残したのでそれを貰うことに。


 「いただきます!!」


 野菜スープは、疑似体験のポトフのような味。

 疲れた体に温かい美味しいスープが入ってきて、体がほっこりする。


 魚は少しかなくなってしまっているが、今日取り立てらしくとても美味しい。

 大根おろしと醤油が欲しくなるところだが、我が家ではそのまま食べている。(他の家は知りません。)


 お腹が一杯になると寝れなくなってしまうので、原6分目で終わりにした。(おなかいっぱいで寝ると逆流するからね)


 「ごちそうさま!!美味しかった〜」

 「お粗末様」


 リビングでゆっくりした後に自室に戻り就寝。

 明日は必ず修行に行ってやる!!


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ウエルシアに売っているいちごのアイス?

マジでうまい!!

いちごの果肉感満載だし、外側の練乳アイスがまた合う!!ぜひ食べてみてください!!


それと、今まで公開してきた小説を読みやすいように改良しました!!是非見てくだい!!


【お知らせ】

10話まであと1話になりました!!

最近では1日1話書くのが日課化してきているので11話以降も毎日投稿するかもしれません!!

お楽しみに


最後まで読んで頂きありがとうございます。

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