チー牛がサキュバス学園のトップエリート美女に転生した結果、女の子ばかり攻略しちゃってる件
脱兎小屋
第1話 ようこそ、サキュバス学園へ!
うん。よく聞く流れだ。
友達いない・彼女いない・成績中の下・運動神経下の下のチー牛が事故にあって、異世界転生して無双するやつ。
転生者は大抵チート能力とか特殊スキルとか持たされるんだよね。
かくいう俺も転生者だ。そして、俺が持たされたものは…
そこまで考えて、俺は自分の両手をすくい上げるように体の前に当てた。
手のひらの上に二つの膨らみがぷりんとのる。
服越しでも分かるそのやわらかさと、あたたかさと、ずっしりとした重さ。
俺は心の中で叫んだ。
誰がボインお〇〇い持たされて転生させられると思うんだよおおおお!!!
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「ギュッテリア様、お隣よろしいかしら?」
おっとりとした声とともに、先がふんわり丸まった亜麻色の髪が視界に入る。
俺は広がっていたスカートの裾をたぐり、長椅子の上に隙間を作りながら言った。
「え、ええ。もちろんよ。セリヌンティウス」
舌噛みそう。
国語の教科書に載ってた小説に同じ名前の登場人物出てたよな? なんか汗臭そうなヤツ。
だけど俺の横に上品な仕草で腰かけたその少女は、その汗臭野郎とは似ても似つかない。
透き通るような白い肌に亜麻色の髪。品よく通った鼻筋の下に、小ぶりのピンク色の唇が愛らしい。
胸のサイズはつつましやかだけど、本人はそれを一番気にしている。
なんでそんなことまで知っているか?
それは俺がこのセリヌンティウス嬢に慕われているからだ。
「あら、先生がいらしたわ」
セリヌンティウスの言葉通り、教室の前方からコツコツとヒールの音が響いた。
「みなさん、ごきげんよう」
教壇に立った先生がぽってりとした赤い唇で笑いかける。
ぱつんぱつんのブラウスとタイトスカート、そこに網タイツという出で立ちが、先生の戦闘力の高さを余すところなく示している。
う~ん、色気むんむん。
「ごきげんよう」
俺たちも立ち上がり、めいめいに自分が一番魅力的に見える(と思われる)ポーズを作って先生に挨拶を返した。
ここはマグワウゾ・サキュバス学園。サキュバス達が男を篭絡する術を学ぶ場所だ。
ははは、自分でも何言ってるか分からねーや。
俺の内心のドン引き笑いなど知ったことじゃない様子で、先生が満足そうに教室の中を見回す。
「それでは本日の服装学を始めましょう」
カツカツと音を立て、先生が黒板にイラストを描き始めた。
「男性を篭絡するためには、服装は大変重要なツールの一つです。それは言うまでもありませんが、問題となるのはその露出度。
それでは、ギュッテリア・トロリッチー」
「あ、はい」
いきなりフルネームを呼ばれて、俺は慌てて立ち上がった。
先生がふふふ、と蠱惑的な吐息を漏らしてから続ける。
「肌の露出度と色気の関係性について述べなさい」
「えーと」
教室中の期待の目が俺に集まる。
「明確な関係性があるわけではなく、時と場合によるとしか言えません。もちろん露出度が高ければ簡単に色気を出すことができますが、一方で安っぽく見えてしまうリスクもあります。また露出度が低くても、例えば体のラインがはっきりと見える白ニットなどは、露出の高い服に負けない破壊力を出すことができます」
先生がにっこりと笑った。
「難しい問題でしたが、さすがですね。正解です。適切な具体例も素晴らしい。
ステーションランチに2点!」
教室の中からわあっと歓声が上がる。
ステーションランチはこの学園の中で俺たちが所属する寮だ。
寮は4種類あるが、そのうちステーションランチは卓越した勇気と色気を持ったサキュバスが集うらしい。
よく知らんけど。
「さすがですわ、ギュッテリア様」
セリヌンティウスがうっとりとした目で俺を見上げる。
「ハハ…」
こんなん笑うしかねえよな。
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