第2話 爆発っ!


あのまま俺はダンジョンの奥へと進んだ。


ちなみにだがここは俺はもうダンジョンだと思っている。

原理は分からないが日本にダンジョンが出来たってことだと思う。

しかもここに登場するのは【炎の触手学園】に出てきたモンスターなんだと思う。

なんでこんなダンジョンが出来たのか理由は分からないけど。


進んでいると、やがて拓けた空間に出た。


「ん?」


「フー、フー、フー」


その空間の真ん中にはオークがいた。


(でっか)


さいわい、まだこっちには気付いていないようだ。

近くの岩陰に隠れた。


(オーク、動きが俊敏なんだよな)


あの巨体からは想像できないほど素早く動く。


ゲームではそう言うキャラだった。


(この世界のモンスターがゲーム世界と同じ挙動をするなら、とりあえず動きを観察してみてもいいかもな)


今の俺には特別な力とかはない。


正面切って戦えるような相手ではないし。

だが、あいつがゲームと同じような挙動をするなら、チャンスはある。



しばらく観察してみた。

やはり、ゲームと同じような挙動をしているようだった。


ゲームのオークは動き回る敵の察知にたけていた。

動いているものを敵として認識して攻撃する。


手段は武器だ。

手に持っている巨大な棍棒をつかって戦う。

当たってしまえばひとたまりもない。


仮に当たらずに近寄れてもサブ武器の拳や牙がある。

なかなか厳しい相手である。


しかし、逆に言えば当たらなければどうということはないし、そもそも近づかなければいい。


そのための手段が俺にはあるし。


(モバイルバッテリーが俺にはある)


これを奴に向けて投げればいい。

奴は動き回るものを無条件で敵として認識して叩き落す。

弓矢だったり、石だったり。

用は投げたものに反応するわけだ。

モバイルバッテリーも例外ではないだろう。


(これにはリチウムイオンバッテリーが入ってる)


奴が叩き落した瞬間、刺激を受けたバッテリーは爆発する。


そして、奴はダメージを受ける。

どれくらいのダメージになるかは分からないけど。


原作では小さな爆発でも十分な効果があったはずだし。


おそらく、ダメージにはなるだろう。


ってわけで、


「いまだ、くらえ!大爆発!」


ブン。

投げた。

モバイルバッテリーを。


「ぎがぁ!!!」


やはり、オークはすぐさま敵として認識して、モバイルバッテリーを攻撃した。

しかし、その瞬間だった。


「ぎがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


爆発。


オークを巻き込んだ。

オークの全身が爆発に包まれる。


「、、、」


ばたり。

オークは倒れた。


「ふぅ」


なんとかなったようだ。さすが令和最新版だな。

やはり選ぶべきは令和最新版だな。


「さて、宝物でも回収に行きますか」


このフロアには扉があった。

まるで、宝物がある部屋に続くような、豪華な扉。


オークはこれを守っているようだった。


「俺のエロゲーが宝物になってるんじゃないかな」


俺のクローゼットにできたダンジョンだし。

俺の宝物があるに決まってる。


「いっちょ、回収しますか」


てか、俺の宝物が入っていてくれ!

三万だぞ!!!


宝物ルームに続く扉に手をかけた。


中に入ると小さな宝物が置かれている。

原作通りだ。


「頼む」


神に祈りながら宝箱を開けた。



「うそだろ」


結果的に言うと、入ってなかった。


【炎の触手学園】も、他のエロゲーも入ってなかった。


なんで?


俺の家に出来たダンジョンなのに?

じゃあ、どこにいったんだ?

俺の宝物は。どこ?


「あーくそ」


俺は悪態をつきながら、ダンジョンを出ていくことにした。

もちろん、宝箱から出たものは回収している。


部屋についた。

戦利品を確認してみる。

ういでにリストアップしてみよう。


【戦利品】

・オークの宝玉

・神秘の薬


というファンタジーなアイテムがまずあった。

これは原作通りなんだが。



・????の本


なんかよくわからないものがひとつあった。


「明らかに俺の本じゃないんだよな。俺はこんなもの持ってないし」


ついでに言うとファンタジーなアイテムじゃない。

BL本だ。

なにかのアニメか漫画のキャラが描かれているが、それ以上確認する気になれなかった。

おそらくだが、これは日本に住んでる、誰かのものだと思う。

俺と同じように自宅にダンジョンができてクローゼットにいれてたものが、俺のダンジョンの宝物になったんだと思う。

ということは


(俺のエロゲーもどこかの誰かの家のダンジョンで宝物になっている可能性が高い)


いっこくも早く取り戻さないと。三万円だぞ。

そのためにも、


「とりあえず、現状の確認からしてみるか」


さすがに、俺の家だけダンジョンが出たわけじゃないだろう。

日本全国で似たようなことになっている気がする。


というわけで、俺はインターネットを見てみることにした。

こういう、情報を確認するときはいつも大型匿名掲示板を見ている。


「なにか、情報はないだろうか」


調べているとすぐに目当ての情報は見つかった。


【日本にダンジョンが出現した模様wwwwwwwww】


そんなタイトルのスレッドがいくつも並んでる。


俺は一番最初に見かけたスレッドを開いた。


こうして俺の、エロゲーを取り戻す旅が始まるのだった。


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