夜と朝の終わりが来るまで

ぶいさん

第1話

─ジュワッ!あっつッ!死んだ!マジで死ぬ!待って!タンマタンマ!


 2124年、ここは仮想現代ネオトーキョー。

 とどまることを知らない温暖化の影響で、8月に入ってからかつてない熱波がネオトーキョーを襲い、強すぎる日差しによって地上は58℃にまで上昇した。


 ぼくはデイウォーカーのよる。太陽の光を克服した吸血鬼だ。しかし58℃の熱波にはたまらず日陰に逃げ込んだ。日陰から日陰へ飛び込んで移動する。

 この世界では吸血鬼は他の亜人、鬼やゴルゴーンや有翼人種や獣人なんかと同じように人権が認められていて戸籍や住民表やマイナンバーもある。それに今はコンビニでも純度の低い混ぜものありの血液パックなら買える。純度の高い血液パックは今でも貴重なままだけど、便利な世の中になったものだと思う。

 

 亜人として人間たちに紛れて暮らすようになってから多様性ってやつも豊かになった。今までひっそり暮らしていた少数民族たちも大手を振って堂々と日の下に出て歩けるというのは、数百年生きているぼくらからしたら変な感じだけど、いい時代の変化なのだろう。何より飢えに駆けずり回らなくても良くなったのが一番大きく、陽の光や人間たちから隠れる必要もなくなった。ストレスフリーもいいとこだ。



 さて、今日は友人でありぼくの始祖でもあるあさに会いに真夏の日差しの中に颯爽と駆け出したのだった。そして冒頭に戻り繰り返す。ぼくはうっかりやさんだった。




 

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