第35話 西野美咲との約束
「青木ヶ原樹海?」
「そうです」
「ここは樹海内に複数のダンジョンが有るんですよ」
「でもC級だと俺や宮本じゃ訓練にならないぞ」
「ところがですね、ダンジョンボスだけ異常に強いんです」
「MOBモンスターがC級なだけで、C級に格付けされていますが」
「入るには条件があって、パーティーメンバー必ず1人はA級を同行させることと決まっているみたいです」
「しかもモンスターの種類が豊富なのでお2人にもメリットがあります」
「主任!それってどんなメリットが?」
モンスターの種類が豊富だと何がメリットなのか、皆目見当もつかない宮本優美は麟太郎に質問する。
「良い質問だね優美ちゃん」
「例えば見たこともない攻撃がきたらどうする?」
「ん~。攻撃来る前にリストレインで縛りますかね?」
「リストレインより攻撃が早かったら?」
「そ、それは困ります(´;ω;`)」
「しかも、縛っても打って来る魔法攻撃なら躱せないよね」
「ですです。やばいです!」
「そんないろんなパターンを知っておくと今後の対策になるんだ!」
「大体、種族同士はA級だろうが、C級だろうが、基本同じスキルや魔法の強化版が多いからね」
「もちろん上級モンスターになると当然ユニークスキルはあるだろうけど、基本技は引き継がれているから使用頻度は高い」
「なるほど。」
宮本優美は納得した低級モンスターでも上級モンスターでも扱うスキルの種類を確認できるのは勉強になる。
N先輩も納得し同意した。
「麟太郎。俺も納得したよ」
「俺の職業柄、相手のいろんなスキルを覚えておくと守りやすくなる!」
「先輩。そういう事です」
「しかもですよ。ダンジョンボスは強いですから倒せば先輩たちのレベルもアップしますし複数ダンジョンあるので」
「リポップする間は別のダンジョンを攻略出来ますし良い事尽くめですよ」
「主任!あたし頑張ります!」
「じゃぁ決まりだな!」
麟太郎の秘密も知り、合宿の打ち合わせも出来て、納得した二人は明日も早いので帰路に就くことになったのだが……。
案の定、宮本優美が駄々をこねて、帰らせるのに手こずったが、先輩が首根っこを摑まえて引きずるように連れて帰ってくれ事なきを終えた。
見送りを終えふと洗面所に目を配ったらなぜか、見知らぬ歯ブラシが置いてあったのは不思議な光景だ。
「伊庭さん。私、今後どうしたら……」
そうであった。まだ西野美咲が部屋に残っていたのを忘れていた。
「美咲ちゃんも合宿参加する?」
「え?え?いいんですか?」
「もちろん俺は構わないよ!秘密も知られたしね(笑)」
「わーい!やったー!」
「でも1つ条件がある。お姉さんの許可を取らないとね!」
「一応、まだ未成年だからね」
「わかりました!キョン姉ぇは必ず説得します!」
「俺からも話しておくよ」
「それと……。あの……。今週末の約束覚えてます?」
西野美咲をダンジョンで助けた際、麟太郎は秘密の協力者として約束を交わしていた。
ペットである子猫ちゃんの実験に協力することであった。
「もちろん覚えてるよ」
「土曜の朝、待ってるね」
「はい♪楽しみにしています♪」
「では週末に!」
「はい♪じゃぁ今日は失礼します」
――――――――――――――――――――
土曜の朝、麟太郎はこの日の為に数日間、準備を進めていた。
それは、西野美咲が今後の為にどう成長させるのが良いかとAIさんに意見を求め、モーションエフェクトの開発などを行っていたのだ。
(AIさん、準備は良いかな?)
<はい。あらゆる事を想定して準備してきました>
<もし西野様に合わないプログラムでしたら他のお仲間に提供しても問題ないと思われます>
(そうだよね。他のみんなにもモーションエフェクトを付与しなくちゃならないしね)
(そう考えると無駄にならない)
<マスタのおっしゃる通りです>
そんな会話をしていると玄関の呼び鈴がなった。
『ピンポーン♪』
「はーい。今行きますー」
『ガチャ。』
「おはよー♪」
「おはようございます♪」
「今日はよろしくお願いします♪」
「こちらこそ協力ありがとうね♪」
「お♪子猫ちゃんも一緒か(笑)」
「はい♪一緒にお供します」
「じゃぁ出かけますか!」
「はい♪出掛けちゃいます」
二人は例のダンジョンへ早速向かう事に。
入口付近で《インビジブル》透明化を発動し、警備の眼を欺きダンジョン内へと侵入成功。
「よし、美咲ちゃん。奥に進む前、ちょっと打ち合わせしよう」
「はい!」
「そしたら一応バリアを張ります」
麟太郎は美咲を安心させるため休憩用に用意したモーションエフェクトを発動した。
「モーションエフェクト《エアドーム》」
モーションエフェクトを発動した。それは半透明で半球状の幕が半径10mほどを覆い、バリアのドームを形成したのだ。
「この中ならモンスターも入ってこないし安全だからね」
「ありがとうございます♪」
「早速質問したいんだけど」
「美咲ちゃんのステータスを拝見しても良いかな?」
「今後の対策として必要なんだ」
「はい。もちろんです」
「でもあまり他の人には見せたくないです」
「伊庭さんになら……は・恥ずかしいけど……OKです」
なんか違う雰囲気を感じてしますシチュエーションではあるが、ここは大事な事なのでサラッと進める。
「じゃお願いするね」
「は、はい」
「す・ステータス・おーぷん」
『ヴィン』
■■■■■■■■■■■■■■■■
〖個体名〗:西野美咲(にしの みさき)
〖属性〗:人間
〖種類職業〗:忍者(アサシン)
〖Level〗:2
〖経験値〗:20
[next]:40
〖HP〗:250
〖MP〗:25
〖攻撃力〗:125
〖防御力〗:50
〖魔力〗:45
〖アビリティー〗:”サイレント”
〖スキル〗:《命中率UPⅠ》
〖魔法〗:《かまいたちⅠ》
〖Cube Setting〗
slot.1:
slot.2:
slot.3:
■■■■■■■■■■■■■■■■
「おおおおお!」
「キミは忍者だったのか!!」
「そんな驚かれると恥ずかしいです(/ω\)」
麟太郎はテンションMAXにはしゃいでしまった。小二病が最初に体験するのは大体、忍者か戦隊ものである。
彼も小学生のころ近くの山林に入るとオモチャの刀を背中に装備し、段ボールをハサミで切った手裏剣を投げて遊んでいた。
そんな興奮が収まらない状況で大人としての冷静さを保たなければならない。
「ゴホン。キミは素晴らしい職業をゲットしたね」
「正直、うらやましいよ」
「そんな……。伊庭さんの、その」
「銀色のほうが・その……か・カッコイイです♡」
西野美咲は照れながら答えたが、実際アタッカー不足だった仲間にとってバランス的にも頼もしい戦力になると確信した。
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